古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

小田嶋隆 の検索結果:

古本屋の覚え書き:雪山堂

…的世界観/藤沢数希/小田嶋隆/水燿通信 DDN/らばQ/カラパイア 釈迦仏教の根本思想について/哲学はなぜ間違うのか?/星と月の夜の中で/Kawolleria/谷内修三/河津聖恵/風と樹と花/サンネット日記/引用の織物/少食知足/Global Beats 豆長者/杜父魚文庫/高橋洋一/雑誌/政治記事/大阪日日新聞/新聞コラム/見つけた 犬としあわせ/ネットの海の漂流者/一枚の写真/右田ヶ岳 武田邦彦/茂木健一郎/岩上安身/週刊スモールトーク/哲学的な何か、あと科学とか/不思議…

野田に水は無く、稲は枯れはじめている

格差も順調に広がっている。小泉の水は青く澄んで見えたが、その恩恵は丘の上の一部の人々にしか与えられなかった。下流域の住民は渇きに苦しんでいる。野田に水は無く、稲は枯れはじめている。 【小田嶋隆】

TPPと野田総理の態度のわかりにくさ

小田嶋隆

毀誉褒貶の中を生きたジョブズ

リンゴが落ちることを発見した男によって切り開かれた時代が近代であるとするなら、現代は、リンゴに歯形を付けた人間のインスピレーションに沿って動いている時代だ。未来がどうなるのかはもう誰にもわからなくなった。さようならジョブズ。 【小田嶋隆】 スティーブ・ジョブズ

目的地が特定されていない移動は、それだけで既によろこびなのだ

…言って、楽しいからだ。 目的地が特定されていない場合、移動は、それだけで既によろこびなのだ。このことは、結婚を前提としていない恋愛が明白で、目的のない人生が洒脱であることとどこか通じている……だなんて、無責任な法螺(ほら)を吹くのはやめましょう。私の人生には、目的なんてありゃしないが、それは、あんまり自慢できたことじゃないのだから。 【『「ふへ」の国から ことばの解体新書』小田嶋隆(徳間書店、1994年)】 ふへの国から: ことばの解体新書作者:小田嶋 隆徳間書店Amazon

気づき(アウェアネス)に関する考察

…) 津波に関しては、小田嶋隆が紹介した「津波てんでんこ」(「津波の時は親子であっても構うな。一人ひとりがてんでばらばらになっても早く高台へ行け」という意味)こそが古来から伝わる知恵なのだ。 高台の人が逃げ遅れた人を「馬鹿だなあ」と言っている。視点は高いほど全体を見渡せる。全知全能の神とは、宇宙の一切を見通す視点を示したものだろう。ヘリコプターの視点であれば津波は一望できる。 気づき(アウェアネス)とは「悟り」のことである。蛇を見た瞬間に「危険を悟る」のだ。日常においても注意を…

「ただちに健康に影響を及ぼすものではない」

…だちに、ということを言うなら、取り落としたワイングラスにだって、いくばくかの余命はある。即座に粉々に砕けるわけではない。細かく観察すれば、手を離れたワイングラスには、運動方程式に沿った長い落下の過程がある。しかも、着地に至るまでのすべて過程を通じて、グラスの形状は完全に保たれている。大丈夫、撃たれたからといってただちに死ぬわけではない。弾丸が届くまでには、なおしばらくの猶予がある。そういうことを彼等は言っている。 【小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 世間に転がる意味不明】

テレビは家族がお互いに向き合わないで済むために発明されたものだ

…い人(できる奴もいる)は、窒息して死んでしまいかねない。 で、私は思うのだが、この空気を薄めてくれるのがテレビなのだ。 テレビのスイッチを入れる。 武田鉄矢が説教を垂れている。 「嫌な野郎だなあ」 と私は妻に言う。 「ほんと、毛の生えた足の裏みたい」 と、妻が答える。 こうして、我々は共通の敵を獲得することによって、当面の平和を実現し、共存の道を歩み始めるのだ。 【『仏の顔もサンドバッグ』小田嶋隆(JICC出版局、1993年)】 『仏の顔もサンドバッグ』 仏の顔もサンドバッグ

構成作家という職業

…面白く、怒鳴って無難な男手なければならない。 かように、「書かない作家」である構成作家が立たされているロープははなはだ細いのである。スタジオの幇間、打ち合わせ伝票のアリバイ、噂のはきだめ、男OL、近代丁稚、有料友達、会議飴…………まあ、なんとでも呼んでくれ。 ともかく、こんな仕事は、20歳代の明日なきブラブラ者にしかつとまらないはずなのである。 【『罵詈罵詈 11人の説教強盗へ』小田嶋隆(洋泉社、1995年)】 罵詈罵詈: 11人の説教強盗へ作者:小田嶋 隆洋泉社Amazon

個性は伸ばすものではなく、勝手に伸びるものだ

…換えるなら、「勝手な行動は許さん」「黙って指示に従え」という圧力を受けながら、それでもなお勝手な行動を取り、指示に従わない個性だけが本物の個性だというわけだ。さらに言い換えるなら「周囲の人間に伸ばしてもらったり、教育プログラムに育ててもらったようなものは個性とは呼ばない。個性はあらかじめ備わった天性であって、むしろ、周囲の人間による妨害の中でこそ伸びるものだ」と言っても良い。 【『イン・ヒズ・オウン・サイト』小田嶋隆(朝日新聞社、2005年)】 『イン・ヒズ・オウン・サイト』

新大久保

…は、ラブホテル街であり、ホテトルの事務所が集中している地域であり、アジア・アフリカ系不法就労者たちの一方の拠点であり、業界的に言えば、意外なほどにソフトハウスの多い土地柄であったりするのだが、このうちのどれも「新宿の隣」ということと無縁ではない。 これは、街というものの生成と発展にとって大変に不幸なことだ。「何をやっても長嶋の息子」というような状況は、本人にとっては楽なことではない。 【『山手線膝栗毛』小田嶋隆(ジャストシステム、1993年)】 『山手線膝栗毛』 山手線膝栗毛

明石家さんまの大量死

…ん、ひどい。ゴールデンの数字ではない。 内容は、数字以上にひどかった。いや、つまらないだけならいいのだ。つまらなくても、数字をとっている番組はある。さんまの番組は、ずっとそうだった。さんまほどの大物になると、内容が空疎でも視聴者を誘導するだけのオーラを持っている。視聴者は、さんまの顔を見ると安心する。と、要するに、そういう蓄積の上に、長らくこの男はあぐらをかいてきたわけだ。が、それももうおしまいだ。 【『テレビ救急箱』小田嶋隆(中公新書ラクレ、2008年)】 『テレビ救急箱』

他人の行動を傍観する視線は独善的なものになる

…う。 「暑いのにご苦労なことだな」 と私は、地上を歩いているビジネスマン風を指して言う。 「まるで昆虫だな」 と、友人が言う。 「虫だって、暑い時は日陰に入るぜ」 と私が言う。そして、我々はカクテルのお代わりを注文して、どこかの大物になったみたいな気分で椅子の背もたれに寄りかかる……なんとまあ子供っぽい優越感であることだろう。 【『「ふへ」の国から ことばの解体新書』小田嶋隆(徳間書店、1994年)】 『「ふへ」の国から ことばの解体新書』 「ふへ」の国から ことばの解体新書

ウソの論理

…事態であり、なおかつまったく理屈に合わない成り行きではあるにしても、とにかく事実は事実なのである。かように、事実は、事実であるという一点においてあらゆる無理を押し通すことができる。が、ウソは違う。ウソは無茶であってはならない。しみったれていても、胡散くさくても陳腐でも、事実は事実だが、ウソは極力もっともらしくあらねばならぬ。 【『かくかく私価時価 無資本主義商品論 1997-2003』小田嶋隆(BNN、2003年)】 『かくかく私価時価 無資本主義商品論 1997-2003』

2010年総ざらい! 吉例ビジネスいろは歌留多

小田嶋隆のア・ピース・オブ・警句 オダジマンはやっぱり天才だな。

お台場をメジャーなスポットにしようとするフジテレビの策動

…する生臭い野望が感じられるわけで、私のような場末の人間には、それがうっとうしくてならない。町名(というよりは路線価格そのもの)をトロフィー(←勝ち組の証し)としか考えない東京人(あえて言えば上京人)の思い上がり。東京双六の「上がり」を目指す田舎弥次喜多珍道中。そんなお台場格上げ計画のためにベッカムの貴族性(←もちろんメディアの捏造だが)が利用されているのだとしたら、こんなに悲しいことはない。 【『テレビ標本箱』小田嶋隆(中公新書ラクレ、2006年)】 『テレビ標本箱』小田嶋隆

本に対する執着は、人生に対する執着に他ならない

…くだけのもので、蓄積したり連続したりするものではない。しかし、我々は、それを制御しようとし、記録しようとし、あるいは積み上げ、整理し、理解し、征服しようとする。当然のことながら、その試みは成功しない。瞬間の連続でしかないものが蓄積されるわけがないのだ。 そこで、我々は人生の代わりに本を蓄積する。自分の記憶や経験を本棚に積み上げて、そこに自分の人生のネガのようなものを保存しようとするのだ。 【『安全太郎の夜』小田嶋隆(河出書房新社、1991年)】 『安全太郎の夜』 安全太郎の夜

ハサミの値札の法則〜報道機関は自分が当事者になった事件の報道はしない/『たまには、時事ネタ』斎藤美奈子

…然だ。 斎藤美奈子は小田嶋隆には及ばないが、中々健闘している。 まず「ウルトラマン」。これは怪獣という外敵から地球を守る防衛戦争の物語である。しかし、奇妙な点がひとつある。このシリーズは、どんなに地球防衛軍(科特隊なりウルトラ警備隊なり)が勇敢に戦っても、最後はいつもウルトラマンが「シュワッチ!」と登場し、怪獣を退治してくれるのだ。自力では敵を倒せぬ防衛軍。自らの存在を疑ったりはしないんだろうか……。よくいわれているように、この謎は日米安保のアナロジーで解ける。地球防衛軍はウ…

マルクス主義的な欺瞞の臭い/『「悪」と戦う』高橋源一郎

…みたいで薄気味悪い。小田嶋隆の改行が許容限界である。 この物語は人間の悪意を描いている。パラレルワールド(多重世界)を通して「悪の相対化」を試み、絶対性を換骨奪胎しようとしたのだろう。 高橋はポストモダン文学の旗手と言われているらしい。確かに分かりやすい文章でありながら、深い哲学性を窺わせる内容が見受けられる。 「なるほど。どんな遊びをするのかな」 「だっだっ」 「ぼくのつくったものをこわしたいんだって」 「おまえはそれでいいのかい?」 「いいよ」 「ランちゃんが作ったものを…

「個性重視の教育」に対する異議

…ことなのであろうし、教授さんたちが口を酸っぱくして言っている「疑問を持ち給え」というセリフにしたところで、その疑問が「大学の自治」や「学費値上げシステムの正当性」に向かうや否や、大あわてで撤回される手のものなのだ。 【『パソコンゲーマーは眠らない』小田嶋隆(朝日新聞社、1992年/朝日文庫、1995年)】 『パソコンゲーマーは眠らない』 「名を正す」/『思想革命 儒学・道学・ゲーテ・天台・日蓮』湯浅勲 パソコンゲーマーは眠らない(単行本) パソコンゲーマーは眠らない(文庫本)

タレーラン「愛国心は悪人の最後の逃げ場」

謀略外交で有名な19世紀フランスの外交官タレーランは、「愛国心は悪人の最後の逃げ場」と述べたというが、それは現代にも当てはまる。 【『北方領土 特命交渉』鈴木宗男、佐藤優(講談社、2006年/講談社+α文庫、2007年)】 元々はサミュエル・ジョンソンの言葉かもしれない。 ・愛国心への疑問/『イン・ヒズ・オウン・サイト ネット巌窟王の電脳日記ワールド』小田嶋隆

テレビにおける沈黙

…だ。テレビの偉大さは、実に、ここにある。つまり、テレビの画面の中では、放置こそが、最も苛烈な批判になるのである。活字では、こうはいかない。活字の沈黙は、行間に過ぎない。行間で語るのが一流の文章ということになってはいるが、その実、行間が語るのは余韻とか余情といった程度の、シケたノイズに過ぎない。いずれにしても、たいした情報は発信できない。ラジオの沈黙も、無音以上のものではない。サウンドオブサイレンス。蛙飛び込む水の音。 【『テレビ標本箱』小田嶋隆(中公新書ラクレ、2006年)】

ビールに適量はない

ビールの問題は、「きりがない」ことだ。ビールは確かにウイスキーや日本酒に比べればアルコール度数の低い酒だが、逆にいえば、この酒は浴びるほど飲むことによってはじめて酒たり得る酒だ。頭が痛くならないと飲んだような気がしないのだ。ビールに適量はない。飲み足りないか、飲み過ぎるかのどちらかなのだ。 【『安全太郎の夜』小田嶋隆(河出書房新社、1991年)】 ウィスキーは偉大なる平等主義者 『安全太郎の夜』 安全太郎の夜

税金の二重取り

なにしろ、この国では、税金にさえ税金がかかっている(そう。消費税は、酒税や飲食税含みの商品に対してもかかっています)。 【『無資本主義商品論 金満大国の貧しきココロ』小田嶋隆(翔泳社、1995年)】 『日本の税金』三木義一 『無資本主義商品論 金満大国の貧しきココロ』 無資本主義商品論 金満大国の貧しきココロ

戦争で異形にされた人々/『戦争に反対する戦争』エルンスト・フリードリッヒ編

…ー!」と叫び続けた。インドにおいてはアンベードカルがカースト制度に「ノー!」を叩きつけた。 時代の悪を炙(あぶ)り出すのはかくの如き反逆者であった。彼等は自らの危険を顧みることなく、自分よりも大きいもののために闘った。 エルンスト・フリードリッヒも間違いなく反逆者の一人だ。 ・Ernst Friedrich(画像検索) ・戦争は「質の悪いゲーム」だ/『パソコンゲーマーは眠らない』小田嶋隆 ・愛国心への疑問/『イン・ヒズ・オウン・サイト ネット巌窟王の電脳日記ワールド』小田嶋隆

きちんとした反社会性と粗暴さ

…かってもらっては困るのである。 ロックに出会う年齢は、せめて14歳以上であって欲しい。 でないと、きちんとした反社会性と粗暴さが確保できないからだ。5歳6歳の段階でロックに慣れ親しんでしまったら、その人間にとってロックは、ヤバい音楽でもなければ非行への入口でもない。ただの聴いて愉快なだけの、踊れるビートでしかない。ロックは、そんなものであってはならないのである。 【『仏の顔もサンドバッグ』小田嶋隆(JICC出版局、1993年)】 『仏の顔もサンドバッグ』 仏の顔もサンドバッグ

貧乏人がいなければ、金持ちは存在し得ない

…。このことはぜひ強調しておきたい。考えてみれば当然の話だが、富の源泉は、富にでなく、貧困にあるのだ。 うかつに考える人々にとって、富は、生産力の増大によってもたらされるものであるように見えがちだ。しかし、全地球的な視野に立ってみれば、資源が有限である限りにおいて、富は、富の偏在によってしか保障されないのである。 【『無資本主義商品論 金満大国の貧しきココロ』小田嶋隆(翔泳社、1995年)】 『無資本主義商品論 金満大国の貧しきココロ』 無資本主義商品論 金満大国の貧しきココロ

ラジオ局のヒエラルキー

…家、タレントといった有象無象ということになる。 で、構成作家は、そうした責任取りの場所の、切り札みたいなものになる。 具体的に言えば、番組の評判がよろしかった時にはディレクターのお手柄、よろしくなかったら構成作家の不手際……というわけ。 私は、残念ながら、そういう構成作家(つまり、あらかじめ用意されたトカゲの尻尾みたいな間抜けな存在)であった。 【『罵詈罵詈 11人の説教強盗へ』小田嶋隆(洋泉社、1995年)】 罵詈罵詈: 11人の説教強盗へ作者:小田嶋 隆洋泉社Amazon

ギネス認定はインチキ

大体、「ギネス認定」自体がインチキだってことを誰も知らないんだろうか? ギネスブックなんて、単なる私企業(ビール会社)が出してるパンフだぜ。 だから、そこで言っている「世界一」というのだっておよそ恣意的なものなわけだ。 いや、恣意的どころか、「認定料」を取るんですよ、このギネス協会って詐欺まがいの組織は。 【『イン・ヒズ・オウン・サイト』小田嶋隆(朝日新聞社、2005年)】

中途半端な自意識

半端な人間は、いつでも半端な自意識を持っている。と言うよりも彼らは確固たるアイデンティティーを持てないでいるが故に、常に自意識ばかりを成長させている。 「オレってさあ」「アタシってね」と、何かにつけて自分の話ばかりしたがるこのヒトたちは、実は自分についてまるで確信を持てないでおり、それを持つことを切実に必要としているのだ。 【『山手線膝栗毛』小田嶋隆(ジャストシステム、1993年)】