古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

2001-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『タレントその世界』永六輔

忘れ難い本がある。いたく感動した作品なんぞもそうなんだが、探し続けた挙げ句にやっと見つけた本の方が生々しい記憶となって脳味噌に刻み込まれている。私の場合だと、丸山健二の『メッセージ 告白的青春論』(文藝春秋)や、ハリソン・E・ソールズベリー…

科学万能主義による視野狭窄を露呈/立花隆『臨死体験』その二

この本を批判するために別の本まで読む羽目となってしまった。これから書くので何とも言えないが、あと数回続くかも知れないことをお断りしておく。 体外離脱の体験はいずれも面白いのだが、信憑性となると随分と危ういものも含まれているそうだ。また、本人…

目撃された人々 10

冷たい雨が降っていた。雨の日は長靴に限る。そうでなくても私が履くと似合うと言われるのだ。「ヘルメットも似合いそう」とよく言われる。「耳元に鉛筆なんぞ差していれば完璧ですね」とまで言われる。 まあ、人相風体があまりよくなくて、体格がそれなりに…

科学万能主義による視野狭窄を露呈/立花隆『臨死体験』その一

まどろっこしい本である。臨死体験への純粋な興味がある人は読まない方がいいだろう。私自身、上巻の前半で何度挫けそうになったかわからない。何らかの死生観を持っている人であれ、参考になる体験が数多く紹介されている。だが、立花が展開する論旨は“我が…