古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

2001-12-01から1ヶ月間の記事一覧

永遠を見つけるための生き方/『同じ月を見ている』土田世紀

泣ける。涙が噴き出すという形容が大袈裟でないほど泣ける。既に5回読んだが、それでも泣ける。 少年の心を失わずに生きた男の物語だ。男の名は水代元(みなしろげん)。子供の頃から“ドンちゃん”と呼ばれている。母親は既に死んでおり、飲んだくれの父親か…

『臨死体験』をめぐる書き込み 2

『臨死体験』をめぐる書き込み 1 赤マント 意外どころじゃないッスねー。全然知らなかった。 立花の「生、死、神秘体験」の「序論と解題」に以下のようなくだりがあります。 空海の晩年の著作『秘蔵宝鑰』は、空海の密教理論の精髄をなすものとして知られて…

『臨死体験』をめぐる書き込み 1

立花隆『臨死体験』その一 小野不一 立花隆の同書の所感を「逆耳」にて連載中ですが、ご意見を募りたい。昨日、発行分が上巻の後半部分に当たるので、あと2回書く予定。書きながら少し見えてきたことがあります。 小野不一 古本屋仲間より、「もっと立花批判…

科学万能主義による視野狭窄を露呈/立花隆『臨死体験』その五

初めに発行が遅れた言いわけをしておく。原稿を書こうかと思っていたところ、掲示板にて赤マント氏からの逆襲を受けてしまった。あたふたと応戦している内に、色々と考えざるを得なくなってしまったのだ。ってなわけで失礼つかまつり候。尚、掲示板でのやり…

科学万能主義による視野狭窄を露呈/立花隆『臨死体験』その四

前回の原稿を読み直して、ふと妙案を思いついた。脳が無い生き物がいるではないか。ネットで調べたところ虫にはあるようだ。 だが植物にはないだろう。あったらゴメンなさい。いくら何でもないよなー、という前提にしておく。ミトコンドリアにも無さそうだな…

科学万能主義による視野狭窄を露呈/立花隆『臨死体験』その三

目の前に蟻がいたとしよう。6本の脚(あし)を懸命に動かしながら、蟻は前進している。これを人差し指で潰す。指を裏返せば、体液をにじませた蟻の死骸がピクリともせず貼りついている。先ほどまで活発に動いていた蟻の生命は消失したのであろうか? 蟻に脳…

目撃された人々 11

近所に中学があり、夕刻になると数人で連れ立って家路へつく生徒達を時折、目にする。 男女とも、とにかくだらしがない。制服はヨレヨレで、革靴のカカトを踏んだままで引き摺るような足の動き。頭髪においては何をかいわんや、である。みっともない姿で平然…