古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

2001-08-01から1ヶ月間の記事一覧

高崎隆治

戦時史研究家・高崎隆治氏の卓見。 (我が)国の対外政策は、時間による自然消滅を期待するか、さもなくば従来型の経済支援という姑息な手段を用いるかのいずれかに頼る以外、有効な手だてを持たないのが現実である。 かつて世界はこの国を評して「東洋の孤…

目撃された人々 6

その瞬間、私の背後で脱兎の如く動いた人間がいた。神田の古書即売会。場所が場所だけに「やられたか?」との疑問が黒雲のように湧いてくる。その人物は一瞬にして1冊の本を抜き取った。フェンシングの突きのような無駄のなさと、猛禽類の急降下を思わせる素…

『ゆきゆきて神軍 製作ノート+採録シナリオ』原一男・疾走プロダクション編

とんだ馬脚を露呈した悪趣味極まる暴露本 全編これ愚痴一色である。奥崎謙三に対する原監督の恨みつらみが、これでもかと書き連ねられている。客観的に見れば、映画『ゆきゆきて、神軍』の言い訳と受け取れる。監督にとっては余りにも不本意な作品だったのだ…

アフリカへの憧れ

人類発祥の地とされるアフリカ。いまだ貧しき民が多く、政変に揺れる国も少なくないが、ドラムの響きや子供達の明るい表情に、日本以上の豊かな何かを感じることが多い。アフリカには“人間の輝き”がある。 夜明けが前がもっとも暗いように、闘いも、終末に近…

『ゆきゆきて、神軍』原一男監督

実写フィルムである。ナレーション・BGMは無し。 物腰の低い62歳の男が現われる――奥崎謙三。顔の相に何かが滲み出ている。続いて結婚式会場へ場面が一転。仲人として祝辞を述べる奥崎。うち並ぶ親族を前に自らが犯してきた罪を語り、反体制活動が新郎との縁…

ニュース拾い読み・書き捨て 9

被害者イジメの俗悪週刊誌 ▼沖縄県で起きた米兵による女性暴行事件で、被害者の女性が沖縄弁護士の人権擁護委員会に人権救済の申し立てをした(7月28日)▼内容は、一部週刊誌の報道によってプライバシーを侵害されたというもの▼ある週刊誌の女性記者は被害者…

目撃された人々 5

カスタネットのような音がけたたましく鳴り響いた。振り向くと、階段を下りてくる馬鹿ムスメのサンダルの音だった。時折、目にする光景だ。ハイヒールのようなサンダルが大半である。馬鹿ムスメを睨みつけても、どこ吹く風といった様子。「悪いのはワタシじ…

ものの見方〜谷川浩司

明豊対聖光学院。結果は20-0で聖光学院が大敗を喫した。実は、わたくし、工藤の家でこの試合を見ていた。私が受けた印象は「緊張し過ぎたのかな?」程度であった。翌日(8月12日付)の朝日新聞に驚くべき記事が掲載されていたのでご紹介しよう。題して「君と…

軍事費のほんの一部を使うだけで世界は一変する

ある試算によると、世界で使われる年間の軍事費は約1兆ドル(122兆円)。これをちょっと負けてくれるだけで、何ができるか? 読み書きできない子供2億7500万人に文字を教えるために必要な額が80億ドル。これが軍事費の3日分に相当。 ユニセフ(国連児童基金…

大将軍アレキサンダー

アレキサンダーが、宿敵であるペルシャ王の軍勢に打ち勝った直後のエピソード。 アレキサンダーは何と敵の王の母親のもとに、すぐさま部下を送って丁重な伝言を届けたという。それは、子息である王が無事に生きていることを伝え、母親を安心させる内容であっ…

目撃された人々 4

今日、目撃したのは小学生の二人組。透明なビニール・バッグの中身がバスタオルだったことから、多分、プールへ向かう途中だと思われた。1年生か2年生であろうこの二人、真っ直ぐ歩くことがない。肩をぶつけ合ったり、指で突き合ったりしながら、離れてはく…