書評:介護
・『もっと!らくらく動作介助マニュアル 寝返りからトランスファーまで』中村恵子監修、山本康稔、佐々木良・『今日から実践! “持ち上げない”移動・移乗技術』移動・移乗技術研究会編 これはオススメ。岡田慎一郎著『古武術介護入門 古の身体技法をヒント…
決して悪い本ではない。文章もこなれている上、著者自身が癌を宣告され余命いくばくもない中で執筆されているため独特な透明感がある。 老い呆けし母を叱りて涙落つ 無明無限にわれも棲みゐて(斎藤史〈さいとう・ふみ〉) 【『痴呆を生きるということ』小澤…
・重度身体障害者が独り暮らしを断行・『往復書簡 いのちへの対話 露の身ながら』多田富雄、柳澤桂子 よもや、活字で「三角山」に出会うとは思わなかった。私は幼少時をこの山の麓(ふもと)で過ごしているのだ。それ以降、苫小牧、帯広と引っ越し、再び札幌…
リハビリテーションの思想と、イタリアのカルロ・ペルフェッティが提唱する認知運動療法の啓蒙書である。宮本省三の文章は機関銃のように怒りを放っている。畳み込む理論が時に破綻することもある。実に強引極まりない。私は本書を読んで、宮本省三の評価に…
・経頭蓋磁気刺激法(TMS) ・リハビリ〜歩行をイメージする 今読んでいる最中の『マインド・ウォーズ 操作される脳』(ジョナサン・D・モレノ著/久保田競監訳、西尾香苗訳、アスキー・メディアワークス、2008年)の表紙見返しに「脳機能の最高権威 久保田…
門野晴子は幼い頃、母親から虐待されていた。それでも、介護が必要となった母を自分が引き取ることにした。理由は自分でもわからないという。 とにかく婆さんの偏屈ぶりが凄い。これほどひねくれていれば、もはや笑うしかない領域に達している。著者自身が娘…
三好春樹のエッセイはハズレがない。介護に興味がなくても十分楽しめる。介護従事者であればユーモラスな文章の合い間から深い見識を汲(く)み取ることができる。 老い先が短くなってくると、外面(そとづら)をよくする必要はなくなる。好かれようが嫌われ…
・リハビリ革命 ・片麻痺患者の体性感覚 宮本省三の最新刊である。認知運動療法入門といってよい。リハビリ・介護関係者は必読。リハビリの歴史もよく理解できる内容となっている。 認知運動療法はイタリアのカルロ・ペルフェッティが提唱した新しいリハビリ…
介護保険の導入が2000年なので、それを睨(にら)んで執筆したものと思われる。発行から既に10年以上経過しており、時期を逸した感もあるが、それでも有益さが損なわれることはない。 広井良典が説くのは「思想としてのケア」であり、「ケアという行為」から…
早期リハビリの危険性に関する情報。ま、参考程度にしてもらいたい。 早期リハビリテーションと称して急性期に早期起立や早期歩行を求めると、脳の自然回復を遅らせる可能性がある。さらに、早期起立や早期歩行は「痙性(spasticity)」という異常な緊張感を…
脳梗塞など脳血管障害によって片麻痺になる人は多い。以下は、利き腕の側が麻痺になった場合、どのように反対の手で文字を書くかという具体的な手法。これは覚えておいて損はない―― ただ、利き手でない手で字を書くには訓練の順序がある。字を書くときは筆圧…
・経頭蓋磁気刺激法(TMS) ・リハビリ〜歩行をイメージする 初心者向けリハビリ最新情報といった内容。さほど勉強にはならなかったが、この検査法は知らなかった。 その代わりによく用いられる方法が経頭蓋(けいとうがい)磁気刺激法(TMS)というやり方で…
入力したテキストを見直していたところ、書き忘れていることに気づいた。ここのところ、読むペースが異様に速い。ちなみに私は、「紙」というテキスト編集ソフトを使用している。 時間の概念を持つのは人間だけだとされている。果たして本当なのだろうか? …
タイトルが衝撃的だ。「貧乏人、金持ちになる」よりも凄いね。介護版『王子と乞食』と言いたいところだが、そんな甘いものではない。平澤は言語聴覚士となった現在も尚、失語症と格闘している。 私が訪問している患者さんの奥さんがこんな話をしてくれました…
・巧みな介護の技・『古武術で毎日がラクラク! 疲れない、ケガしない「体の使い方」』甲野善紀指導、荻野アンナ文 ・『体の知性を取り戻す』尹雄大 ・『響きあう脳と身体』甲野善紀、茂木健一郎 ・『武術と医術 人を活かすメソッド』甲野善紀、小池弘人 DVD…
・『免疫の意味論』多田富雄 ・『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち』渡辺一史 ・『寡黙なる巨人』多田富雄 ・世界的な免疫学者もリハビリ難民に・『往復書簡 いのちへの対話 露の身ながら』多田富雄、柳澤桂子 多田富雄は抑制T…
これほどエッセイを堪能したのは、古波蔵保好著『男の衣裳箪笥』以来かもね。介護というのは、人生の最終ステージにおける人間ドラマである。それゆえ、誰もが「される側」になったり、「する側」になる可能性がある。 まず、三好春樹氏の顔がいい。どこかで…
衝撃的なタイトルだが、中身は「障害者の性」を扱った極めて真面目なルポ。文章も読みやすい。 竹田さんはビデオでこんな言葉を語っていた。 「介護を受けるってことは僕らにとっては最大の屈辱なんだ。我慢してるよ。生きるためにね」 【『セックスボランテ…
障害者プロレス第2弾である。 北島の2冊目である。ペンが随分と落ち着いている。障害者と社会の間に存在する欺瞞をぶち壊そうと開始したプロレス興行が波に乗る。すると今度は、障害者が自分自身と向き合わざるを得なくなる。身体的な苦痛、将来への不安、家…
副題は“障害者が「プロレスラー」になった日”。表紙に掲載されている写真を見るとわかるが本物である。正真正銘の障害者の面々だ。小ぶりの写真に何とも言えぬ笑顔の数々が眩しい。 著者が代表を務める障害者プロレス団体「ドッグレッグス」が誕生した経緯か…