書評:日本史

日清戦争に反対した勝海舟/『氷川清話』勝海舟:江藤淳、松浦玲編

青春時代の15年間を私は江東区の亀戸で過ごした。道産子ではあったが、生来の口の悪さもあって下町の水がよく合った。近所のおじさんやおばさんにも随分とお世話になった。東京の下町にはまだ人情の灯(ひ)がともっていた。 歴史上の人物で私が唯一親近感を…

大日本帝国は軍国主義のためではなく官僚主義のために滅んだ/『歴史を精神分析する』(『官僚病の起源』改題)岸田秀

ある時代の常識が、時を経て異様な姿となって現れてくることは決して珍しくない。むしろ多いくらいだ。岸田秀はこれを「共同幻想」としてバッサバッサと斬り捨てている。 岸田によれば「アメリカは強迫神経症(強迫性障害)」で「日本は精神分裂病(統合失調…

著者が唱える「顕密体制」に異議あり/『戦国仏教 中世社会と日蓮宗』湯浅治久

込み入った話題が多く一般向けではない。またテーマが曖昧なため、締まりを欠いた内容となっている。歴史の断片を取り上げることに異論はないが、意味性・物語性を示さなければ些末な事実で終わってしまう。 中ほど以降は飛ばし読みのため、思いつくままに書…

明治維新は外資によって成し遂げられた/『洗脳支配 日本人に富を貢がせるマインドコントロールのすべて』苫米地英人

では、明治維新のおさらいをしておこう。 1840年 阿片戦争 1841年 中濱万次郎、太平洋を漂流しアメリカ船に救われる。 1851年 土佐漁民中濱万次郎ら、アメリカ船に送られて琉球に上陸する。 1853年 黒船来航 1854年 日米和親条約 1858年 安政の大獄 1860年 …

寺請制度が坊主を官僚に変えた/『庶民信仰の幻想』圭室文雄、宮田登

海老沢泰久の『青い空』に引用されていた一冊。そうでもなきゃ、こんな本を手に取ることはなかったことだろう。 日本人の精神風景を考える上で寺請制度は無視できない。ま、面倒だとは思うが、以下のテキストをよく読んでもらいたい。では、予習の時間だ―― …