書評:メディア
一見すると、林秀彦の真剣さは強迫神経症をかもし出し、真面目さは被害妄想に導いているように感じられる。それはきっと半分当たっている。もう半分は「行き過ぎた成功からの反動による行き過ぎた自省」であろう。メディアの寵児(ちょうじ)は誰よりもメデ…
林秀彦は、人気テレビドラマ『鳩子の海』や『七人の刑事』の脚本を書いた人物。後に、バラエティショーの司会やFMのディスクジョッキーも務めた。その“テレビ側の人物”が、怒りを込めて完膚なきまでにテレビの毒性を糾弾している。 この本は賛否両論が極端に…
世界に類を見ない記者クラブ制度を徹底的に糾弾している。私が初めて記者クラブ問題を知ったのは、カレル・ヴァン・ウォルフレン著『日本/権力構造の謎』(早川書房、1990年/ハヤカワ文庫、1994年)を読んでのこと。ウォルフレンは外国人記者を排除する日…
テレビを観なくなってから一年ほど経過している。いや一年は大袈裟だな。9ヶ月くらいか。この間に観たのは、NHKスペシャル1回のみである。既にスイッチを入れないというレベルではなくて、コンセントが抜きっ放しになっている有り様だ。我が家にあってテレビ…
テレビはいつだって「利用できる人」を探している。少しばかり注目が集まると、直ぐにハシゴをかける。で、雲行きが怪しくなった途端、ハシゴを外してみせるのだ。 (※亀田)大毅の態度は擁護できない。容認もできない。が、パンチは、自分に返って来る。ボ…
・『9.11 アメリカに報復する資格はない!』ノーム・チョムスキー ・近代政府による組織的な宣伝活動 ・アメリカ軍国主義が日本を豊かにした ・ウォルター・リップマンの策略 ・観客民主主義 ・民主主義の新しい革命的な技法=合意のでっちあげ ・「必要な幻…
・小田嶋隆による『広告批評』批判 その一 ・小田嶋隆による『広告批評』批判 その二 これで最後。小田嶋隆の結論は鋭い。横に薙(な)いだ刀で、広告宣教師・天野祐吉の上半身と下半身は真っ二つにされてしまう。 確認しておこう。CMは断じて(そう、断じて…
・小田嶋隆による『広告批評』批判 その一/『罵詈罵詈 11人の説教強盗へ』小田嶋隆 彼は『広告批評』という雑誌を創刊した。 そして、テレビの画面や、雑誌の誌面や、講演の舞台の上でも、繰り返し繰り返し、広告の効用を説いてきた。 言って見(ママ)れば…
・『我が心はICにあらず』小田嶋隆 ・『安全太郎の夜』小田嶋隆 ・『パソコンゲーマーは眠らない』小田嶋隆 ・『山手線膝栗毛』小田嶋隆 ・『仏の顔もサンドバッグ』小田嶋隆 ・『コンピュータ妄語録』小田嶋隆 ・『「ふへ」の国から ことばの解体新書』小田…
3ヶ月ほど前に読了していたのだが書き忘れていた。これは好著。安部司著『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』を鵜呑みにしている人(筆頭は宮台真司)は必読。 メディアの仕事は事実を報道することが半分で、残りの半分はデマを捏造することだ。特に映像…
翻訳に際して数章ほど割愛したとのことだが、それでも十分な厚さ。資料としても耐え得る量でありながら、きちんとした読み物になっているところが凄い。1854年から1975年に至るまでの戦争(クリミヤ戦争からベトナム戦争まで)をフォローした労作。 マルタ遠…
・『我が心はICにあらず』小田嶋隆 ・『安全太郎の夜』小田嶋隆 ・『パソコンゲーマーは眠らない』小田嶋隆 ・『山手線膝栗毛』小田嶋隆 ・『仏の顔もサンドバッグ』小田嶋隆 ・『コンピュータ妄語録』小田嶋隆 ・『「ふへ」の国から ことばの解体新書』小田…
・『9.11 アメリカに報復する資格はない!』ノーム・チョムスキー ・近代政府による組織的な宣伝活動 ・アメリカ軍国主義が日本を豊かにした ・ウォルター・リップマンの策略 ・観客民主主義 ・民主主義の新しい革命的な技法=合意のでっちあげ ・「必要な幻…
・『我が心はICにあらず』小田嶋隆 ・『安全太郎の夜』小田嶋隆 ・『パソコンゲーマーは眠らない』小田嶋隆 ・『山手線膝栗毛』小田嶋隆 ・『仏の顔もサンドバッグ』小田嶋隆 ・『コンピュータ妄語録』小田嶋隆 ・『「ふへ」の国から ことばの解体新書』小田…
文章がやや生硬なのは大学教授のせいか。メディア・リテラシーの手引きといった内容。私としては少々物足りなかった。「権威のウソ」と題して、『ゲーム脳の恐怖』というベストセラーを俎上(そじょう)に乗せて、バッサバッサと切りまくっている。ゲームを…
報道カメラマンの宮嶋茂樹氏が、中学生向けにメディアリテラシーを説いた本。実にわかりやすく丁寧な文章が著者の人間性を表している。学校の先生は必読。中学の教科書に採用してもらいたいぐらいだ。巻末では、自分がカメラマンになった経緯を紹介し、将来…
日本はどういうわけか、民法テレビ局はいずれも新聞社の系列に連なっている。メディアが寡占状態となるのは、受け手にとっては好ましい状態とはいえないだろう。検索で調べてみたが、この辺りの事情はよくわからなかった。以下、参考までに―― ・資本系列 テ…
向井敏、逝去――このニュースを新聞で知った時、少なからぬショックを受けた。この本を読み終えたのは亡くなる少し前だったから、何か因縁があったのかも知れぬ。学生の時に伝説的なガリ版同人誌『えんぴつ』を発行。盟友、開高健と谷沢永一に挟まれた彼は、…
副題は「三行広告は語る……」。普段は目にも止めない三行広告であるが佐野の手腕にかかると恐るべき社会の現実が立ち現れてくる。ご存じのように、この手の広告はデザイナーやコピーライターを必要とすることもなく、略字などが多く使われていて、それだけに…
・読者と記者が奏でる喜怒哀楽のハーモニー・『交通事故鑑定人 鑑定暦五〇年・駒沢幹也の事件ファイル』柳原三佳 ・『あの時、バスは止まっていた 高知「白バイ衝突死」の闇』山下洋平 ・『自動車の社会的費用』宇沢弘文 ・『交通事故学』石田敏郎 黒田軍団…
スリリングな本だ。写真の読み方を解いた内容なのだが、声高に糾弾したり、専門家ヅラして能書きを垂れるような態度はこれっぽっちもない。読み易い言葉は、思索と熟考の果てから生まれたものだろう。何にも増して写真に対する真摯な情熱が行間からにじみ出…