生と死

あるダイバーの最期

有名なダイバーだったユーリ・リプスキー氏の最期を捕えた映像。エジプトのブルーホールというダイブスポットで、ユーリ氏は突然海底へと沈み始めます。彼が持っていたビデオカメラが、すべてを記録していました。しかし、奈落の底へ落ちた理由は、未だに謎…

あなたの価値

世の中には、病気や過労や生活苦やイジメで自殺に追い込まれる人もいれば、自分の存在が何なのかわからなくなって自ら命を絶つ人もいる。自分がこの社会でどこに位置づけられているのか? 自分にはどんな価値があるのか? そんなことで生きる意味がわからな…

アナロジーは死の象徴化から始まった/『カミとヒトの解剖学』養老孟司

『唯脳論』養老孟司 霊界は「もちろんある」 夢は脳による創作 神は頭の中にいる 宗教の役割は脳機能の統合 アナロジーは死の象徴化から始まった ヒトは「代理」を創案する動物=シンボルの発生 自我と反応に関する覚え書き 『完全教祖マニュアル』架神恭介…

生と死の間に生まれ出る言葉/『異空間の俳句たち 死刑囚いのちの三行詩』異空間の俳句たち編集委員会

人を殺(あや)めた男達が、牢獄で自分の死と向き合う。罪を顧(かえり)み、残された生をひたと見つめ、更にもう一段高い視点から俳句は生まれる。 死を自覚すると、生の色彩はガラリと変わる。その時、彼等の胸の内で悔恨の風が吹き抜けたことだろう。そう…

逃げ惑う少年の悟りの如き諦観

2〜3時間が過ぎてから、サイドゥはとても深い声で、まるでだれかが乗り移ったみたいに、こう言ったのだ。「あと何回ぐらい死を受け入れれば、安全な場所が見つかるんだろう?」 【『戦場から生きのびて ぼくは少年兵士だった』イシメール・ベア/忠平美幸〈…

米兵は拷問、惨殺、虐殺の限りを尽くした/『人間の崩壊 ベトナム米兵の証言』マーク・レーン

『ベトナム戦記』開高健 米兵は拷問、惨殺、虐殺の限りを尽くした 米国の不快な歴史 『動くものはすべて殺せ アメリカ兵はベトナムで何をしたか』ニック・タース 『アメリカの国家犯罪全書』ウィリアム・ブルム 『ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の…

虫けらみたいに殺されるパレスチナの人々/『「パレスチナが見たい」』森沢典子

『パレスチナ 新版』広河隆一 虫けらみたいに殺されるパレスチナの人々 銃弾が食い込んだままの教科書 普段通りの暮らしを続けることが人々のインティファーダだった パレスチナ人は普通の暮らしも望めない 幼稚園の先生がパレスチナへ行った。彼女は9.11テ…

人は自分の死を体験できない

古代ギリシアから今日に到るまで、多くの人々によって唱えられてきた死をめぐる箴言(しんげん)がある。“人は自分の死を体験できない。体験できるのは他者の死だけである”。この箴言が妥当視されてきたからこそ、古代の宗教祭典において人々は動物や時には…

デモ行進をしただけで殺される人々/『シャヒード、100の命 パレスチナで生きて死ぬこと』アーディラ・ラーイディ

数字は個別の物語を捨象する。例えば、完全失業者数は359万人(2009年7月)、65歳以上の人口は2640万人(2006年9月)、交通事故による死者数は5155人(2008年)、自殺者は3万2249人(2008年)などを見ても明らかなように、個々人の顔が全く浮かんでこない。…

狂気を情緒で読み解く試み/『死と狂気 死者の発見』渡辺哲夫

『物語の哲学』野家啓一 狂気を情緒で読み解く試み ネオ=ロゴスの妥当性について 『アラブ、祈りとしての文学』岡真理 『プルーストとイカ 読書は脳をどのように変えるのか?』メアリアン・ウルフ 『神々の沈黙 意識の誕生と文明の興亡』ジュリアン・ジェイ…

死者数が“一人の死”を見えなくする/『アラブ、祈りとしての文学』岡真理

イスラエル問題を知れば知るほど暗澹(あんたん)たる気持ちになってくる。世界がどうしてこれほどパレスチナを無視するのかが全く理解できない。 結局のところ、パレスチナってのはイギリスから見た場合、単なる空き地に過ぎなかったということだ。第一次世…

重度身体障害者が独り暮らしを断行/『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち』渡辺一史

重度身体障害者が独り暮らしを断行 『往復書簡 いのちへの対話 露の身ながら』多田富雄、柳澤桂子 よもや、活字で「三角山」に出会うとは思わなかった。私は幼少時をこの山の麓(ふもと)で過ごしているのだ。それ以降、苫小牧、帯広と引っ越し、再び札幌の…

暴力が破壊するもの 3/「黒い警官」ユースフ・イドリース(『集英社ギャラリー〔世界の文学〕20 中国・アジア・アフリカ』所収)

暴力が破壊するもの 1/「黒い警官」ユースフ・イドリース(『集英社ギャラリー〔世界の文学〕20 中国・アジア・アフリカ』所収) 暴力が破壊するもの 2/「黒い警官」ユースフ・イドリース(『集英社ギャラリー〔世界の文学〕20 中国・アジア・アフリカ』所…

暴力が破壊するもの 2/「黒い警官」ユースフ・イドリース(『集英社ギャラリー〔世界の文学〕20 中国・アジア・アフリカ』所収)

暴力が破壊するもの 1/「黒い警官」ユースフ・イドリース(『集英社ギャラリー〔世界の文学〕20 中国・アジア・アフリカ』所収) 前回は登場人物のシャウキーを紹介した。今回はアッバースを取り上げる。実は彼こそが「黒い警官」だった―― このアッバース・…

暴力が破壊するもの 1/「黒い警官」ユースフ・イドリース(『集英社ギャラリー〔世界の文学〕20 中国・アジア・アフリカ』所収)

暴力を振るう側と振るわれる側との関係、暴力の様相、暴力の意味、暴力の影響、そして暴力の成れの果て……。この小説の主人公は暴力である。 広河隆一著『パレスチナ 新版』(岩波新書、2002年)で、ガッサーン・カナファーニーと岡真理を知った。そして、岡…

「万物と共に踊る」ものは何か?/『高村光太郎詩集』

東京は梅雨が明けた。夾竹桃(きょうちくとう)が色めき、ひまわりがスッと背丈を伸ばしている。灼熱の太陽と我慢比べをするみたいに蝉が鳴き始めた。 私はどんなに暑くともエアコンを使わない。「夏に負けてなるものか」と意地を張り、夏のエネルギーを体内…

自爆せざるを得ないパレスチナの情況/『アラブ、祈りとしての文学』岡真理

『物語の哲学』野家啓一 『死と狂気 死者の発見』渡辺哲夫 自爆せざるを得ないパレスチナの情況 9.11テロ以降パレスチナ人の死者数が増大 愛するもののことを忘れて、自分のことしか考えなくなったとき、人は自ら敗れ去る 物語の再現性と一回性 『プルースト…

パレスチナ人の叫び声が轟き渡る/『ハイファに戻って/太陽の男たち』ガッサーン・カナファーニー

ガッサーン・カナファーニーは現代アラブ文学を代表する作家の一人。そして彼はパレスチナ解放人民戦線のスポークスマンでもあった。イスラエル建国に伴って12歳の時に難民となり、二十歳(はたち)の頃から糖尿病に苦しみ、1972年7月18日、車に仕掛けられた…

チェチェンの伝統「血の報復の掟」/『国家の崩壊』佐藤優、宮崎学

チェチェン人の男は必ず復讐を果たすという―― それから、チェチェンには、独特の「血の報復の掟」があるんです。チェチェンでは、子どもが生まれると、男の子だけですが、7代前までの名前を全部暗記させるんです。それから、どこで生まれてどこで死んだとい…

同居家族が老人を孤独へ追いやる/『自殺死体の叫び』上野正彦

同居家族が老人を孤独へ追いやる 最も多い自殺原因は「経済生活問題」 作為的に死を選ぶのは邪道 『自殺の9割は他殺である 2万体の死体を検死した監察医の最後の提言』上野正彦 リラックスした筆致が読みやすい。回顧調も心地よい。著者は監察医という立場で…

パソコンの世界は「死」に覆われている/『安全太郎の夜』小田嶋隆

ま、進化のスピードが極端に速いってな話だ。本当は宮崎勤の件(くだり)を紹介したかったのだが、本日分のスペースが長大になってしまうため、後日披露しよう。 真面目な話、有為転変の激しいこの(※パソコンの)世界にいると、つくづく「死」というものに…

人を殺してはいけない理由/『ブッダは歩むブッダは語る ほんとうの釈尊の姿そして宗教のあり方を問う』友岡雅弥

【※本当は12月20日に書いているのだが、量が多くなってしまったため、翌日分とした】 オウム真理教が跋扈(ばっこ)し、酒鬼薔薇事件が世間を騒然とさせた直後から、「なぜ人を殺してはいけないのか?」という問いが子供達から発せられるようになった。 私に…

死線を越えたコミュニケーション/『生きぬく力 逆境と試練を乗り越えた勝利者たち』ジュリアス・シーガル

既に絶版となっているため、長文の引用をしておこう。本書の白眉ともいえる箇所だ。「極限状況におけるコミュニケーションの意味」を理解することができる。人は誰かとつながっているからこそ生きてゆけるのだ。極限状況と日常の差異は何か。それは、「生命…

電通過労自殺事件/『自殺のコスト』雨宮処凛

過労自殺や過労死が示しているのは、「不作為による殺人」といっていいだろう。もちろん、“殺した側”に罪の意識はない。歩いている時に虫を踏んだ程度の罪悪感すらないことだろう。時に会社が社員を殺すという事実を我々はわきまえる必要がある。ある面から…

ルワンダ大虐殺の始まり/『ジェノサイドの丘』フィリップ・ゴーレイヴィッチ

ルワンダ――この国名は、もはや私にとって他人事では済まされない。骨髄に刻まれた感がある。人間の狂気と寛容とを兼ね備え、殺した人々と殺された人々の家族が共に住む大地。その重みに耐えかねて、アフリカ大陸は窪んでしまっていることと想像する。 教室の…

『わたしのリハビリ闘争 最弱者の生存権は守られたか』多田富雄

世界的な免疫学者もリハビリ難民に 多田富雄は抑制T細胞を発見した人物で、DNAによる支配に異を唱え、自己生成系としての超(スーパー)システムを唱える免疫学の世界的権威。その傍らで能の創作も行っており、病に倒れた後も続けている。 多田は2001年に脳…

『ビヨンド・リスク 世界のクライマー17人が語る冒険の思想』ニコラス・オコネル

タイトルは「リスクの向こう側」という意味か。既に引退した登山家も多いが、これっぽっちも老いを感じさせない。メラメラと燃え続ける何かがある。語られているのは「過去の物語」ではなく、まさに「思想」だ。 世界屈指のクライマーのインタビュー集。それ…

飛び降り自殺をする時に靴を脱ぐ理由

アメーバニュース 同記事によれば、「事故ではなく自殺であるということを他の人に示すため」、「テレビなどの影響を受けているため」のふたつで、次いで「踏ん切りをつけるため」、「自殺という行為に儀式性を持たせるため」、「幽霊には足がないから靴はい…

『歌占 多田富雄全詩集』

歌占 死んだと思われて三日目に蘇った男は 白髪の老人になって言った 俺は地獄を見てきたのだと そして誰にも分からない言葉で語り始めた それは死人の言葉のように頼りなく 蓮の葉の露を幽(かす)かに動かしただけだが 言っているのはどうやらあの世のこと…

家族が交通事故の犠牲となる前に/『交通事故鑑定人 鑑定暦五〇年・駒沢幹也の事件ファイル』柳原三佳

『記者の窓から 1 大きい車どけてちょうだい』読売新聞大阪社会部〔窓〕 家族が交通事故の犠牲となる前に 『自動車の社会的費用』宇沢弘文 警察庁の資料によると交通事故による死者数は、平成8年(1996年)以降、1万人を下回り、確実に減少しつつある。それ…