書評:SF
SFの醍醐味は、科学技術が発達してもなお避けることのできない人間の苦悩を描き出すところにある。未来という舞台設定に映し出されているのは、現代社会が抱える人間の業(ごう)といっていいだろう。 グレッグ・イーガンを初めて読んだ。短篇集である。文章…
・『夜中に犬に起こった奇妙な事件』マーク・ハッドン ・暗闇の速度・『ストーンサークルの殺人』M・W・クレイヴン ・『グレイラットの殺人』M・W・クレイヴン・ミステリ&SF 近未来SF。主人公のルウは自閉症である。味わい深い文章であるためスラスラ読み進…
(『笑うな』所収/徳間書店:絶版、現在は新潮文庫) パロディの精神とはシニシズムなのであろうか。あらゆるものを見下し、自分を高みに置き、鼻で笑って済ます態度を指すのであろうか。私はそうは思わない。笑って達観してみせる知性は、弱きを助け強きを…
伝奇小説の金字塔ともいうべき傑作である。 UFOに始まり、ナスカの地上絵、ピラミッド、ストーン・サークル、ピリ・レイスの古地図、極移動説等々。これに、フリーメーソンと自衛隊が絡み、歴史上の人物が勢揃いし、遠野物語が基調を奏でる。豪華絢爛、謎と…