古本屋の覚え書き

「ただ独り、不確かな道を歩め」エリアス・カネッティ

書評:マンガ

『親なるもの 断崖』曽根富美子

日本漫画家協会賞の優秀賞に輝き、曽根富美子の名を不動にした名作を読んだ。長らく絶版になっていたが、やっと復刊された。昭和初期の遊郭が史実に基づいて描かれている。 一度目で挫けた。意を決して再読したが、私の精神力が耐え切れず、飛ばし読みをする…

『銀と金』福本伸行

・『銀と金』・『賭博黙示録カイジ』福本伸行 ・『福本伸行 人生を逆転する名言集 覚醒と不屈の言葉たち』福本伸行著、橋富政彦編 ・『福本伸行 人生を逆転する名言集 2 迷妄と矜持の言葉たち』福本伸行著、橋富政彦編 43年生きてきたが、よもや、これほどの…

永遠を見つけるための生き方/『同じ月を見ている』土田世紀

泣ける。涙が噴き出すという形容が大袈裟でないほど泣ける。既に5回読んだが、それでも泣ける。 少年の心を失わずに生きた男の物語だ。男の名は水代元(みなしろげん)。子供の頃から“ドンちゃん”と呼ばれている。母親は既に死んでおり、飲んだくれの父親か…

淡白なギャグに挿入される感動/『おたんこナース』佐々木倫子

漫画である。連載中から愛読していた。前々から思っていたのだが、佐々木作品には見事な淡白さがある。今回読んで初めて知ったのだが、北海道の人だったのね。納得。私を筆頭とする北海道人は淡白なのである。なぜか? 歴史が浅いからだ。つまり先祖伝来の怨…

思春期のてらいをすくい取る鮮やかな手並み/『こんぺいと・は・あまい』くらもちふさこ

何を隠そうくらもちふさこのファンである。それも高校生の時からだ。別冊マーガレットに連載されていた『いろはにこんぺいと』を読んで、見事にはまってしまった。本書はその続編で、中学生になった「クンちゃん」が主人公。達(とおる)とチャコは脇役だ。 …

孤独の充実を説く傑作/『無頼伝 涯』福本伸行

またしても漫画である。休日には、やはり漫画が似合う。これは先日、注文して、やっと今日届いた作品。 孤立せよ… ――これが1ページ目にアップで書かれている。少しバランスの悪い明朝体が、木に彫られた文字のように見える。真っ黒な背景の中から浮き上がる…

『童夢』大友克洋

あり得ないリアル 今では既に古典の感がある作品だ。奥付けを見ると1983年とあるから、私が丁度、二十歳(はたち)の時だ。同じ頃にスティーヴン・キングの『ファイア・スターター』(新潮文庫)が出たせいか、どこか似た印象を受けたままになっている。友人…