書評:政治

八ッ場ダム一帯は自民党支持者の多い地域/『鳩山由紀夫の政治を科学する 帰ってきたバカヤロー経済学』高橋洋一、竹内薫

民主党は財務省、経済産業省を擁護 電車本としては好著。もちろんトイレ本でも構わない。軽薄な調子の対談となっているが、高橋は元官僚だけあって政治力学を鋭く読み解いている。更に高橋と竹内が共に理系出身とあって、数式化を試みながら民主党の原理をわ…

北方領土ビジネス/『北方領土 特命交渉』鈴木宗男、佐藤優

怨念のこもった一冊。一矢(いっし)報いようとする二人の執念は、外務省幹部の実名を挙げ、顔写真まで入れて指弾している。北方領土を取り巻く日ロ交渉の舞台裏が描かれており、テレビや新聞の流すニュースがどれほど不毛であるかがよく理解できる。しかし…

官制経済体制の打破こそ真の構造改革/『日本が自滅する日 「官制経済体制」が国民のお金を食い尽くす!』石井紘基

石井紘基が生きていれば、私はきっと会いに行ったことだろう。権力の厚い壁を前にして、たった一人で何度も体当たりを食らわせた男だ。そして遂に風穴を空けた。特別会計の存在を明るみに引きずり出し、特殊法人・公益法人という魑魅魍魎(ちみもうりょう)…

多党制と連立政権/『政治を考える指標』辻清明

25年以上前に読んだ本である。意外とすんなり読み終えたことに驚いた記憶がある。初版は1960年だから、私が生まれる前のこと。 自由民主党は1955年の結党以来、38年の長きにわたって一党支配を維持してきた。高度経済成長(1955-1973年)を経てバブル景気(1…

ファシズム全体主義を徹底的に糾弾する一書/『ドラッカー名著集 9 「経済人」の終わり』P・F・ドラッカー

ドラッカーの処女作である。書き始めたのはヒトラーがドイツ首相となった直後のこと(1933年2月)。ドラッカーは23歳だった。書き上げた後も原稿を温めていた。ドラッカーの予測は次々と的中した。こうして1939年(昭和14年)に刊行されベストセラーとなった…

世論は当てにならない/『雍正帝(ようせいてい) 中国の独裁君主』宮崎市定

雍正帝は清朝の第5代皇帝。在位が1722〜1735年というから、日本の享保年間に当たる。清朝は満州族が立てた王朝で、1644年から1912年までの長きにわたって中国を支配した。 雍正帝は特殊な独裁システムを構築した。信用できなければ、兄弟であろうと容赦なく…

辛淑玉による公明党批判/『怒らない人』辛淑玉

根本的に勘違いしている主張のオンパレードだが、公明党批判は的を射ている。例えば、浜四津敏子代表代行についてこう書いている―― たとえば、盗聴法に反対して闘っているとき、公明党の浜四津敏子代表代行は、集会で最初わたしの傍で威勢良く反対を叫んでい…

政治的受益者の地位に甘んじるな/『政治を考える指標』辻清明

ここ最近、紹介しているものは、いずれも二十歳(はたち)の頃に読んだ書籍である。やはり、若き日の鮮烈な感動は、世界を押し広げる度合いが違う。心の打たれ方が激しい。 人間の能力は、年ごろになって自然と顔にあらわれてくるにきびのごとく、放っておい…

複眼思考で自分の歪みを正す/『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』佐藤優

まずは以下の記事を読んでもらいたい。 情報の歪み=メディア・バイアス で、次なる問題として当然「自分というバイアス」が考えられる。どちらかと言えばこっちの方が問題である。正しい情報まで歪めることもあるからだ。早合点、曲解、すり替えなど。人間…

官僚の特権意識が不正を正当化する/『官僚病の起源』岸田秀

読んでから随分と時間が経ってしまった。1997年1月発行。今頃出せば、もっと売れていたことだろう。時代を先読みし過ぎた感がある。 岸田秀の言い分は、『ものぐさ精神分析』に尽きており、他の著作は焼き直しに過ぎない。これは本人もそう語っている。「唯…

『わたしのリハビリ闘争 最弱者の生存権は守られたか』多田富雄

世界的な免疫学者もリハビリ難民に 多田富雄は抑制T細胞を発見した人物で、DNAによる支配に異を唱え、自己生成系としての超(スーパー)システムを唱える免疫学の世界的権威。その傍らで能の創作も行っており、病に倒れた後も続けている。 多田は2001年に脳…

『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』佐藤優

「国士」という古臭い言葉を思い出した。日露外交の最先端で働く外務官僚が、なぜ逮捕され服役するに至ったのか? 外務省組織の力学と、外交のディープな世界が赤裸々に綴られている。 取り調べの段階で、西村氏の目が挑戦的に光った。 「あなたは頭のいい人…

『日本の税金』三木義一

今後の政治テーマとして税金がピックアップされてくることもあり、読んでみた。著者は立命館大学の教授。文章がわかりやすく、質の高い市民講座を受けているような印象を受けた。税法の複雑性と不公平性がよく理解できる。ガソリン暫定税率にも触れており、…

『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』上杉隆

「人間は物語に生きる動物である」――昨年以来、私はこう考えるに至った。思想とは物語を紡ぎ出す源泉であり、その究極が「宗教」だと思う。 前評判の高かった本書だが、一読して圧倒された。とにかく、「物語を編む力」が凄い。この作品は間違いなく、10年、…