書評:対談

体験は真実か?/『自己の変容 クリシュナムルティ対話録』クリシュナムルティ

『最後の日記』J・クリシュナムルティ 体験は真実か? 『英知の教育』J・クリシュナムルティ 「計画停電だと? ふざけんじゃねーよ!」と声を大に叫んだところで、パソコンは立ち上がらないし、トイレの水も流れない(集合住宅のため水道ポンプも動かず)。…

仏教的時間観は円環ではなく螺旋型の回帰/『仏教と精神分析』三枝充悳、岸田秀

脳は言葉に支配されている。思考が言葉という情報によって成り立っている以上、人は言葉に束縛される。意識とは言語化可能な状態と言い換えてもよいだろう。 懐疑や批判の難しさもここにある。示された言葉【以外】の知識がなければ、そもそも判断のしようが…

人類の意識はひとつ/『人類の未来 クリシュナムルティVSデビッド・ボーム対話集』

対話をするには同じテーブルにつく必要がある。涙の連絡船に乗った人が海岸で見送る人と対話をすることはない。距離がありすぎる。対話の前提は歩み寄ることだ。 では各所のテーブルを見てみよう。ファミリーレストランで身を乗り出す主婦、会議室で向かい合…

河合隼雄と村上春樹の対談に感じる違和感/『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』河合隼雄、村上春樹

ここのところ、ツイッターにて「ヘタレ神学研究者」を名乗る氏家法雄〈うじけ・のりお〉さんと意見交換をしている。氏家さんは大学の非常勤講師をされていて、非常勤の意味はアウトロー、渡世人といった感じだ(笑)。更に肝臓を痛めつけることを日課にして…

強靭なロジック/『ジャパン・レボリューション 「日本再生」への処方箋』正慶孝、藤原肇

ツイッターが面白くて、書評を書く意欲が失せている今日この頃である。そして季節は夏だ。夏に本は似合わない。ジリジリと焼きつけるような太陽の下で本を読んでいるのは、ま、私くらいなものだろう。 この本は、藤原肇の公式サイトで知った次第。 平野貞夫v…

八ッ場ダム一帯は自民党支持者の多い地域/『鳩山由紀夫の政治を科学する 帰ってきたバカヤロー経済学』高橋洋一、竹内薫

民主党は財務省、経済産業省を擁護 電車本としては好著。もちろんトイレ本でも構わない。軽薄な調子の対談となっているが、高橋は元官僚だけあって政治力学を鋭く読み解いている。更に高橋と竹内が共に理系出身とあって、数式化を試みながら民主党の原理をわ…

北方領土ビジネス/『北方領土 特命交渉』鈴木宗男、佐藤優

怨念のこもった一冊。一矢(いっし)報いようとする二人の執念は、外務省幹部の実名を挙げ、顔写真まで入れて指弾している。北方領土を取り巻く日ロ交渉の舞台裏が描かれており、テレビや新聞の流すニュースがどれほど不毛であるかがよく理解できる。しかし…

断片化の要因/『生の全体性』J・クリシュナムルティ、デヴィッド・ボーム、デヴィッド・シャインバーグ

傑作という言葉は相応(ふさわ)しくない。人為的な作品といった次元を軽々と凌駕(りょうが)している。人類の知性が辿り着いた最高峰であり、経典に位置すべき内容だ。ただし、いきなりこの本を読んでも理解し難いことだろう。物事には順序がある。せめて…

個性が普遍に通ずる/『小林秀雄全作品 25 人間の建設』小林秀雄

『春宵十話』岡潔 『風蘭』岡潔 『紫の火花』岡潔 『春風夏雨』岡潔 個性が普遍に通ずる 『小林秀雄全作品 26 信ずることと知ること』小林秀雄 『学生との対話』小林秀雄:国民文化研究会・新潮社編 『天上の歌 岡潔の生涯』帯金充利 世界的な数学者・岡潔と…

時代劇のヒーローは権力者/『ものぐさ社会論 岸田秀対談集』岸田秀

時代劇を好むのは年寄りである。ってこたあ、「安心できる倫理観」がそこにあるのだろう。 岸田●私はよく言うんですが、日本のテレビ番組の時代劇は水戸黄門とか、遠山金四郎とか、権力側の代表者が最後に出てきて事件を解決するという筋書きになっているの…

『海馬 脳は疲れない』池谷裕二、糸井重里

ちょっと前のベストセラーぐらいに思っていたら、既に5年も経っていて驚いた。「脳味噌モノ」といえば、今は池谷裕二氏が旬。私は今回始めて読んだ次第。 対談なんでスイスイ読める。錯覚の図などが盛り込まれていてバランスもいい。個人的に糸井重里は嫌い…