古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

中途半端な自意識

 半端な人間は、いつでも半端な自意識を持っている。と言うよりも彼らは確固たるアイデンティティーを持てないでいるが故に、常に自意識ばかりを成長させている。
「オレってさあ」「アタシってね」と、何かにつけて自分の話ばかりしたがるこのヒトたちは、実は自分についてまるで確信を持てないでおり、それを持つことを切実に必要としているのだ。


【『山手線膝栗毛』小田嶋隆ジャストシステム、1993年)】