書評:脳
・ソマティック・マーカー仮説・『進化の意外な順序』アントニオ・ダマシオ ・『隠れた脳 好み、道徳、市場、集団を操る無意識の科学』シャンカール・ヴェダンタム ・『意識は傍観者である 脳の知られざる営み』デイヴィッド・イーグルマン ・『予想どおりに…
経典本(きょうてんぼん)、あるいは神本(かみぼん)だ。しつこく書いておくが私は苫米地英人の人間性を信頼したことは、ただの一度もない。だからこそカテゴリーに「苫米地英人」を設けていないのである。それでも否応なく彼のアクロバティックな知的アプ…
・『唯脳論』養老孟司 ・霊界は「もちろんある」 ・夢は脳による創作 ・神は頭の中にいる ・宗教の役割は脳機能の統合 ・アナロジーは死の象徴化から始まった ・ヒトは「代理」を創案する動物=シンボルの発生 ・自我と反応に関する覚え書き・『完全教祖マニ…
昔であれば、医師や教師、僧侶はそれなりに世間から尊敬されていたものだ。社会の中で間違いなく教育者的役割を果たしていた。だが今はどうだ。単なる職業へと成り下がってしまった。 「職業だっていいじゃないか」と相田みつをが言いそうだ。「人間だもの」…
脳に関する興味は尽きない。たかだか1kg程度の物体が「私」を構成しているのだ。これに優る不思議はない。美しいイラストに目を奪われながら、脳の仕組みや機能が概観できる。入門書としてうってつけの一冊。 では、脳という宇宙の中がどのような状況になっ…
・経頭蓋磁気刺激法(TMS) ・リハビリ〜歩行をイメージする 今読んでいる最中の『マインド・ウォーズ 操作される脳』(ジョナサン・D・モレノ著/久保田競監訳、西尾香苗訳、アスキー・メディアワークス、2008年)の表紙見返しに「脳機能の最高権威 久保田…
これは面白かった。小林秀雄の講演「信ずることと考えること」が取り上げられていることを知り、一も二もなく取り寄せた。流麗な文章で実に見事な解説をしている。 しかし、である。読んでいる時には気づかなかったのだが、いくつかのテキストを入力したとこ…
ヒトの脳は大きい。いや大き過ぎる。ではなぜ、身体の大きさに不釣合いなほど巨大な脳を必要としたのか。そこにどのような進化の必然があったのか―― 大型類人猿の生物学的な成功の鍵を握っているのは、明らかに社会的な知能である。こういった動物が、頭の中…
分離脳とは、重度のてんかん患者などに行われる手術で、右脳と左脳をつないでいる脳梁を切断した状態のこと。本書で取り上げられた人物は左右の脳が別人格となっている。 分離脳の患者のこのような検査から、言語は知的機能の一つにすぎないとわかる。私たち…
ダブルバインド(二重拘束)とは、矛盾するメッセージの板挟みになる状態のこと。幼児が大きくなるにつれ、母親は身体的な接触を忌避する時期があるそうだ。本能に備わる子離れ、親離れのメカニズムの一つなのかも知れない。 このようなときでも、子どもから…
タイトルの「幽霊」とは意識と理解してよいだろう。質量ともにヘビー級の一冊。 思い込みが世界をどんどん狭める。「サーカスの象」の喩えもある。世界は外に向かって開かれ、世界観は脳内で構築される。同じ世界に置かれていても、人それぞれの世界観は異な…
・『唯脳論』養老孟司 ・霊界は「もちろんある」 ・夢は脳による創作 ・神は頭の中にいる ・宗教の役割は脳機能の統合 ・アナロジーは死の象徴化から始まった ・ヒトは「代理」を創案する動物=シンボルの発生 ・自我と反応に関する覚え書き 脳が賑やかだ。…
・『唯脳論』養老孟司 ・霊界は「もちろんある」 ・夢は脳による創作 ・神は頭の中にいる ・宗教の役割は脳機能の統合 ・アナロジーは死の象徴化から始まった ・ヒトは「代理」を創案する動物=シンボルの発生 ・自我と反応に関する覚え書き 生と死、宗教に…
感動は抑えることができない。無表情の感動なんてあり得ない。 ピアジェの観察からもわかるように、知識というものは、それが本当に生きた知識として身につくときには、必ず何らかの具体的で情緒的な事物の操作を通じての感覚・感動を伴うものである。目の前…
・『脳は奇跡を起こす』ノーマン・ドイジ ・『脳はいかに治癒をもたらすか 神経可塑性研究の最前線』ノーマン・ドイジ ・『唯脳論』養老孟司 ・世界よりも眼が先 ・人間が認識しているのは0.5秒前の世界 ・フィードバックとは・『脳はなにかと言い訳する 人…
ものを食べると形を感じる人、はたまた音を聴くと色が見える人がいるんだってさ。これを共感覚という。複合感覚といってもいいだろう。生まれつき、そんな感覚を持っている人が10万人に1人の割合でいるそうだよ。0.001パーセントの確率だ。するってえと、日…
・『海馬 脳は疲れない』池谷裕二、糸井重里・『進化しすぎた脳 中高生と語る〔大脳生理学〕の最前線』池谷裕二 ・『脳はなにかと言い訳する 人は幸せになるようにできていた!?』池谷裕二 ・『できない脳ほど自信過剰 パテカトルの万脳薬』池谷裕二 ちょっ…
初めに発行が遅れた言いわけをしておく。原稿を書こうかと思っていたところ、掲示板にて赤マント氏からの逆襲を受けてしまった。あたふたと応戦している内に、色々と考えざるを得なくなってしまったのだ。ってなわけで失礼つかまつり候。尚、掲示板でのやり…
前回の原稿を読み直して、ふと妙案を思いついた。脳が無い生き物がいるではないか。ネットで調べたところ虫にはあるようだ。 だが植物にはないだろう。あったらゴメンなさい。いくら何でもないよなー、という前提にしておく。ミトコンドリアにも無さそうだな…
目の前に蟻がいたとしよう。6本の脚(あし)を懸命に動かしながら、蟻は前進している。これを人差し指で潰す。指を裏返せば、体液をにじませた蟻の死骸がピクリともせず貼りついている。先ほどまで活発に動いていた蟻の生命は消失したのであろうか? 蟻に脳…
この本を批判するために別の本まで読む羽目となってしまった。これから書くので何とも言えないが、あと数回続くかも知れないことをお断りしておく。 体外離脱の体験はいずれも面白いのだが、信憑性となると随分と危ういものも含まれているそうだ。また、本人…
まどろっこしい本である。臨死体験への純粋な興味がある人は読まない方がいいだろう。私自身、上巻の前半で何度挫けそうになったかわからない。何らかの死生観を持っている人であれ、参考になる体験が数多く紹介されている。だが、立花が展開する論旨は“我が…