書評:脳

ソマティック・マーカー仮説/『デカルトの誤り 情動、理性、人間の脳』(『生存する脳 心と脳と身体の神秘』改題)アントニオ・R・ダマシオ

ソマティック・マーカー仮説 『隠れた脳 好み、道徳、市場、集団を操る無意識の科学』シャンカール・ヴェダンタム 『意識は傍観者である 脳の知られざる営み』デイヴィッド・イーグルマン 『予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ…

生命とは情報空間と物理空間の両方にまたがっている存在/『苫米地英人、宇宙を語る』苫米地英人

経典本(きょうてんぼん)、あるいは神本(かみぼん)だ。しつこく書いておくが私は苫米地英人の人間性を信頼したことは、ただの一度もない。だからこそカテゴリーに「苫米地英人」を設けていないのである。それでも否応なく彼のアクロバティックな知的アプ…

アナロジーは死の象徴化から始まった/『カミとヒトの解剖学』養老孟司

『唯脳論』養老孟司 霊界は「もちろんある」 夢は脳による創作 神は頭の中にいる 宗教の役割は脳機能の統合 アナロジーは死の象徴化から始まった ヒトは「代理」を創案する動物=シンボルの発生 自我と反応に関する覚え書き 『完全教祖マニュアル』架神恭介…

医療の機械化/『共感覚者の驚くべき日常 形を味わう人、色を聴く人』リチャード・E・シトーウィック

昔であれば、医師や教師、僧侶はそれなりに世間から尊敬されていたものだ。社会の中で間違いなく教育者的役割を果たしていた。だが今はどうだ。単なる職業へと成り下がってしまった。 「職業だっていいじゃないか」と相田みつをが言いそうだ。「人間だもの」…

脳内で繰り広げられる壮大なネットワーク/『ここまで解明された最新の脳科学 脳のしくみ』ニュートン別冊

脳に関する興味は尽きない。たかだか1kg程度の物体が「私」を構成しているのだ。これに優る不思議はない。美しいイラストに目を奪われながら、脳の仕組みや機能が概観できる。入門書としてうってつけの一冊。 では、脳という宇宙の中がどのような状況になっ…

リハビリ〜歩行をイメージする/『脳から見たリハビリ治療 脳卒中の麻痺を治す新しいリハビリの考え方』久保田競、宮井一郎

今読んでいる最中の『マインド・ウォーズ 操作される脳』(ジョナサン・D・モレノ著/久保田競監訳、西尾香苗訳、アスキー・メディアワークス、2008年)の表紙見返しに「脳機能の最高権威 久保田競(京都大学名誉教授)監訳」とあった。その関連で本書を取り…

「長嶋茂雄っぽい感じ」とプラトンのイデア論/『脳と仮想』茂木健一郎

これは面白かった。小林秀雄の講演「信ずることと考えること」が取り上げられていることを知り、一も二もなく取り寄せた。流麗な文章で実に見事な解説をしている。 しかし、である。読んでいる時には気づかなかったのだが、いくつかのテキストを入力したとこ…

社会を形成するために脳は大きくなった/『内なる目 意識の進化論』ニコラス・ハンフリー

ヒトの脳は大きい。いや大き過ぎる。ではなぜ、身体の大きさに不釣合いなほど巨大な脳を必要としたのか。そこにどのような進化の必然があったのか―― 大型類人猿の生物学的な成功の鍵を握っているのは、明らかに社会的な知能である。こういった動物が、頭の中…

言語も及ばぬ意識下の世界/『共感覚者の驚くべき日常 形を味わう人、色を聴く人』リチャード・E・シトーウィック

分離脳とは、重度のてんかん患者などに行われる手術で、右脳と左脳をつないでいる脳梁を切断した状態のこと。本書で取り上げられた人物は左右の脳が別人格となっている。 分離脳の患者のこのような検査から、言語は知的機能の一つにすぎないとわかる。私たち…

ダブルバインド/『子供の「脳」は肌にある』山口創

ダブルバインド(二重拘束)とは、矛盾するメッセージの板挟みになる状態のこと。幼児が大きくなるにつれ、母親は身体的な接触を忌避する時期があるそうだ。本能に備わる子離れ、親離れのメカニズムの一つなのかも知れない。 このようなときでも、子どもから…

先入観を打ち破る若き力/『脳のなかの幽霊』V・S・ラマチャンドラン

タイトルの「幽霊」とは意識と理解してよいだろう。質量ともにヘビー級の一冊。 思い込みが世界をどんどん狭める。「サーカスの象」の喩えもある。世界は外に向かって開かれ、世界観は脳内で構築される。同じ世界に置かれていても、人それぞれの世界観は異な…

夢は脳による創作/『カミとヒトの解剖学』養老孟司

『唯脳論』養老孟司 霊界は「もちろんある」 夢は脳による創作 神は頭の中にいる 宗教の役割は脳機能の統合 アナロジーは死の象徴化から始まった ヒトは「代理」を創案する動物=シンボルの発生 自我と反応に関する覚え書き 脳が賑やかだ。もちろん私の脳で…

霊界は「もちろんある」/『カミとヒトの解剖学』養老孟司

『唯脳論』養老孟司 霊界は「もちろんある」 夢は脳による創作 神は頭の中にいる 宗教の役割は脳機能の統合 アナロジーは死の象徴化から始まった ヒトは「代理」を創案する動物=シンボルの発生 自我と反応に関する覚え書き 生と死、宗教にまつわるテキスト…

感動は身体性を伴う/『子供の「脳」は肌にある』山口創

感動は抑えることができない。無表情の感動なんてあり得ない。 ピアジェの観察からもわかるように、知識というものは、それが本当に生きた知識として身につくときには、必ず何らかの具体的で情緒的な事物の操作を通じての感覚・感動を伴うものである。目の前…

『進化しすぎた脳 中高生と語る〔大脳生理学〕の最前線』池谷裕二

ベストセラーとなった『海馬 脳は疲れない』はチト物足りなかった。こっちは、池谷裕二氏の面目躍如といったところ。米国で日本人中高生に集中講義をした内容。私が読んできた脳ミソものでは、断トツの1位。『海馬』は一日で読めるが、『進化しすぎた脳』は…

『共感覚者の驚くべき日常 形を味わう人、色を聴く人』リチャード・E・シトーウィック(リチャード・E・サイトウィック)

ものを食べると形を感じる人、はたまた音を聴くと色が見える人がいるんだってさ。これを共感覚という。複合感覚といってもいいだろう。生まれつき、そんな感覚を持っている人が10万人に1人の割合でいるそうだよ。0.001パーセントの確率だ。するってえと、日…

『海馬 脳は疲れない』池谷裕二、糸井重里

ちょっと前のベストセラーぐらいに思っていたら、既に5年も経っていて驚いた。「脳味噌モノ」といえば、今は池谷裕二氏が旬。私は今回始めて読んだ次第。 対談なんでスイスイ読める。錯覚の図などが盛り込まれていてバランスもいい。個人的に糸井重里は嫌い…

立花隆『臨死体験』その五

科学万能主義による視野狭窄を露呈 初めに発行が遅れた言いわけをしておく。原稿を書こうかと思っていたところ、掲示板にて赤マント氏からの逆襲を受けてしまった。あたふたと応戦している内に、色々と考えざるを得なくなってしまったのだ。ってなわけで失礼…

立花隆『臨死体験』その四

科学万能主義による視野狭窄を露呈 前回の原稿を読み直して、ふと妙案を思いついた。脳が無い生き物がいるではないか。ネットで調べたところ虫にはあるようだ。 だが植物にはないだろう。あったらゴメンなさい。いくら何でもないよなー、という前提にしてお…

立花隆『臨死体験』その三

科学万能主義による視野狭窄を露呈 目の前に蟻がいたとしよう。6本の脚(あし)を懸命に動かしながら、蟻は前進している。これを人差し指で潰す。指を裏返せば、体液をにじませた蟻の死骸がピクリともせず貼りついている。先ほどまで活発に動いていた蟻の生…

立花隆『臨死体験』その二

科学万能主義による視野狭窄を露呈 この本を批判するために別の本まで読む羽目となってしまった。これから書くので何とも言えないが、あと数回続くかも知れないことをお断りしておく。 体外離脱の体験はいずれも面白いのだが、信憑性となると随分と危ういも…

立花隆『臨死体験』その一

科学万能主義による視野狭窄を露呈 まどろっこしい本である。臨死体験への純粋な興味がある人は読まない方がいいだろう。私自身、上巻の前半で何度挫けそうになったかわからない。何らかの死生観を持っている人であれ、参考になる体験が数多く紹介されている…