古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

1997-01-01から1年間の記事一覧

和製ハードボイルドの黎明を告げる佳作/『檻』北方謙三

『檻』再読に値せず、と私は断ずるものだ。 この本が出た時、私は二十歳(はたち)だった。あの頃の興奮・熱・余韻……。日本のハードボイルドの夜明けが遂に到来したかと息を飲んだまま、ペ−ジを繰る手ももどかしく、本能に衝き動かされるように読んだものだ…