書評:経済
税という名の暴力がある。国民・県民・市民・区民は税金と引き換えに何を手にしたのだろうか? あるいは失ったものの方が多いのだろうか? 租税には三つの機能がある。公共サービスの費用調達機能、所得の再分配機能、景気の調整機能である。この前提自体が…
透徹した専門性は学問領域を軽々と越境する。ま、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」ってな感じだわな。狭いトンネルが別世界に通じることもあれば、穴のまま終わることもあるのだろう。 それにしても行動経済学の台頭恐るべし。一昔前なら「大体…
この国は政権交代をしても変わらないことが明らかになりつつある。国民は民主党政権には期待していた。期待が大きかっただけに、裏切られた思いもまた強い。ウェブ上では既に自民党政権を懐かしむ声すらちらほら見える。 何かおかしい。その象徴が小沢封じ込…
・『大恐慌入門 何が起こっているか? これからどうなるか? どう対応すべきか?』朝倉慶 ・国債とCDSの仕組み・『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』朝倉慶、船井勝仁 経済や金融に関する本は圧倒的に悲観論が多い。ま、パスカルの賭けみたいなも…
「政治とカネ」の問題がかまびすしい。電波利権に浴する人々が口角泡を飛ばして政治家を糾弾している。去る参院選では「クリーンな政治」を掲げた政党もあった。ひょっとして政治家はクリーニング屋になろうとしているのだろうか? ちょっと考えてみよう。ク…
・CDSが爆発するのはこれから・『恐慌第2幕 世界は悪性インフレの地獄に堕ちる』朝倉慶 ・『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』朝倉慶、船井勝仁 世界経済が不況に陥り大恐慌(1929年)へと転げ落ちた1920年代、ヨーロッパではファシズムが台頭した…
・『隠れた脳 好み、道徳、市場、集団を操る無意識の科学』シャンカール・ヴェダンタム ・『意識は傍観者である 脳の知られざる営み』デイヴィッド・イーグルマン ・比較トラップ ・不合理性はいつも同じように起こり、何度も繰り返される ・刷り込みやアン…
・予言の自己成就 ・ヒューリスティクスとは 経済学は実に妙ちきりんな学問で、「経済人」という合理的な存在が大前提になっている。しかしながら私は衝動買いをし、読んでいない本が数千冊あってもなお古本を買い漁り、コンビニやスーパーへ行くと常習的に…
まるで「売れない演歌歌手」といったところだ。表紙も著者名も。若者相手の講義といった体裁をとっているため、言い回しが馴れ馴れしくなっている。「――なんだよな」みたいな。読みやすさを考えた戦略なんだろうが裏目に出ている。話し言葉と書き言葉の違い…
では、明治維新のおさらいをしておこう。 ・1840年 阿片戦争 ・1841年 中濱万次郎、太平洋を漂流しアメリカ船に救われる。 ・1851年 土佐漁民中濱万次郎ら、アメリカ船に送られて琉球に上陸する。 ・1853年 黒船来航 ・1854年 日米和親条約 ・1858年 安政の…
歴史を動かしているのは何か? 人の心だ。人と言ったって万人を指すわけではない。もちろん権力者である。では、権力者の心を動かすのは何か? 金だ。金に決まっているよ。 歴史というものは、経済で読み解くと非常にわかりやすい構図となる。どこからどこへ…
確かな視点で1929年のアメリカ発大恐慌の原因を解こうとした労作。硬質な教科書本。本書は元々、ダイヤモンド社から1989年に刊行されたもの。PHPが復刊させた。大英断。文庫ではなくハードカバーにしたのも正解だ。末永く読まれるべき作品である。 初版はバ…
ドラッカーの処女作である。書き始めたのはヒトラーがドイツ首相となった直後のこと(1933年2月)。ドラッカーは23歳だった。書き上げた後も原稿を温めていた。ドラッカーの予測は次々と的中した。こうして1939年(昭和14年)に刊行されベストセラーとなった…
そろそろピーター・F・ドラッカーを読もうと思い立ったのだが、いずれの内容も重量級と察して本書を選んだ。正解だった。上田惇生は、ドラッカー作品の大半の翻訳を手掛け、ドラッカー本人とも親交があったという。やや礼賛が勝ちすぎていて鼻につくがこれは…
金融に関する本は、部分的な価値があればそれでいい。読み物というよりは、情報(データ、仕組み)収集に徹するべきだ。そう考えないと腹立たしくなってくる(笑)。 アメリカ人労働者は、日本と比べ今や年間3週間も長く働かされているのである。そして労災…
・『我が心はICにあらず』小田嶋隆 ・『安全太郎の夜』小田嶋隆 ・『パソコンゲーマーは眠らない』小田嶋隆 ・『山手線膝栗毛』小田嶋隆 ・『仏の顔もサンドバッグ』小田嶋隆 ・『コンピュータ妄語録』小田嶋隆 ・『「ふへ」の国から ことばの解体新書』小田…
ウウム、昨今の金融経済を予言したような書名である。ま、この手のタイトルって多いんだけどね。徐々に上がっていって、暴落する。まるで、人生のようだ。破壊は一瞬、建設は死闘。 労働力が世界マーケットの筋肉だとすれば、金融は血液に喩えることができよ…
・『我が心はICにあらず』小田嶋隆 ・『安全太郎の夜』小田嶋隆 ・『パソコンゲーマーは眠らない』小田嶋隆 ・『山手線膝栗毛』小田嶋隆 ・『仏の顔もサンドバッグ』小田嶋隆 ・『コンピュータ妄語録』小田嶋隆 ・『「ふへ」の国から ことばの解体新書』小田…
国債は「不況対策」と言える。戦後の復興期、高度成長期、80年代のバブル期を除いては、国債の発行が景気の振興に不可欠だったのが日本だ。国が歳出をカットすると需要減につながり、景気には必ず悪影響が出る。この点を忘れて、歳出減は財政赤字減って国が…