古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

クリシュナムルティ

暴力的反逆と精神的反逆/『道徳教育を超えて 教育と人生の意味』クリシュナムーティ

国家、社会、組織、集団は個々人に帰属意識を求める。このため上層部にいる者ほど集団の利益を強調し、「それこそが正しい」と人々に呼び掛ける。閣僚は国益を叫び、保守系評論家は「日本人の誇り」を訴え、部課長は売り上げ目標達成を命ずる。 組織や集団に…

恐怖からの自由/『自由への道 空かける鳳のように』クリシュナムーテイ

・『自己変革の方法 経験を生かして自由を得る法』クリシュナムーティ著、メリー・ルーチェンス編 ・恐怖からの自由・『道徳教育を超えて 教育と人生の意味』クリシュナムーティ かれこれ20年ほど前になるが、地域の人々を招いて「遊び」に関する研究発表を…

ヘンリー・ミラー、川北稔、ジェーン・エリオット

1冊挫折、2冊読了。 挫折20『ヘンリー・ミラー全集 11 わが読書』ヘンリー・ミラー/田中西二郎〈たなか・せいじろう〉訳(新潮社、1966年)/全14章のうち第9章の「クリシュナムルティ」だけを読んだ。挙げられている名前を見る限りだと、ヘンリー・ミラー…

監獄としての世界/『片隅からの自由 クリシュナムルティに学ぶ』大野純一

一人の人物を見つめる時、自分の立ち位置を自覚する必要がある。自分の瞳に映る相手は自分によって解釈されおり、その人物の断片あるいは誤認の可能性をはらんでいる。評伝や人物評価の難しい所以(ゆえん)である。 1934〜1948年の講和が五つと、大野純一に…

宮元啓一、後藤正治、クリシュナムーティ

1冊挫折、2冊読了。 挫折15『インドの「二元論哲学」を読む イーシュヴァラクリシュナ『サーンキヤ・カーリカー』』宮元啓一(春秋社、2008年)/「クリシュナムルティは決して新しいことを語っているわけではなく、サーンキヤのパクリに過ぎない」といった…

瞑想は偉大な芸術/『瞑想』J・クリシュナムルティ

瞑想に関するクリシュナムルティの箴言集である。10冊ほどの著作から抜粋したもの。中川吉晴の訳はわかりやすさに重きを置いているため、文章の香りが損なわれている。だが、新訳は必ず新しい発見を与えてくれる。 クリシュナムルティの教えを実践するには瞑…

ジョン・グレイのクリシュナムルティ批判/『わらの犬 地球に君臨する人間』ジョン・グレイ

ジョン・グレイによるクリシュナムルティ批判の全文を挙げておこう── クリシュナムルティの重荷 19世紀の末から20世紀のはじめにかけて世界各地で流行したニューエイジのカルト集団、神智学協会はジドゥ・クリシュナムルティをキリストや仏陀に次ぐ現代の救…

クリシュナムーティ

1冊読了。 29冊目『道徳教育を超えて 教育と人生の意味』クリシュナムーティ/菊川忠夫、杉山秋雄訳(霞ケ関書房、1977年)/『自由への道 空かける鳳のように』よりは読みやすかった。これでクリシュナムルティ本の読了は22冊目。子供を一切の束縛から解き…

核兵器開発の総本山ロスアラモス国立研究所での講話/『クリシュナムルティ・開いた扉』メアリー・ルティエンス

・『クリシュナムルティ・目覚めの時代』メアリー・ルティエンス ・『クリシュナムルティ・実践の時代』メアリー・ルティエンス ・核兵器開発の総本山ロスアラモス国立研究所での講話ロスアラモス国立研究所といえばマンハッタン計画である。核兵器の開発は…

瞑想とは何か/『クリシュナムルティの瞑想録 自由への飛翔』J・クリシュナムルティ

瞑想は冥想とも書く。「瞑」は目をつぶることで、「冥」は「くらい」と読む。冥(くら)き途(みち)と書いて冥途(めいど)と申すなり。 ブッダは瞑想の果てに仏となった。仏とは覚者の謂いで、ブッダという呼称には「目覚めた人」という意味がある。仏教で…

クリシュナムーテイ

1冊読了。 28冊目『自由への道 空かける鳳のように』クリシュナムーテイ/菊川忠夫訳(霞ケ関書房、1982年)/訳文が酷い。クリシュナムルティがまるでおじいさんに見える。多分、『自我の終焉 絶対自由への道』と重複している部分があると思う。第4部の「対…

大野純一

1冊読了。 26冊目『片隅からの自由 クリシュナムルティに学ぶ』大野純一著編訳(コスモス・ライブラリー、2004年)/大野純一による販促本。見下げ果てた代物。取り上げられている著作の大半が自ら翻訳した作品か、大野が一人で切り盛りするコスモス・ライブ…

異空間の俳句たち編集委員会、G・K・チェスタトン、J・クリシュナムルティ

3冊読了。パソコンが壊れた。今(16日)は、太郎先輩から借用したノートパソコンでネットに接続している。 23冊目『異空間の俳句たち 死刑囚いのちの三行詩』異空間の俳句たち編集委員会(海曜社、1999年)/読んだのは二度目。序文を寄せた鶴見俊輔が「人間…

J・クリシュナムルティ

1冊読了。 22冊目『クリシュナムルティの瞑想録 自由への飛翔』J・クリシュナムルティ/大野純一訳(平河出版社、1982年/サンマーク文庫、1998年)/クリシュナムルティ18冊目の読了。原題は「The Only Revolution」。1970年刊。クレジットにメアリー・ルテ…

ジョージ・バーナード・ショーもクリシュナムルティを称賛

1934年3月28日付ニュージーランド・ヘラルド紙上に、バーナード・ショウ(ママ)は次の一文を寄せ、ニュージーランド当局によるクリシュナムルティのラジオ講話放送禁止措置を批判した。 「氏は最も崇高なる宗教的教師であり、すべての教会や宗派のメンバー…

ミルトン・フリードマンによるクリシュナムルティの記事

かつてはフォード大統領の特別補佐官であり、ホワイト・ハウスのスピーチ原稿を作成する仕事に携わってもいたミルトン・フリードマンを通して、今年はKがニューヨークの代わりにワシントンで講話をするように手配したのは私であった。彼の主題は「われわれは…

内面的な腐敗と堕落/『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー 4 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ

・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー クリシュナムルティの手帖より 1』J・クリシュナムルティ ・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー クリシュナムルティの手帖より 2』J・クリシュナムルティ ・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー クリシュナムルティの…

メアリー・ルティエンス、井村和清

2冊読了。 15冊目『クリシュナムルティ・開いた扉』メアリー・ルティエンス/高橋重敏訳(めるくまーる、1990年)/伝記三部作の最終章。1980年から亡くなるまでの6年間が綴られている。読み物としては少しも面白くない。多分、資料が多過ぎたせいだろう。内…

覚者は一法を悟る/『白い炎 クリシュナムルティ初期トーク集』J.クリシュナムルティ

収められているのは1927〜1930年に行われたインタビューと講話である。星の教会を解散したのが1929年だから、神秘宗教の匂いが強い。読むのであれば、後回しにするべきだ。つまらぬ先入観を持ってしまえば、クリシュナムルティをスピリチュアル系の枠組みで…

グレッグ・イーガン、デイヴィッド・T・コートライト、宮元啓一、J・クリシュナムルティ

3冊挫折、1冊読了。10年ぶりくらいで風邪をひいてしまった。午前中は鼻水が止まらなくなった。まだ頭がボーッとしている。 挫折7『順列都市(上)』グレッグ・イーガン/山岸真訳(ハヤカワ文庫、1999年)/テーマは好みなんだが、如何せんこの人の筋運びが…

「観察」のヒント/『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー 3 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ

・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー 1 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ ・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー 2 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ ・「観察」のヒント・『生と覚醒(めざめ)のコメンタリー 4 …

J・クリシュナムルティ

1冊読了。 11冊目『白い炎 クリシュナムルティ初期トーク集』J・クリシュナムルティ/大野純一訳(コスモス・ライブラリー、2003年)/クリシュナムルティ15冊目の読了。神智学協会時代の講話が収録されている。付録の箴言集は『生と覚醒のコメンタリー』か…

コミュニケーションの本質は「理解」にある/『自我の終焉 絶対自由への道』J・クリシュナムーティ

・クリシュナムルティはアインシュタインに匹敵する ・コミュニケーションの本質は「理解」にある ・クリシュナムルティ「自我の終焉」 ・クリシュナムルティの三法印 原書は1954年に発行されている。ってことは昭和29年だ。「もはや戦後ではない」と経済白…

J・クリシュナムルティ、グレッグ・イーガン

2冊読了。 9冊目『生と覚醒のコメンタリー 3 クリシュナムルティの手帖より』J・クリシュナムルティ/大野純一訳(春秋社、1984年)/日本語版は全4冊となっているが、原書は3冊で1956年、1959年、1961年に刊行されている。とても半世紀前の本とは思えない。…

クリシュナムルティの智慧

書評が追いつかないので、クリシュナムルティの箴言集を作ることにした。本当は昨日立ち上げたのだが、きりのいいところで1月1日分からアップしておいた。 クリシュナムルティの智慧

クリシュナムルティが放つ光/『クリシュナムルティ・実践の時代』メアリー・ルティエンス

・『クリシュナムルティ・目覚めの時代』メアリー・ルティエンス ・クリシュナムルティが放つ光・『クリシュナムルティ・開いた扉』メアリー・ルティエンス 三部作評伝の第二作で、『クリシュナムルティ・目覚めの時代』に続くもの。「プロセス」という悟達…

表面的な不満

書評は追々書く予定だが、ある方にこの一文を贈る―― 君たちは寺院から寺院へ、ある夫や妻から他の人へと移るかもしれません。新しい先生や導師(グル)を見つけるかもしれません。しかし、この内的な喜びがなければ、生にはほとんど意味がありません。そして…

J・クリシュナムーティ

1冊読了。 8冊目『自我の終焉 絶対自由への道』J・クリシュナムーティ/根木宏、山口圭三郎訳(篠崎書林、1980年)/クリシュナムルティ関連13冊目の読了。このペースで行くと今年中には読み終えてしまいそうだ。『あなたは世界だ』と同様、クリシュナムルテ…

クリシュナムルティはアインシュタインに匹敵する

クリシュナムルティはアインシュタインに匹敵する コミュニケーションの本質は「理解」にある クリシュナムルティ「自我の終焉」 クリシュナムルティの三法印 邦訳未刊と思われる。 クリシュナムーティは、生存中から伝説的人物になった数少ない人間の一人で…

相対性からの脱却/『学校への手紙』J・クリシュナムルティ

「比較が分断を生む」の続き―― 比較が分断を生み、分断がヒエラルキーを形成する。企業は信用力でランク付けされ、企業内では肩書きによって序列が構成される。家庭や地域においても同様である。ヒエラルキーは入れ子構造となっている。その全てが「比較」と…