古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

クリシュナムルティはアインシュタインに匹敵する

 邦訳未刊と思われる。

 クリシュナムーティは、生存中から伝説的人物になった数少ない人間の一人である……というのは、クリシュナムーティが、心理の領域で為し遂げたことは、物理学においてアインシュタインが行なった革命に匹敵すると言ってよいからである。アインシュタイン相対性理論は、光の速度は光源からの運動や光源へ向かう運動とは関係なく、すべての状況において不変である、という単純な事実を出発点にしている。一方クリシュナムーティの出発点もそれと同じような単純な観察に基づいている。それは、すべての心理的な苦悩は精神の中で始まり、またその中で終わるということである。つまり「精神は自ら作り出した牢獄である」。したがって、変革と苦悩からの解放は、絶え間ない精神の活動が終焉することによってのみ、達成することができる。


【『禅と真実在』ロバート・パウエル/J・クリシュナムーティ著『自我の終焉 絶対自由への道』(篠崎書林、1980年)の見返しより】


自我の終焉―絶対自由への道 自我の終焉 絶対自由への道