古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

抜き書き

ヨーロッパの伝統においては、権力の正当性こそ中心的な問題

ニッコロ・マキャヴェリが、同時代人からだけでなくその後も軽侮され続けたのは、権力の同義的な正当性に無関心だったからにすぎない。まさにそのゆえに、この良心的な人物は、ルネサンス期の腐敗した権謀の世界においてさえ精神的に堕落した者と見なされた。…

錬金術は不老不死も目指していた

西洋の錬金術は、古代エジプトからアラビアを経てヨーロッパに伝えられた化学的技法として近代科学の基礎となったものだが、卑金属を金に変えたりするだけでなく、不老不死の万能薬を作ることも旺盛に試みたのだ。 【『霊はあるか 科学の視点から』安斎育郎…

ニュルンベルク法=ドイツ純血保存法、国家市民権法

この法律(※ニュルンベルク法=ドイツ純血保存法、国家市民権法)をきっかけとして、ホロコーストは加速していく。まず、商店、映画館、レストラン、ホテル、薬局などの公共の場所で、「ユダヤ人お断り」の看板が目につくようになる。公園のベンチでさえ、ア…

「トリウム原発」とは

現在、世界で常用しているウラン原子炉は燃焼効率の悪い“石炭ストーブ”のようなものだ。わずかな最上質の燃料を燃やしただけで大量の‘石炭の燃え滓’(核廃棄物)を残す。 【中国が独占意欲「トリウム原発」とは 米国はしたたかに“潜行” 日本の出遅れ感は大き…

辻信一「すべての原発の即時停止を」

民主主義はすっかり空洞化した。今それにあらためて気づきました。私たちに力はない。これは民主主義ではない。私たちはずっと操られてきた。政府と東京電力という民間企業によって。 【辻信一・明治学院大学教授】

原子力安全委員 最短週10分の会議出席で年収1650万円

同委員会は委員長以下、委員5人はいずれも常勤の特別職公務員。ただし、常勤といっても定例会議は週1回だけ。議事録を確認する限り、会合は最短で10分弱、長いもので1時間半だった。これで約1650万円の年収(月給93万6000円とボーナス)を貪っている。 【週…

東日本大震災と日本の転機

そもそも議論・対話とはそうしたもののはずで、あらゆる「特定の立場」と無関係で、普遍的に無謬な「実証」「真実」などというのは、ごくかぎられた科学的実験の場などに限定されるべきものである。 にも関わらずその実在がナイーブに信じられるというのは、…

札幌市へ避難された方300人への布施

「私達いわきの人間は恐れてるんです。東京ではいわきの住所を書いたらホテルの宿泊も断れました。電車に乗ってたら福島の人間は放射能まき散らすから福島ってゼッケンつけてほしいよねっと隣の若者が会話してました。私達はここに来るまでいわきの人間だっ…

誰にも愛されない人間にしかできない社会貢献

1 名前:以下、はてなにかわりまして元増田がお送りします。 投稿日:2011/04/02 23:57:36 福島の原発処理作業に当たりたいと思った。 30手前の独身女。恋人も家族もいない。 友人はいるけど責任の生じる関わり方をしてくれる人はひとりもいない。 誰にも愛さ…

福島県いわき市「スパリゾートハワイアンズ」の奇跡

絶望の淵にある人を、真に救うのは「情報」でも「言葉」でも、ましてや「法律」や「ルール」などではない。「行為」だ。何をすべきかを論じているだけでは、誰一人救えないのだ。 【Web SPA!】

相づち

相づちとは読んで字のごとくで、鋼を鍛えるときの相方の打ち出す槌です。タイミングが狂うと鋼ではなく相手に槌を打ちつけるはめになりかねません。 【『プロカウンセラーの聞く技術』東山紘久〈ひがしやま・ひろひさ〉(創元社、2000年)】 東山紘久

魔女狩りの心情

魔女は生木でゆっくりと焼かれた 魔女狩りの環境要因 魔女狩りの心情 「どんな地方にも、幾千幾万という魔女が庭虫のように地上にはびこりつつあるのです。 もしも私どもに一片の人情がありますならば、そもそも私どもが人間の名に値する者でありますならば…

生きる力

すべてがその静寂の中で止まった。死ぬ前の最後の鼓動であり、生命の次の鼓動だ。わたしは家の中に一人きりでいた。一人で待っていた。自分の人生の先端で待ち、まるで世界全体が宇宙の峡谷の崖っぷちで息を止めているようだった。何かが起こりそうで、子供…

東京電力の隠蔽体質

同社(※東京電力)は1971年に福島で最初の原発を稼動させて以来36年、これまで大小幾多の事故を起こしながら、小規模であれば「軽微で安全性に問題なし」、放射能を漏らしても「人体に影響なし」を繰り返し、重大事故は隠してきた。それによって官僚同様、自…

東電のカネに汚染した東大に騙されるな!

寄付講座だけで、東電は東大に5億円も流し込んでいる。一方、長崎大学は、その買収的な本性に気づき、全額を東電に突き返した。水俣病のときも、業界団体は、東大の学者を利用して世論操作を行い、その被害を拡大させてしまっている。いま、同じ愚を繰り返し…

老眼鏡の発明は鎌倉時代

フランシスコ会修道士のイギリス人、ロジャー・ベーコンが行った光学実験によって1270年ごろに生まれた老眼鏡は、早くも1290年にはアヴィニヨンの法王庁で使われ、1300年にはカイロのサルタンの宮廷で、1310年にはモンゴルの宮廷で使われた。 これに匹敵する…

ヘンリー・ダーガー

人生の後半の40年を、彼はシカゴの、6畳ほどしかない賃貸アパートの一室で過ごします。家族も友人もなく、たまに訪れるのは、教区の牧師だけ、という生活をダーガーは40年にわたっておくったのです。(中略) (衰弱しきったダーガーを家主夫婦が救貧院に入…

「ただちに健康に影響を及ぼすものではない」

ただちに、ということを言うなら、取り落としたワイングラスにだって、いくばくかの余命はある。即座に粉々に砕けるわけではない。細かく観察すれば、手を離れたワイングラスには、運動方程式に沿った長い落下の過程がある。しかも、着地に至るまでのすべて…

世界が震撼!原発ショック 悠長な初動が呼んだ危機的事態 国主導で進む東電解体への序章

ある政府関係者は東京電力の対応に怒りをあらわにする。 「(3月14日に)2号機の燃料棒が露出したとき、東電側は『全員撤退したい』と伝えてきた。撤退したら終わりだった。絶対に止めなければならなかった」 【週刊ダイヤモンド】

観察するものと観察されるもの

観察するものと観察されるもの、主体と客体の間に区別はない。それらは、継ぎ目なき連続体である。 ――ジッドゥ・クリシュナムルティ 【『君あり、故に我あり 依存の宣言』サティシュ・クマール/尾関修、尾関沢人〈おぜき・さわと〉(講談社学術文庫、2005年…

1941年、金属回収が始まる

1941年に何があったかというと、身近なところでは家庭の金属回収、すなわち鉄製品の供出がはじまっている。 【『たまには、時事ネタ』斎藤美奈子(中央公論新社、2007年)】 斎藤美奈子

原子力安全・保安院の問題体質 経産省「植民地」、そして「東電の虜」

ここで、東電との関係が気にかかる。東電は独占企業だから、ライバル企業との競争はない。監督するのは政府=原子力安全・保安院だけで、政府さえ丸め込めば、恐いモノなしだ。実際、東電は歴代経産幹部の天下りを受け入れており、11年1月には原子力安全・保…

テレビは家族がお互いに向き合わないで済むために発明されたものだ

以前、私は、「テレビは、家族がお互いに向き合わないで済むために発明されたものだ」という意味のことを書いたことがある。正直に言って、この見解は、ただの当てずっぽうであったのだが、意外なことに、正しかった。 説明しよう。 実は、1週間ほど前から、…

ヒューマニズムの進歩信仰は迷信

本書『わらの犬』の趣意は思想家の不用意な謬見を論破することである。今日、「リベラル・ヒューマニズム」はかつての啓示宗教に勝るとも劣らぬ勢いで、広く一般に浸透している。人間主義者(ヒューマニスト)は何かにつけて理性的な世界観を標榜するが、そ…

遠野物語

思うに遠野郷(ごう)にはこの類の物語なお数百件あるならん。我々はより多くを聞かんとことを切望す。国内の山村にして遠野よりさらに物深き所にはまた無数の山神山人の伝説あるべし。願わくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ。この書のごときは陳勝呉広…

ルワンダの歴史

ルワンダの歴史は危険なものである。すべての歴史がそうであるように、ルワンダ史は権力をめぐる争いの連続であり、そして権力とは自分の物語を他者の現実に押しつける能力でもある――たとえ物語が、しばしば、その血で書かれたものであったとしても。 【『ジ…

史観の難しさ

たしかに、歴史的考察は魅力的だが、歴史観がはっきりしていないと、分析が甘くなる。さりとて、特定の史観にこだわると、それに足をとられてしまう。なかなかむずかしいのである。 【『「1929年大恐慌」の謎 経済学の大家たちは、なぜ解明できなかったのか…

テロリストの心象風景

「どう言えばいいんだ、アミーン。おそらく最古参のテロリストでさえ、自分たちの身に何が起きたかなんてわかっていないよ。そしてこれは誰の身に起きてもおかしくないことなんだ。潜在意識のどこかでスイッチが入ると、それですべてが動きだす。動機の温度…

不動産投資に失敗した大前研一

大前研一の評価が上がっている。そこで別の顔も紹介しておこう。 大前研一ライブ 1 大前研一ライブ 2 ゴールドコーストでの不動産投資のぼろ儲けに眼をつけて、この頃、遅ればせながら、と参入してきた人がいる。「国際経営コンサルタント」の大前研一だった…

スティグマ=烙印

【スティグマ】という言葉を用いたのは、明らかに、視覚の鋭かったギリシア人が最初であった。それは肉体上の徴(しるし)をいい表す言葉であり、その徴は、つけている者の徳性上の状態にどこか異常なところ、悪いところのあることを人びとに告知するために…