生きる力

 すべてがその静寂の中で止まった。死ぬ前の最後の鼓動であり、生命の次の鼓動だ。わたしは家の中に一人きりでいた。一人で待っていた。自分の人生の先端で待ち、まるで世界全体が宇宙の峡谷の崖っぷちで息を止めているようだった。何かが起こりそうで、子供と警官と女が記憶の中で一つになる。その感覚こそ生きる力だ。


【『あなたに不利な証拠として』ローリー・リン・ドラモンド駒月雅子訳(ハヤカワ・ポケット・ミステリ、2006年/ハヤカワ文庫、2008年)】


あなたに不利な証拠として (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) あなたに不利な証拠として (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(※左がポケミス、右が文庫本)