古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

ヒューマニズムの進歩信仰は迷信

 本書『わらの犬』の趣意は思想家の不用意な謬見を論破することである。今日、「リベラル・ヒューマニズム」はかつての啓示宗教に勝るとも劣らぬ勢いで、広く一般に浸透している。人間主義者(ヒューマニスト)は何かにつけて理性的な世界観を標榜するが、その核心をなす進歩信仰は、いかなる宗教よりもなお、生き物である人間の本然から遠くかけ離れた迷信である。(ペーパーバック版序)


【『わらの犬 地球に君臨する人間』ジョン・グレイ/池央耿〈いけ・ひろあき〉訳(みすず書房、2009年)】


わらの犬――地球に君臨する人間