古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

抜き書き

目的地が特定されていない移動は、それだけで既によろこびなのだ

で、ここのところ毎日、どこに行くということもなく、西に東に、ただただ闇雲(やみくも)に自転車を走らせている。 なぜ走るのかって? 単純に言って、楽しいからだ。 目的地が特定されていない場合、移動は、それだけで既によろこびなのだ。このことは、結…

アフリカは最も低い優先順位で数のうちにも入っていない

ダレール●わたしたちは人道を最優先していて、そのように振る舞ってはいます。しかし、実際にはサハラ以南のアフリカを援助するためにわたしたちが犠牲を払うことは、まったく優先されていないのです。アフリカは最も低い優先順位で、数のうちにも入っていな…

世の中の儲かる情報は「持てる者」に集中するようにできている

「持たざる者」が「持てる者」と同じ戦略をとっていては、その資産格差は拡大する一方です。なぜなら、「持てる者」には、より良質な投資機会が提供されるのが世の常だからです。世の中の儲かる情報は、すべからく持てる者に集中するようにできています。 【…

原発と地域振興

えー、その代わりに100年経って片輪が生まれてくるやら、50後に生まれた子供が全部片輪になるやら、それはわかりませんよ。わかりませんけど、今の段階では(原発を)おやりになった方がよいのではなかろうか…。こういうふうに思っております。 【高木孝一敦…

放射能拡散情報公表が遅れた背景に「政府の初動ミス隠し」

「原子力安全委が公表するかどうか判断するので、県が勝手に公表してはならないと釘を刺されました」 福島県は、玄葉光一郎・国家戦略相や渡部恒三・民主党最高顧問という菅政権幹部の地元だ。玄葉氏は原子力行政を推進する立場の科学技術政策担当相を兼務し…

休暇をとるには殺した相手の耳を持ち帰らなければならないことになっていた

中にはそういうことが好きな奴もいた。たとえば、ミッチェルという男がそうだ。彼は大男で、6フィート以上もあった。彼は第一師団で優秀な兵士として知られていた。決して口答えしなかったし、言われたことは何でもやった。彼の主たる任務は、広域パトロール…

投資家による売買が価格変動を引き起こす

短期的な価格変動の多くはランダムでもないし、経済ファンダメンタルズによって引き起こされるわけでもない。投資家による売買がそれを引き起こすのだ。 【『ギャンブルトレーダー ポーカーで分かる相場と金融の心理学』アーロン・ブラウン/櫻井祐子訳(パ…

氷河期から非氷河期までは、3000年でも300年でもなく、たった3年だった

1989年、アメリカはグリーンランドの氷床の3200メートル下、つまり11万年前までの気候履歴を集めるためのアイスコア採掘プロジェクトに乗り出した。ちなみにそこから30キロ離れた地点では、ヨーロッパのチームが同様の調査をしていた。4年後、両チームとも目…

『買ってはいけない』(「週刊金曜日」編)のトリック

典型的なのは、動物に食品添加物を大量に食べさせて死なせる急性毒性試験の結果をもとにして、「○○を食べさせたら、ラットやマウスに深刻な健康被害が出て死ぬ。だから危険な物質だ」というもの。 1999年に発行され、大ベストセラーになった『買ってはいけな…

進化は目的を持って進むわけではない

進化は目的を持って進むのではなく、遺伝子に起きる偶然の変異、それがもたらす体や行動の変化がそもそもの始まりだ。生物は目標を持って、何かをする「ために」進化するわけではない。「ある遺伝子の変異で獲得した性質が、そうでない個体よりも優位だった…

「必要な幻想」による「過度の単純化」が政治学の主流

『9.11 アメリカに報復する資格はない!』ノーム・チョムスキー 近代政府による組織的な宣伝活動 アメリカ軍国主義が日本を豊かにした ウォルター・リップマンの策略 観客民主主義 民主主義の新しい革命的な技法=合意のでっちあげ 「必要な幻想」による「過…

俳優・西田敏行さん 若い世代が引き継いで

中学卒業まで福島県郡山市で育ちました。地震と津波でノックアウトをくらった上に、原発事故まで…。故郷が三重苦にあえいでる状況に、強い憤りを感じています。 原発を建設するとき、為政者たちは「絶対に事故はありえない」と豪語していた。あの言葉はなん…

戦後、CIAは正力松太郎氏と協力して日本で原子力の平和利用キャンペーンを推進

「ポダム」とは当時、読売新聞社社主で日本テレビ社長だった正力松太郎氏(1885〜1969年)の暗号名。原子力委員会の初代委員長を務め、のちに「日本の原子力の父」と呼ばれる人物だ。 「戦後、CIAは正力氏と協力して日本で原子力の平和利用キャンペーンを進…

東京電力が暴力団に資金提供

これらの人夫を集め暴力と小銭で操るのが地回りのヤクザです。じっさい東電からA暴力団組長に毎年数十億の金が渡っています。さらに小うるさい瓦版屋にも抜かりなく金がばら撒かれています。じっさい東電のCM発注量は多く、役員の旅行に同行する記者団は上げ…

人間はあるがままの世界を認識できない−カント

カントはあまりにも偉大な存在であった。彼以前の哲学はすべてのそのなかに流れこみ、彼以後の哲学はすべてそこから流れだす、カントはまさにそのような湖にもたとえられる近代哲学の祖なのである。 彼は人間の認識を根底から変えた哲人だった。カントは自分…

不幸と戯れる

不幸と戯れることによってしか、不幸を克服することはできない。 【『蝿の苦しみ 断想』エリアス・カネッティ/青木隆嘉〈あおき・たかよし〉訳(法政大学出版局、1993年)】 エリアス・カネッティ 蝿の苦しみ 断想

経済産業省と東京電力の癒着構造

原子力行政をとりまく課題は根が深い。(中略)経産省は外局に資源エネルギー庁も抱え、原発推進の旗振り役になっている。いわば右手で原発を応援しながら、左手で規制監督していた格好だ。しかも、官僚OBの天下りを何人も電力業界に送り込んできた。 【社説…

実無限と可能無限

「ここで、寄せ集め解釈と切り口解釈の二つの解釈が出てきました。これは実は無限論の系譜を辿るときにたえず現われる対立しあう二つの立場なのです。寄せ集め解釈は、線分には無限個の点がすでに存在していると考えます。それに対して切り口解釈の方は、あ…

歴史とは死者と生者が連続しているという物語

歴史とは死者と生者が連続しているという物語で、この物語を維持する仕組みを失ってしまえば、国家も歴史も崩壊する。戦没者の顕彰はナショナリズムを維持する上での不可欠の機能で、私の理解では、靖国神社は戦没者を慰霊するというよりも顕彰する場所なん…

城南信用金庫

3代目理事長・会長となった小原鐵五郎は、1918年(大正7年)富山県で生じた米騒動を見て、貧富の差をなくして安定した社会を作りたいと考え、1919年(大正8年)7月に大崎信用組合に入職。全国信用金庫協会長や全国信用金庫連合会(現:信金中央金庫)会長を…

バロック音楽とコーヒーとたばこ

バロック音楽というのはルネサンス音楽にくらべてはるかに刺激的な響きがするものだが、ちょうどその時代にコーヒーやたばこのような刺激的な嗜好品が流行したというのは、おもしろい符合だと思う。 【『J・S・バッハ』礒山雅〈いそやま・ただし〉(講談社現…

感じるものにとってはこの世界は悲劇であるが、考えるものにとっては喜劇である

感じるものにとってはこの世界は悲劇であるが、考えるものにとっては喜劇である この、しばしば引用される言葉を残したのは、18世紀のイギリスの首相ロバート・ウォルポールの息子、ホラス・ウォルポールである。 【『脳と仮想』茂木健一郎(新潮社、2004年…

サマータイム制は論外=東京大教授・坂村健

まず理解しないといけないのは、電力網というシステムが、不断の努力でバランスを取っている「動的平衡系」だということだ。電力の需要と供給は常にある幅の中でバランスをとっていなければならない。多すぎても少なすぎても破綻する。本格的な理解をするに…

脳細胞の数は銀河系の星の数よりも多い

・並外れて優秀なマネジャーは伝統的なルールを破る ・脳内で繰り広げられる道路工事 ・概念と方法 ・人間の最も根源的な仕事 ・職場の強さを測る12の質問 ・脳細胞の数は銀河系の星の数よりも多い・『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』ピー…

喧嘩

閉ぢようとする心をどうしても明けようとする さういふ喧嘩の出来る奴だ。(「ミシエル・オオクレエルを読む」) 【『高村光太郎詩集』高村光太郎(岩波文庫、1981年)】 高村光太郎

あいまいさこそ自然の本質である

何だかいい加減なこと、あいまいなことだらけで、私たちが信じてきた「整然とした自然」とは正反対ですが、それが自然の本当の姿なのだと、量子論を築いた物理学者たちは考えました。量子論は、物質や自然がただ一つの状態に決まらずに非常にあいまいである…

電力のシャブ漬けとテレビの洗脳CM

そもそも原発は、電力よりも世論操作のために生まれた。戦後、順調だったGHQの日本懐柔策は、1954年の水爆実験の日本漁船乗組員被曝で迷走。世論は反米へ傾き、左翼の扇動もあって収拾がつかなくなる。前53年に正力松太郎に日本テレビを作らせた柴田秀利は、…

「ケアの消費」という時代

一方、経済あるいは消費の側からみると、(中略)今後もっとも拡大していくのは、医療・福祉を含む「対人社会サービス」すなわち「ケア産業」なのである。だとすれば、「生命」と「ケア」ということが、これからの経済社会の基本的な概念となるのであり、そ…

弟のためバイト、定時制 「夢あきらめない」

一生忘れられない光景がある。3月12日早朝、高台から見下ろすと、何もかも無くなった水浸しの町は、オレンジ色の朝日を反射してきらきらと輝いていた。「残酷なくらいきれいだった」 【TOKYO Web 2011-04-12】

文字禍

文字を覚える以前に比べて、職人は腕が鈍り、戦士は臆病になり、猟師は獅子を射損なふことが多くなった。(中島敦『文字禍』) 【『物語の哲学 柳田國男と歴史の発見』野家啓一〈のえ・けいいち〉(岩波書店、1996年/岩波現代文庫、2005年)】 野家啓一