古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

スティグマ=烙印

スティグマ】という言葉を用いたのは、明らかに、視覚の鋭かったギリシア人が最初であった。それは肉体上の徴(しるし)をいい表す言葉であり、その徴は、つけている者の徳性上の状態にどこか異常なところ、悪いところのあることを人びとに告知するために考案されたものであった。徴は肉体に刻みつけられるか、焼きつけられて、その徴をつけた者は奴隷、犯罪者、謀叛人──すなわち、穢れた者、忌むべき者、避けられるべき者(とくに公共の場所では)であることを告知したのであった。


【『スティグマ社会学 烙印を押されたアイデンティティ』アーヴィング・ゴッフマン/石黒毅〈いしぐろ・たけし〉訳(せりか書房、2001年)】


スティグマの社会学―烙印を押されたアイデンティティ