古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

キリスト教

教会と大学による諜報活動/『インテリジェンス 武器なき戦争』手嶋龍一、佐藤優

期待したほどではなかった。丁々発止(ちょうちょうはっし)、侃々諤々(かんかんがくがく)、喧々囂々(けんけんごうとう)とまでは言わないが、対談というものはもっと緊張感があってしかるべきだ。それがあって初めて、対話の妙が生まれる。基本的に手嶋…

オクタウィウス

「オクタヴィウス」よりも、「オクタウィウス」の方が検索ヒットが多い。「美しさとは調和である」ことを示した名文である。 海を見よ。海岸の法則によってさえぎられている。どんな木であろうと見るがよい。いかに大地の内側から生気を与えられていることか…

『Zeitgeist/ツァイトガイスト(時代精神)』『Zeitgeist Addendum/ツァイトガイスト・アデンダム』日本語字幕

陰謀論は不信をばらまき、憎悪を煽る。それに対して真実は、人々を目覚めさせる。この映画を陰謀論と考えるか、真実と受け止めるかは観る人の自由だ。自分の内部で何かが覚醒したと感じる人は、直ちにアクションを起こすべきだ。どんなことでも構わない。生…

教会は女を恐れた/『性愛術の本 房中術と秘密のヨーガ』

たまにはこんな本を読むのもいい。いつも同じ思考回路を使っていると、脳味噌が凝り固まってしまう。興味本位で気ままにページをめくれば、脳のリラクゼーションにもなるというものだ。 性愛術というと、エッチな妄想を逞しくする男性諸君が多いことと思う。…

虫けらみたいに殺されるパレスチナの人々/『「パレスチナが見たい」』森沢典子

・『パレスチナ 新版』広河隆一 ・虫けらみたいに殺されるパレスチナの人々 ・銃弾が食い込んだままの教科書 ・普段通りの暮らしを続けることが人々のインティファーダだった ・パレスチナ人は普通の暮らしも望めない 幼稚園の先生がパレスチナへ行った。彼…

大淫婦バビロン/大いなるバビロン

ヨハネの黙示録 17:1 大バビロンの大い淫婦 ヨハネの黙示録18 バビロンの滅亡 黙示録17章 「大淫婦へのさばき」 バビロン2 Wikipedia 「大いなるバビロン」とは何かを明らかにする:エホバの証人 「大いなるバビロンとは」−「真実を求め続けたいエホバの証人…

宗門人別帳、寺請証文、戸籍台帳

宗門人別帳の記載形式が全国的に統一されるのは、寛文11年(1671)10月「宗門改之儀ニ付御代官江達」という法令が出されてからである。これでは、一人ずつに宗派・生国・年齢・名前・続柄・檀那寺名が書き上げられ、家ごとにまとめ、巻末に寺名と台帳が村単…

神と悪魔

神と悪魔、彼らと政府やマクドナルドがどれほどちがう? どちらも地元の人間が依存できるものを何かしら提供することで金を得てる、ただのフランチャイズじゃないか。 ――エドワード・コンスタンザ (〈ロスアンジェルス・ヘラルド・エグザミナー〉紙読者投稿…

モルモン教の経典は矛盾だらけ/『信仰が人を殺すとき』ジョン・クラカワー

数年前のことだが近所に教会ができた。見るからに清々しいたたずまいで、垢抜けた瀟洒(しょうしゃ)な建物だった。最近になって気づいたのだが、実はモルモン教(正式名称は「末日聖徒イエス・キリスト教会」)だった。もちろん建物と教義は別であろう。だ…

ケニアの元マウマウ団戦士、植民地時代の「拷問」で英政府を提訴

5人の高齢のケニア人たちが23日、半世紀前の英国植民地時代に拷問を受け違法に投獄されたとして、英国政府を相手取り損害賠償請求を起こした。 裁判を起こしたのは、英国植民地時代に独立闘争を担ったマウマウ団(Mau Mau)の元戦士(男性3人、女性2人)。19…

オーストラリア・カジノとつながるヴァチカン財務部/『無境界の人』森巣博

森巣博(もりす・ひろし)はオーストラリア・カジノを拠点とする博徒(ばくと=ギャンブラー)である(森巣は「カシノ」と表記している)。本書のテーマは「日本人論」であるが、自在な筆致はギャンブル哲学を通奏低音とした小説のような味わいもある。 で、…

「神はいない?」偉人たちの無神論的な50の格言

らばQ

侵略者コロンブスの悪意/『わが魂を聖地に埋めよ アメリカ・インディアン闘争史』ディー・ブラウン

コロンブスが最初の航海に出たのは1492年のこと。当時、地球は丸いと考えられていたが、実際に確認した者はいなかった。中々陸地に到着せず、乗組員が暴動を起こした。彼等は地球が平らな世界だと思っていた。きっと帰れなくなることを恐れたのだろう。 この…

9歳少女に中絶手術、医師を大司教が「破門」…ブラジル

【リオデジャネイロ】世界最大のカトリック人口を抱えるブラジルの北東部ペルナンブコ州で、義父に強姦(ごうかん)され妊娠した少女(9)が今月初旬、中絶手術を受けたところ、カトリックの大司教が、中絶に同意した少女の母親と担当医らを破門した。 医師側…

コロンブスによる「人間」の発見/『聖書vs.世界史 キリスト教的歴史観とは何か』岡崎勝世

・魔女狩りの環境要因/『魔女狩り』森島恒雄 ・コロンブスによる「人間」の発見 ・キリスト紀元の誕生は525年 ・「レメクはふたりの妻をめとった」 ・化け物とは理性を欠いた動物・『聖書vs.世界史 キリスト教的歴史観とは何か』岡崎勝世 ・『世界史とヨー…

エホバの証人の輸血拒否

昨日、リンクした「NATROMの日記」に関連記事があったので紹介しよう(時系列順)。 エホバの証人の二枚舌 未成年への輸血はどうすべき?〜エホバの証人 輸血拒否した両親・親権停止が男児の命を救った Wikipediaによれば、この他にも兵役拒否、国旗敬礼・国…

輸血拒否した両親・親権停止が男児の命を救った

NATROMの日記

反社会性人格障害の見事な描写/『香水 ある人殺しの物語』パトリック・ジュースキント

主人公のグルヌイユは、マダム・ガイヤールの育児所に引き取られた。マダム・ガイヤールは明らかに反社会性人格障害だった。 ・Wikipedia ・反社会性人格障害 Antisocial Personality Disorder マダム・ガイヤールはまだ30にもなっていないのに、もうとっく…

宇宙人に誘拐されたアメリカ人は400万人もいる/『本当にあった嘘のような話 「偶然の一致」のミステリーを探る』マーティン・プリマー、ブライアン・キング

・ユングは偶然の一致を「時間の創造行為」と呼んだ ・宇宙人に誘拐されたアメリカ人は400万人もいる ・株式有料情報の手口 ・偶然の一致は壮大な宇宙の調和の現われ ・原子のの99.99パーセントは空間・『偶然とは何か 北欧神話で読む現代数学理論全6章』イ…

インド、チベットに伝わるイッサ=イエス伝説/『イエスの失われた十七年』エリザベス・クレア・プロフェット

イエスの人生は13歳から30歳に至る記録がまったくないそうだ。キリスト教では「エジプトへ行っていた」としているらしいが何一つ証拠がないとのこと。ところがこの間、アジアへ行った形跡がある。過去に3人の人物がチベットで「イッサ=イエス」にまつわる経…

進化する進化論 米国事情

創造説のナンセンスな変異 《G・ブランチ/E・C・スコット(全米科学教育センター)》 生物は進化したのではなく、クリエーターたる神が創造した……。米国では創造論者たちが依然として公立学校での進化教育に反対する運動を続けている。創造説を進化論に代わ…

依法不依人/『仏教とキリスト教 イエスは釈迦である』堀堅士

・宗教は人を殺す教え/『宗教の倒錯 ユダヤ教・イエス・キリスト教』上村静 ・インドのバラモン階級はアーリア人だった ・依法不依人・偶然性/『宗教は必要か』バートランド・ラッセル ・キリスト教を知るための書籍 いやあ、たまげた。これほど興奮を掻(…

焼身の瞬間/『焼身』宮内勝典

・焼身の瞬間・『クリシュナムルティの日記』J・クリシュナムルティ ティック・クアン・ドゥックが死ぬ瞬間を宮内勝典はこう記す―― 黒こげの焼死体から、うっすらと湯気がたち昇っていく。血や、体液が気化しかかっているのだ。今朝いよいよ発つという、まぎ…

「宗教は子どもじみた迷信」=アインシュタイン、手紙で指摘

ここでいう「宗教」とはアブラハムの宗教を指しているのだろう。 「宗教は子どもじみた迷信にすぎない」。物理学者アインシュタインが知人にあてた私信で、自身の宗教観をこう表現していたことが明らかになった。この手紙は今週、ロンドンで競売に出される。…

性はアイスクリームを食べるのに似ている/『エロスと精気(エネルギー) 性愛術指南』ジェイムズ・M・パウエル

これはめっけものだった。華麗な文章で奥深い世界に迫っている。 また別の文化では、性はアイスクリームを食べるのに似ている。未経験の人にとってアイスクリームのひとすくいは冷たくて味気無いものかもしれないが、実はひそかな深い味わいをもっている。ポ…

ゼロをめぐる衝突は、哲学、科学、数学、宗教の土台を揺るがす争いだった/『異端の数ゼロ 数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念』チャールズ・サイフェ

・ゼロをめぐる衝突は、哲学、科学、数学、宗教の土台を揺るがす争いだった ・数の概念 ・太陽暦と幾何学を発明したエジプト人 ・ピュタゴラスにとって音楽を奏でるのは数学的な行為だった ・ゼロから無限が生まれた ・パスカルの賭け・『宇宙を復号(デコー…

インドのバラモン階級はアーリア人だった/『仏教とキリスト教 イエスは釈迦である』堀堅士

・宗教は人を殺す教え/『宗教の倒錯 ユダヤ教・イエス・キリスト教』上村静 ・インドのバラモン階級はアーリア人だった ・依法不依人・偶然性/『宗教は必要か』バートランド・ラッセル ・キリスト教を知るための書籍 「イエスは釈迦である」なんてタイトル…

魔女は生木でゆっくりと焼かれた/『魔女狩り』森島恒雄

・『科学史と新ヒューマニズム』サートン:森島恒雄訳 ・『思想の自由の歴史』J・B・ビュァリ:森島恒雄訳 ・魔女は生木でゆっくりと焼かれた ・魔女狩りの環境要因 ・魔女狩りの心情・『聖書vs.世界史 キリスト教的歴史観とは何か』岡崎勝世・キリスト教を…

マザー・テレサ、神の存在への疑念を手紙に記す

カトリック教会の「聖人」に限りなく近いとされるマザー・テレサ(Mother Teresa)がしたためた私的な手紙が、近日出版される書籍の文中で公表される。この中でマザー・テレサは、自身の信仰の危機、および神の存在への疑念に悩まされていたことが明らかにな…

神話を覆す否定性/『ゲーデル・不完全性定理 “理性の限界”の発見』吉永良正

ソクラテスやピュタゴラスのもとでは、多くの女性が学んでいた。しかしその後の女性からは、学ぶ機会が奪われた。中世にあって西洋では聖職者にならない限り、男性ですら専門的な勉強はできなかった。そして、魔女狩りの嵐がよりいっそう女性蔑視を駆り立て…