古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

キリスト教

アンドレ・コント=スポンヴィル

1冊読了。 75冊目『精神の自由ということ 神なき時代の哲学』アンドレ・コント=スポンヴィル/小須田健〈こすだ・けん〉、C・カンタン訳(紀伊國屋書店、2009年)/クリシュナムルティを法華経とするならば、無量義経に位置する作品である。クリシュナムル…

世界は月から上と下の二つに分かれていた

前年より微分や積分の核心にほぼ到達していたニュートンは、ウールズソープ村に帰省するやいなや月の運動の解明にとりかかった。当時まだ支配的だったアリストテレス的自然哲学では、世界を月より上と下の2領域に分け、それぞれが異なる原理で動いていると考…

“ノアの方舟”、ついに発見。場所は大洪水のあと方舟が流れ着いたとされるアララト山

DIGITAL MAGAZINE 2010-04-28

権力は性を管理しようとする

権力はかならず性を管理しようとするものだが、西洋において性衝動を型にはめようとした強権力のひとつがキリスト教であった。キリスト教は、情熱に悪しき性質のあることを教えるのにおさおさ怠ることがなく、原罪という概念を人に植えつけた。神学は男の仕…

ローマ法王、涙ながらに謝罪 性的虐待の被害者に

カトリック聖職者による未成年者への性的虐待問題で、ローマ法王ベネディクト16世は18日、訪問先の地中海の島国マルタで、虐待被害者の男性8人と会談、涙ながらに謝罪した。今年に入り世界各地で次々とこの問題が報告されて以来、法王が被害者と会うのは初め…

ソ連がアフガニスタンを侵攻するようにアメリカが誘導した/『そうだったのか! 現代史 パート2』池上彰

・『そうだったのか! 現代史』池上彰 ・ソ連がアフガニスタンを侵攻するようにアメリカが誘導した ・目をえぐり取られ、耳をそがれ、手足や性器を切断されたチェチェン人の遺体 ・湾岸戦争では800トンに上る劣化ウラン弾が使用された パレスチナに関するト…

小ネタ満載/『世界の「聖人」「魔人」がよくわかる本』一条真也監修、クリエイティブ・スイート編

中々面白かった。たまにはこんな本もいい。週刊誌感覚で読める。聖人がキリスト教に傾きすぎているきらいはあるものの、そこそこ目が行き届いている。文庫本に善悪を網羅することは不可能であろうが、狙いには好感が持てる。 クリシュナムルティが紹介されて…

視覚の謎を解く一書/『46年目の光 視力を取り戻した男の奇跡の人生』ロバート・カーソン

・視覚の謎を解く一書 ・道に迷うことは物事を発見するために欠かせないプロセスだ ・盲目の冒険者・耳が聴こえるようになった瞬間の表情 ・色盲の人が初めて色を見た瞬間の感動動画 ・生まれて初めて色を見て咽(むせ)び泣く人々 ・『奇跡の脳 脳科学者の…

米で警官殺害計画、キリスト教過激派団体9人起訴

米国で「キリスト教戦士」を名乗る過激派武装グループ『フタリー』のメンバー9人が、警察官を殺害し、葬儀を爆破する計画をたてていたとして、扇動共謀罪、大量破壊兵器使用未遂罪、爆発物の使用方法を教示した罪、暴力的不法行為時の銃所持などで起訴された…

キリシタン4000人の殉教/『殉教 日本人は何を信仰したか』山本博文

・『「私たちの世界」がキリスト教になったとき コンスタンティヌスという男』ポール・ヴェーヌ ・キリシタン4000人の殉教 ・殉教とは・『青い空』海老沢泰久・キリスト教を知るための書籍 イエズス会のフランシスコ・ザビエルによってキリスト教が日本に伝…

大英帝国の発展を支えたのは奴隷だった/『砂糖の世界史』川北稔

・『奴隷船の世界史』布留川正博 ・『奴隷とは』ジュリアス・レスター ・大英帝国の発展を支えたのは奴隷だった・『インディアスの破壊についての簡潔な報告』ラス・カサス ・『生活の世界歴史 9 北米大陸に生きる』猿谷要 ・『ナット・ターナーの告白』ウィ…

コペルニクスが引っ繰り返したもの

・『人類が知っていることすべての短い歴史』ビル・ブライソン ・かつて無線は死者との通信にも使えると信じられていた ・レオナルド・ダ・ヴィンチ ・コペルニクスが引っ繰り返したもの ・コペルニクスは宇宙における人間の位置づけを変えた・『重力とは何…

キリスト紀元の誕生は525年

こうしたなかで、525年にキリスト紀元が発生してくる。6世紀初めになってキリスト紀元が生み出された原因は、カトリック教会の教会行事上の問題、具体的にはキリスト教世界では最も主要な祝祭日の一つ、復活祭の日を決定するという問題からであった。 【『聖…

キリスト教的世界観に自由意志は存在しない

伝統的なユダヤ・キリスト的世界観では、自由意志はありません。神が世界のすべてを支配しているからです。 交通事故に子どもが遭うと「それは神が決めたことだから、神の計画だから」ということになります。そうして慰められるわけです。 子どもを轢(ひ)…

芸術は思想である

実際、こういう宇宙的規模のコンセプトというものを描かせた法皇庁の力や、ミケランジェロの気迫といったものは、いまではもうどこでもだれによっても再現できないようなものです。なぜならば、もうそのような芸術を生み出していた社会的、文化的構造は消滅…

エスピオナージュに見せかけた「神の物語」/『木曜の男』G・K・チェスタトン

・『絶対製造工場』カレル・チャペック ・エスピオナージュに見せかけた「神の物語」 私には魂胆があった。ある時代の風俗を知りたければその時代のミステリを読むのが一番だといわれる。世界を支配する力は富ではなく情報である。これは今も昔も変わらない…

吐かれた唾を集めた痰壷本/『わらの犬 地球に君臨する人間』ジョン・グレイ

ジョン・グレイが吐いた唾(つば)で全ページがドロドロになっている。ま、言うなれば痰壷本(たんつぼぼん)だ。タイムズを始めとする各紙が2009年の一冊に選んだそうだが、所詮欧米の話。キリスト教に打撃を与えるのはまことに結構なんだが、どうもこの著…

イエス・キリストの言葉は存在しない

そもそも今の世の中に、神が霊感によって与えた無謬なる御言葉の現物はただのひとつも存在しない。あるのはただ、神の御言葉を書き写した、いわば複製だけなのだ――その複製は正しい部分もあるが、間違っている部分も(数限りなく!)ある。そんな状況で、そ…

アダムとイブの原罪

佐藤●さて、善悪の知識の木の実を食べたふたりは、自分たちが裸だということに気付いて、イチジクの葉をつづりあわせて腰を覆います。その日、エデンの園に神様がやってきました。足音を聞いたふたりは隠れます。神様は「あんたら何してるんだ。あれを食べた…

組織化された宗教が「良心の自由」を封ずる

良心の自由を叫んだことで知られる宗教団体が、個人の良心の声を抑えるために極めて厳しい制裁措置を取る。この現代において実におかしなことであると思う。 【『良心の危機 「エホバの証人」組織中枢での葛藤』レイモンド・フランズ/樋口久訳(せせらぎ出…

神は頭の中にいる

『唯脳論』養老孟司 霊界は「もちろんある」 夢は脳による創作 神は頭の中にいる 宗教の役割は脳機能の統合 アナロジーは死の象徴化から始まった ヒトは「代理」を創案する動物=シンボルの発生 自我と反応に関する覚え書き 脳がある体験をすることと、外界…

自己神化

主観的真実に固執するものは常に自己神化に終る。 「教会」と「党」とは常に異物を排泄して健康を維持する有機体に似ている。 【『正統と異端 ヨーロッパ精神の底流』堀米庸三〈ほりごめ・ようぞう〉(中公新書、1964年)】 堀米庸三 正統と異端 ヨーロッパ…

自我は秘密を求める/『伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術』カーティス・フェイス

・『デイトレード マーケットで勝ち続けるための発想術』オリバー・ベレス、グレッグ・カプラ ・『ゾーン 最終章 トレーダーで成功するためのマーク・ダグラスからの最後のアドバイス』マーク・ダグラス、ポーラ・T・ウエッブ ・自我は秘密を求める ・不明確…

バチカン「神の銀行」に捜査の手 資金洗浄に関与か

バチカン銀 マネーロンダリング疑惑 ローマ法王庁(バチカン)の財政管理組織「宗教事業協会」(IOR、通称バチカン銀行)がイタリアの民間銀行を通じて巨額のマネーロンダリング(資金洗浄)を行っていた疑いがあるとして、イタリア司法当局が捜査を始めた。…

「神の銀行」、巨額の資金洗浄疑惑 伊当局が本格捜査へ

【ローマ】イタリア司法当局は、ローマ法王庁(バチカン)の財政を握る宗教事業協会(IOR、通称バチカン銀行)がイタリアの民間銀行を通じて巨額の資金洗浄を行っていた疑いがあるとみて、本格的に捜査に乗り出すことを決めた。ANSA通信などが伝えた。 「神…

新約聖書「働かざるもの食うべからず」

労働に対する嫌悪は、時の始まり以来の規範であったとすら言えるかもしれない。創世記のなかで、神はアダムとイヴをエデンの園から追放するとき、彼らに多くの呪いを掛ける。イヴには出産の苦しみと夫への服従を与え、ふたりには「君は額に汗してパンを食(…

資本主義と罪の意識

このほかいろいろな論文をしらべてみると、初期の資本主義がさかんになってきて、キリスト教で禁じているようなさまざまな現世の利欲を追求し富や地位を築く信者が増加してくるにつれて、地獄はいきいきとした残忍なものになっていくようです。それはひとつ…

神と悪党

われわれの中には、神が最高に恵み深いことに安心して、最低の悪党になる者が少なくない。 【『蝿の苦しみ 断想』エリアス・カネッティ/青木隆嘉〈あおき・たかよし〉訳(法政大学出版局、1993年)】 エリアス・カネッティ 蝿の苦しみ 断想

堀米庸三

1冊挫折。 挫折89『正統と異端 ヨーロッパ精神の底流』堀米庸三〈ほりごめ・ようぞう〉(中公新書、1964年)/湯浅治久絶賛の一冊。最初は滅法面白かったのだが、中盤からわけがわからなくなり、後半はお経を読んでいるような感覚に捉われた。160ページほど…

アーサー・S・デモス財団/パワー・フォー・リビング

2002年1月18日付の『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』によれば、アーサー・S・デモス財団には5億6300万ドル(当時の為替で約740億円)にものぼる莫大な資産があります。同財団は1955年、米国の生命保険会社ナショナル・リパブリティ・コーポレ…