・宗教は人を殺す教え/『宗教の倒錯 ユダヤ教・イエス・キリスト教』上村静
・偶然性/『宗教は必要か』バートランド・ラッセル
・キリスト教を知るための書籍
「イエスは釈迦である」なんてタイトルを見てトンデモ本だと思った人もいるだろう。それこそ、とんでもない話だ。堀堅士は関西大学法学部教授(当時)なのだ。で、緻密(ちみつ)な考証と論理を積み上げて、紀元前の壮大なドラマを読み解こうとしている。もうね、「別々の事件の犯人が実は同一人物だった」という法廷スリラーの世界。
インドにおけるカースト制度自体にも「謎」が隠されていた――
このように「武士」「庶民」「奴隷」の上に絶対的権力をふるうこのカーストの最上位階級、バラモン(婆羅門)というのは、中央アジアにおいて極めて少数であったこの「白色人種(アーリヤン)」は、圧倒的多数の「黄色人種」や「黒色人種」の先住民と混血して、完全に同化されてしまうのを極度に恐れ、「バラモンの村」という特別区域に居住していました。そして、彼らの持って来た民族宗教「バラモン教」の神々を武士階級と庶民階級には強制的に信仰させ、また、奴隷階級がバラモン教にふれることは禁止して、その権威を保とうとしたのでありました。
この白人支配下のインドに生れた釈迦は、この皮膚の色にもとづく苛酷な人種差別と職業差別とに反対し、「人間みな平等」(「四姓平等」)の立場に立って、かの宗教を創始したのでありました。
最新の研究によれば、ブッダが積極的に人種差別廃止を目指した事実はないとされている。しかし、ブッダは不可触民に対して最上格の敬語をもって接した。この事実そのものが既に革命的なのだ。
本書は、「イエスという容疑者」に対して徹底的な尋問が繰り広げられている。仏典と聖書の類似箇所を次々と指摘し、名推理によって結論が導かれている。これは読んでからのお楽しみ。
実にスリリングな展開で、宗教・歴史・法律を学ぶことができる。