雑文

似た者同士

初めてそれを知った時、信じられない思いがした。騙(だま)されているんじゃないかと思ったほどだ。ダブルユーの二人が双子じゃなかったとは! 私は一人暮らしを始めた23歳の時から30歳を越えるまでテレビを持ってなかった。元々、高校の頃からテレビは殆ど…

プライドグランプリ2004開幕戦

ミルコが負けた。小川が勝った――。 ここ最近は、K-1よりもPRIDEの方が断然、面白い。 K-1はキャスティングで勝負しているようにしか見えない。それに比べてPRIDEは試合内容が格段にいい。勝ち負けがハッキリしているのだ。 プライドグランプリ2004開幕戦が始…

毒蝮三太夫に思う

時折、擦れ違うクルマの運転手と同時に笑っていることがある。瞬時に同じラジオ番組を聴いていることがわかる。大体が、毒蝮三太夫か小沢昭一の時間帯だ。そういや、どっちも、TBSラジオ「大沢悠里のゆうゆうワイド」だね。 『ラジオの鉄人 毒蝮三太夫』にも…

特養老人ホーム見学記

先日、特別養護老人ホームへ見学に行った。入浴から、おむつ交換に至るまでを見てきた。私が聞いた限りでは、痴呆が進んでいる方が多いようだった。 目の前で素っ裸になった男女が、他人の手を介して清潔を保つ――この当たり前の現実を凝視した時、自分の中で…

高楽寺の枝垂桜

ライトアップされた桜は満開だった。真下から見上げると、そこには桜花(さくらばな)の天井がある。妖(あや)しく、なまめかしく、傲然と存在している。化け物みたいな桜だ。この華やかさを目の当たりにすると、どうにもこうにも落ち着かなくなる。御神木…

ジェネレーション・ギャップ

いつの時代にあってもジェネレーション・ギャップは存在した。古代エジプトで造られたピラミッド内の壁にも、「最近の若い者は――」とため息交じりの嘆き節が刻印されているそうだ。私の世代がうら若き頃、巷間では、「5年違えば異邦人、10年違えば宇宙人」な…

目撃された人々 17

6月23日の深夜0:00を少し越えた頃だ。相棒の運転する車に給油をし、路上に出て信号待ちしていた。交差点の右方向から猛スピードで走ってくる車の音がした。瞬時に眼の前を黒っぽい車が、時速100km以上の速さで駆け抜けていった。前後して大音響。私は相棒に…

目撃された人々 16

電車の吊り革につかまっている時だった。私の右斜め前に行楽帰りとおぼしき家族連れが座っていた。子供2人に母親とおばあちゃんの4人組。大人達は疲れ切った表情でどっかと腰を下ろしていた。上の女の子はまだ2歳になっていないだろう。下の子はおばあちゃん…

目撃された人々 15

上京して間もない頃の話だ。私はちょっと困ったことがあって、ある婦人を訪ねた。古い家だった。「どう切り出そうか……」などと思案顔のままで部屋に通された。まだ25歳の頃だったと記憶する。今となっては何を相談に行ったのかすら覚えていない。ただ、少々…

かたち考

私をただの古書店主と思っていたら、それは大きな間違いだ。あるいは貧乏古書店主などと想像している方がいたとすれば、あなたは不逞の輩であると断言しよう。私の職業は古書店主であるが、その正体は研究者なのだ。薄々、気づかれた方も多いことだろう。そ…

目撃された人々 14

電車内には礼節や親切は存在しない。ここのところ電車に乗る機会が多いのだが、そのような結論に至った。 まず、混雑している車内から降りようとドアに向かって進む際に「あの、すみません」とか「ちょっと、よござんすか」などと行った野郎を見たことないも…

目撃された人々 13

今回は人ではなくてモノ。 家の前の信号を渡って、左側の路地に入ると右手に花屋がある。JR亀戸駅に向かう際、必ず通るコースだ。以前は吹けば飛ぶような建物だったが、いつしかマンションが立ち、その1階に店舗があてがわれていた。 私が亀戸に住んでから15…

「[書評]のメルマガ」を斬る

「[書評]のメルマガ」をご存じだろうか。 それほど面白いわけでもないんだが、間接的な知人(つまり直接は知らない)がいることもあって惰性で購読している。まあ、内のマガジンと扱う書物のジャンルが異なることもあって、大して面白くもなければ、参考に…

目撃された人々 12

ストレスを溜めない方法の一つに「電車に乗らないこと」を挙げる人が多い。紳士然とした人物が電車に掛け込むなり空席を血眼(ちまなこ)になって探すような仕草や、頭の悪そうな学生が長い脚を通路に放り出している態度や、込み合った車内で、カサカサとな…

目撃された人々 11

近所に中学があり、夕刻になると数人で連れ立って家路へつく生徒達を時折、目にする。 男女とも、とにかくだらしがない。制服はヨレヨレで、革靴のカカトを踏んだままで引き摺るような足の動き。頭髪においては何をかいわんや、である。みっともない姿で平然…

目撃された人々 10

冷たい雨が降っていた。雨の日は長靴に限る。そうでなくても私が履くと似合うと言われるのだ。「ヘルメットも似合いそう」とよく言われる。「耳元に鉛筆なんぞ差していれば完璧ですね」とまで言われる。 まあ、人相風体があまりよくなくて、体格がそれなりに…

フライングの弁明――悪いのはパソコンの野郎なんですよ

発行が遅れたことをお詫びいたします。「逆耳はまだか!」というお叱りの声を多数寄せて頂きました。まさか、これほどの反響があるたあ思いませんでしたぜ。当マガジンは既に社会的な影響を与えるまでに読者の生活を左右しているようです。本日までに電話が1…

目撃された人々 9

早稲田青空古本祭の初日は雨にたたられた。青空が顔を出した2日目に足を運んだ。場所は早稲田大学文学部傍の神社。前日が雨だっただけに結構な賑わいだった。若い女性もチラホラ見えたが、あれは早稲田の学生さんかしら。収穫はまあまあといったところ。及第…

目撃された人々 8

一昨日のことである。 なんだかわからんが両国を横断する清澄通りに出店が建ち並んでいた。私はスクーターにまたがって、蔵前橋通りとの交差点で信号待ちをしていた。右手の派出所に目をやると、緑色のベレー帽をかぶった老人が、道を訊ねられて案内をしてい…

目撃された人々 7

新宿のとある大きな書店でのことだ。 私の右側に若い母親が立っていた。まとわりつくように二人の少女。まだ、学校には上がってないほどの幼さだった。4歳か5歳と思われる上の子が母親のシャツの袖を引っ張った。 「ねえねえ」と落ち着いた声。 「この間、お…

目撃された人々 6

その瞬間、私の背後で脱兎の如く動いた人間がいた。神田の古書即売会。場所が場所だけに「やられたか?」との疑問が黒雲のように湧いてくる。その人物は一瞬にして1冊の本を抜き取った。フェンシングの突きのような無駄のなさと、猛禽類の急降下を思わせる素…

目撃された人々 5

カスタネットのような音がけたたましく鳴り響いた。振り向くと、階段を下りてくる馬鹿ムスメのサンダルの音だった。時折、目にする光景だ。ハイヒールのようなサンダルが大半である。馬鹿ムスメを睨みつけても、どこ吹く風といった様子。「悪いのはワタシじ…

ものの見方〜谷川浩司

明豊対聖光学院。結果は20-0で聖光学院が大敗を喫した。実は、わたくし、工藤の家でこの試合を見ていた。私が受けた印象は「緊張し過ぎたのかな?」程度であった。翌日(8月12日付)の朝日新聞に驚くべき記事が掲載されていたのでご紹介しよう。題して「君と…

大将軍アレキサンダー

アレキサンダーが、宿敵であるペルシャ王の軍勢に打ち勝った直後のエピソード。 アレキサンダーは何と敵の王の母親のもとに、すぐさま部下を送って丁重な伝言を届けたという。それは、子息である王が無事に生きていることを伝え、母親を安心させる内容であっ…

目撃された人々 4

今日、目撃したのは小学生の二人組。透明なビニール・バッグの中身がバスタオルだったことから、多分、プールへ向かう途中だと思われた。1年生か2年生であろうこの二人、真っ直ぐ歩くことがない。肩をぶつけ合ったり、指で突き合ったりしながら、離れてはく…

コンビニにて

「お箸は何膳おつけしますか?」と訊いてくる店員がいる。買い物の量が多い場合、一瞬、混乱する。「必要な分だけつけてくれよ」と答えるようにしている。 コンビニやファスト・フード店などに見られるマニュアル会話は、このところ、中年の女性店員にまで影…

目撃された人々 3

近所の雑貨屋を出ようとした時だった。ドアのガラスの向こうに少年が現われた。ドアが外に開く作りになっていたので、私は少年が先に入るのを待つ格好になった。両手に荷物を持ったまま少年を見下ろす私。少年はドアを開けると、背中でドアを押さえたまま立…

作家の声

抑制された爽やかな声だった。論旨も明快。整然とした話し方だ。学生からの質問に対しても、一旦は質問者を持ち上げておいてから、自説を諄々と説く。ユーモアもあり、リズミカルに笑い声を誘い出している。少し耳を慣らすと、口吻(こうふん)に締まりがな…

ある冬の断面

太陽の軌道が低い季節になると、ここ東京では抜けるような青空が見えるにもかかわらず、ビルの影が街を覆い隠す。高台を走る電車に乗ると、林立する高層ビルの背が陽光を浴びて眩しい。都会では、目に映る本物の太陽ですらバーチャルな存在だ。惜し気もなく…

便所に咲いた美しい花/『詩の中にめざめる日本』真壁仁編

【※「公衆便所のウンコをプロファイリングする」を参照してから読まれよ】 あの〜、誤解されぬよう願います。痔瘻(ぢろう)の方の肛門ネタではござんせん。 便所という狭い空間に様々なドラマがある。「んなモンあるわけねえだろ!」と反論されれば、私は敢…