古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

ものの見方〜谷川浩司

 明豊対聖光学院。結果は20-0で聖光学院が大敗を喫した。実は、わたくし、工藤の家でこの試合を見ていた。私が受けた印象は「緊張し過ぎたのかな?」程度であった。翌日(8月12日付)の朝日新聞に驚くべき記事が掲載されていたのでご紹介しよう。題して「君といる夏 甲子園」。谷川浩司(プロ棋士)の談話。

 勝負には厳しさと同時に潔さが大切なんです。
 将棋は自分で負けを認めねばならないゲームです。「負けました」と言って頭を下げるのが正しい投了の仕方。つらい瞬間です。でも、「負けました」とはっきり言える人はプロでも強くなる。これをいい加減にしている人は上に行けません。
 ベテランが息子みたいな棋士と対局して敗れたときは正直、頭を下げるのはつらい。ですが、これができないと勝負の世界ではやっていけない。
 高校野球でも敗者は相手の校歌など聞きたくないはず。グラウンドからすぐにでも逃げ出したい心境でしょう。しかし、我慢して聞くことが次につながるんです。私も棋士になってから500回は頭を下げました。(中略)
 4150校のうち頂点に立てるのは1校だけ。あとはすべて負けます。将棋でも野球でも負けることで免疫が得られる。社会に出たらいろいろな競争が待ち受けているはずですから、早いうちから少しずつ挫折を経験することは必要なのではないでしょうか。
 その意味で、聖光学院の応援団が最後まで懸命に応援していたのが印象的に残りました。立派だと思いました。


 一流の人物の目のつけ所は、こうも違うものか(ため息)。