古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

雑文

公衆便所のウンコをプロファイリングする

それは衝撃的な現場だった。目撃者はこの私だ。昨年の暮れに遭遇した何とも不可解な光景だった。 私は幼少の頃からオシッコが近い。医学的には頻尿と言うらしい。頻(しき)りにオシッコ、頻繁にオシッコ、ってな意味でしょうな。頻尿の上に貧尿という噂まで…

交差点で見た礼節

昨年の暮れのことだ。蔵前橋通りの信号が赤に変わり停止線の前でバイクを停めた。私の横に大型トラックが勢いよく突進してきた。低く、くぐもったブレーキ音を撒き散らし、前へつんのめるようにして停車した。その時である。横断歩道を渡りかけていた老婦人…

奴隷根性を支える“無気力”〜ドストエフスキー『死の家の記録』より

実際、わが国にはいたるところに、その境遇や条件のいかんを問わず、常にある不思議な人々、温順で、間々ひどく勤勉だが、永久に貧しい下積みから浮かび上がれないように運命によって定められている人々がいるものだ。これからもおそらくあとを絶たないだろ…

店主の呟き

本を読まなくなった。本当に読まなくなったなあ。洒落を言ってるんじゃありませんぜ。20世紀最終年は何と3冊しか読んでいない。これで不具合があるかってえと、そう大した問題はない。ま、古書店主として当然蓄えておかねばならない知識は限られてくる。ただ…

買い求められた健康と非行

独身男性の多くはコンビニエンス・ストアから随分と恩恵を被っていることだろう。私もその例外ではない。先日、颯爽と弁当を買いに行った際のことである。私の後ろに並んだ学生服姿の高校生が、牛乳をレジスターの傍らに置くなり「あと、マイルド・セヴン一…

入力地獄、それとも天国?

夏の陽射しがまだ強く残っていた8月の下旬に引っ越しをした。 数日間に亘って嫌がる友人・後輩を無理矢理手伝わせ、挙句の果てには、その中の一人に金を出させて皆にビールを振る舞った。心地好い汗を流していたのは私ひとり。他の連中はくたびれきった奴隷…

胃カメラ奮戦記

振り返ると実に様々なものを飲んできたが、いまだに飲んだことがないものがあった──胃カメラだ。出来ることなら飲まずに済ませたかった。口に苦い良薬であれば、まだ我慢のしようもある。胃で消化され患部を治療すべく体内に溶け込むのだから。 また、飲むに…

人生と選択

人生色々と言う。十人十色とも言う。その人ならではの個性(まあ良し悪しは当然あるものとして)を指す言葉であろう。その人の人生を象(かたど)る個性とは「選択」によってつくり上げられるものと推察される。 私は以前から「動物と人間の違い」に興味があ…

オンライン古書店の風景

吾輩は店主である。まだ儲かってない。 なぜ本を売るのか? 部屋に本があるからだ。 このわずか2行が我が人生の現在を語り尽くしている。電網超厳選古書店「雪山堂」を立ち上げて、早、3ヶ月。振り返るほどの日月(にちげつ)は重ねていないが、雪山(せっせ…

子供の詩

眼に映らないものを大切にしたい。顔で笑って心で泣いている、そういう人の悲しみを汲(く)んで上げられる自分でありたい。一粒の種に、大樹と育つ可能性の全てが備わっている。だが、それは見えない。木枯らしに震える枝は丸裸に見える。しかし、内部では…

子供の詩

「むげん」中村太一 うちゅうより ひとつ おおきいかずだね 【足立みどり幼稚園 5歳(読売新聞 1999-10-04付)】 君はどうやって、その真理を知り得たのだ? 子供の詩