毒蝮三太夫に思う

 時折、擦れ違うクルマの運転手と同時に笑っていることがある。瞬時に同じラジオ番組を聴いていることがわかる。大体が、毒蝮三太夫小沢昭一の時間帯だ。そういや、どっちも、TBSラジオ大沢悠里のゆうゆうワイド」だね。


ラジオの鉄人 毒蝮三太夫』にも書いた通り、この番組では「じじい」「ばばあ」のオンパレード。昨日の放送では大沢悠里が「そろそろお別れの時間ですよー」と声を掛けると、「エ、なんだい、出棺の時間か!」と言う始末。いやあ、笑った、笑った。NHK教育の介護番組でも、これぐらいやってくれると面白いんだが……。


 何を隠そう私もかなり口が悪い。その上、声が大きく態度がでかい。初めて会った人が目を白黒させることもある。だから、毒蝮三太夫には猛烈な共感を覚えてならない。彼の番組の収録に集まるお年寄りは、“本音”を求めてやってくるのだろう。よそよそしい世の中にあって、蝮が吐き出す毒舌は、近所の親父に叱られていた少年時代を懐かしく思い出させる。


 方言が人間らしく感じられるのは、上下関係を意識させないからだ、というのが私の持論。とはいうものの、営業マンが「お前なんぞに売らないよ」なあんて啖呵を切れる世の中になることは考えにくい。営業マンが頭を下げているのは客に対してではなく、客が支払う金に対してであり、そこから還元される自分の給料に対してである。


 するってえと、人を礼儀正しくさせているのあ、金銭なのだろうか? これ以上、考えるのはよしておこう。


 でもまあ、落語なんぞでは、品行方正と乱暴が絶妙なバランスで盛り込まれていて、このあたりに私が理想とする言葉遣いがあるかも知れぬ。


毒蝮三太夫