古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

プライドグランプリ2004開幕戦

 ミルコが負けた。小川が勝った――。


 ここ最近は、K-1よりもPRIDEの方が断然、面白い。


 K-1はキャスティングで勝負しているようにしか見えない。それに比べてPRIDEは試合内容が格段にいい。勝ち負けがハッキリしているのだ。


 プライドグランプリ2004開幕戦が始まった。


 ミルコ・クロコップが負けたのには驚いた。ミルコはこれで、ノゲイラ戦に続いて2連敗目である。それでも、私はミルコが好きだ。あのストイックな顔つき。クロアチアの内戦によって、目の前で友達が殺されていったことを語るあの表情。信じ難い悲惨さをくぐり抜けてきた彼は、いかなる練習であろうとも、わけもなく乗り越えることだろう。その彼が負けた。筋肉ムキムキで、やたらとピョンピョン飛び跳ねる相手に。これで、ミルコvsヒョードルの対戦はお預けとなった。


 だが、ミルコは無冠の帝王でいいのだ。それでこそ、ミルコ・クロコップだと思う。


 吃驚したのは小川だ。K-1ファイターのステファン・レコが有利と思われていただけに、呆気ない勝負だった。試合内容もさることながら、最も驚かされたのはリングパフォーマンスだった。マイクを握るや否や、自分の興行である「ハッスル」の宣伝をしたのだ。それはあたかも、“自分は営業をしにきたのであって、そのついでに、一試合こなしただけだ”とでも言いたげであった。人をおちょくるようなパフォーマンスに小川直也の強さが窺えた。PRIDEは今後も目が離せない。