古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

目撃された人々 14

 電車内には礼節や親切は存在しない。ここのところ電車に乗る機会が多いのだが、そのような結論に至った。


 まず、混雑している車内から降りようとドアに向かって進む際に「あの、すみません」とか「ちょっと、よござんすか」などと行った野郎を見たことないもんね。俺はちゃあんと言うよ。声がデカイからね、皆、サッと開けてくれるよ。


 座席に座っている若造なんかは、目の前に年寄りが来たら、寝た振りしてんだよな。全く頭に来る話だよ。で、いくつか駅を過ぎると薄目を開けて年寄りがまだいることを確認したりしてやがるんだよ。「バアサン、その野郎の膝小僧の上に座ってやんなよ」って、よっぽど言ってやろうかと思ったぜ。


 で、本題。人間観察に長(た)けている私が電車という舞台をみすみす見逃すはずがない。そこで空いてる座席に腰掛けるパターンを分析してみた。


 まず一番多いのは、ゆっくりと腰を下ろし、静かに背中を押し付け、ちょこっと肩を揺すぶりながら定位置を確保するやり方だ。まあ、人が座ろうとしているのに、身体を寄せて譲るような精神の持ち主は東京じゃどこにもいないからね。


 次にこれはお年寄りに多く見られるタイプだが、座席に浅く腰を掛ける人。最近はやたらと図体だけデカイ若造がいるから、遠慮がちに座る上品な人々である。


 そして最後に、いけ好かないオヤジ連中の1割を占めるであろう倣岸不遜な輩である。コイツらは座席の前に立ったかと思うと、いきなりドォーーーンって感じで座り込んじゃう。いかり肩を両隣の客にショルダー・アタックのようにかましておいて、「あ、すみませんねー」と全く悪びれる風もなく、しっかりと余裕のポジションを獲得するというやり方だ。


 私の場合はどれにも当てはまらない。静かに座り、隣の客と肩がぶつかると、舌打ちをし、黙ってそいつを睨(にら)みつけてやるのだ。こうすれば大半の客は少し身体を寄せてくれる。それでも譲らない馬鹿オヤジであれば、思いっきり肩を押し付け、75kgの体重でプレッシャーを与え続ける。


 それとだ、以前から気になって仕方がなかったのだが、日本人はどうして端っこが好きなのかね〜? これは昔、とある食堂で働く中国系の店員も語っていた。電車内でも、よく見受けられる。座っているクセしやがって、パッと端っこに移動するのがいるでしょ? ありゃあ一体全体何なんでしょうね〜? 見知らぬ人と触れ合うのが嫌でしょうがないのかな? せめて片一方だけにして欲しいという潔癖性の現れかも知れない。


目撃された人々