古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

飛び降り自殺をする時に靴を脱ぐ理由

 同記事によれば、「事故ではなく自殺であるということを他の人に示すため」、「テレビなどの影響を受けているため」のふたつで、次いで「踏ん切りをつけるため」、「自殺という行為に儀式性を持たせるため」、「幽霊には足がないから靴はいらない」などが多くみられる意見とのこと。だが、どれもしっくりこない。


 不遜なテーマではあるが、異様に興味が掻き立てられるのも確かだ。ウイスキーに侵された頭で少しばかり考えてみよう。


「靴を脱ぐ」のは家に入る時である。日本人の生活空間は、地べたとは同じ地平ではなく、異界にあるものと考えられる。それゆえ、「土足」という概念には、我が国固有の悪しき意義付けがなされている。「○○を土足で踏みにじる」という慣用句がそれだ。


 そもそも、「泥」や「土」という言葉自体がネガティブなものだ。「人の顔に泥を塗るような真似をしやがって!」とか、「土下座」とかね。


 そんな風に考えると靴を脱ぐ行為は、死後の世界への玄関に立たされているのかも知れない。あちらの世界に「お邪魔します」ってことか。


 あるいは、「三途の川」を渡る前準備として、靴を脱いでいるとも考えられる。はたまた、浄土に土を持ち込むことを嫌っている可能性もある。


 ヒック……。おやすみなさい(笑)。