古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

手柄岡持

暑にまけずかみもそゝけずはたらきのその骨柄(こつがら)も一器唐扇(とうせん) 手柄岡持(てがらのおかもち) 麻生・小池編『川柳・狂歌』(昭和33年)所収。「唐扇(中国の扇子)をもらひて」と題した狂歌。「暑さに負けず、紙も手ずれでそそけだったり…

「万物と共に踊る」ものは何か?/『高村光太郎詩集』

東京は梅雨が明けた。夾竹桃(きょうちくとう)が色めき、ひまわりがスッと背丈を伸ばしている。灼熱の太陽と我慢比べをするみたいに蝉が鳴き始めた。 私はどんなに暑くともエアコンを使わない。「夏に負けてなるものか」と意地を張り、夏のエネルギーを体内…

ビデオ:Mac「1984」CM 今なお衝撃的な映像を振り返る

CM映像は53秒から始まる。まあ、とにかく凄いよ。リドリー・スコットが制作した作品。2004年のリニューアルバージョンでは、女性がiPodとイヤホンを身に付けている。 CNET Japan

新訳『一九八四年』ジョージ・オーウェル/高橋和久訳(ハヤカワ文庫、2009年)

村上春樹の『1Q84 BOOK 1』『1Q84 BOOK 2』に便乗した恰好になっている。 ビッグブラザー復活! 20世紀世界文学至高の傑作が新訳版で登場! 〈ビッグ・ブラザー〉率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、…

緒方貞子

最悪なのは、自分が見殺しにしていたことすら知らなかったという点だ。当時国連高等難民弁務官の地位についていたのは日本人外交官緒方貞子である。彼女は日本の国連外交のチャンピオンであり、国内の政治家や官僚の腐敗と無能とは一線を画した存在ではなか…

風俗は裁判所がつくる

佐藤優●法の下の平等に反するじゃないか。どう考えてもおかしいじゃないですか。カラダの一部だけが猥褻(わいせつ)だとして、他の部分と区別されているというのは、チ○○ンとかオ○○コがかわいそうだ。 安田好弘●風俗という話になっていくと、立証不能、不要…

『失語と断念 石原吉郎論』内村剛介(思潮社、1979年)

失語と断念 石原吉郎論

「Try Jah Love」Third World

スティーヴィー・ワンダーがプロデュースしたこの曲をレゲエだと勘違いした者が多かった。私もその一人である。まだ10代だったからね。だが、サード・ワールドを介して、ボブ・マーリーに辿り着いた者もまた多かった。いずれにせよ名曲である。

バルカンのホスピタリティ/『終わらぬ「民族浄化」 セルビア・モンテネグロ』木村元彦

コソボ紛争は複雑である。まず、ユーゴスラビア紛争を理解しなくてはならない。 コソボ問題 わかりやすく ユーゴスラビアという国家は、チトー大統領の傑出したリーダーシップによって諸民族が微妙なバランスを取ることで成り立っていた。チトーの死(1980年…

『内なるシベリヤ抑留体験 石原吉郎・鹿野武一・菅季治の戦後史』多田茂治(社会思想社、1994年)

内なるシベリヤ抑留体験 石原吉郎・鹿野武一・菅季治の戦後史 第二次大戦敗戦とともに多くの日本人がシベリヤに抑留された。その時の苛酷な体験をもとに戦後詩作を続けた石原吉郎と、彼の敬愛する戦友鹿野武一、戦後政争の渦に巻き込まれて自死した菅季治の…

青木秀和、石原吉郎

1冊挫折、1冊読了。 挫折41『「お金」崩壊』青木秀和(集英社新書、2008年)/視点は非常にいいのだが、文章の構成力に難あり。略歴にも「中村敦夫、川田龍平両参議院議員の政策ブレーンも務める」などと余計なことを書いている。苫米地英人著『洗脳支配 日…

世間にひれ伏すインナーマザー/『インナーマザーは支配する 侵入する「お母さん」は危ない』斎藤学

インナーマザーとは「内なる母」のこと。虐待、過干渉、ネグレクトなど、さまざまな形で子供の心を踏みにじり、侵略し、遂には変形させる悪魔のような存在だ。親子の姿は支配関係となり、日常的に親が子をコントロールし続ける。プレッシャーに耐え切れなく…

『モンテ・クリスト伯 7冊美装ケースセット』アレクサンドル・デュマ/山内義雄訳(岩波文庫、2007年)

200年の長い間、世界各国で圧倒的な人気をあつめてきた『巌窟王』の完訳。無実の罪によって投獄された若者ダンテスは、14年間の忍耐と努力ののち脱出に成功、モンテ・クリスト島の宝を手に入れて報恩と復讐の計画を着々進めてゆく。この波瀾に富んだ物語は世…

『要人(VIP)を守れ! プロ・ボディーガードの驚異の世界!』清水伯鳳(近代映画社、1995年)

要人(VIP)を守れ! プロ・ボディーガードの驚異の世界! オウム真理教によるサリンの恐怖、警察庁長官狙撃事件、さらには都庁爆弾テロ事件等々、続発する反社会的行為に対応するにはどうしたらいいのか…。知られざる裏の社会で生きてきた著者がその体験的…

林秀彦

1冊読了。 80冊目『おテレビ様と日本人』林秀彦(成甲書房、2009年)/林秀彦はテレビドラマ『鳩子の海』や『七人の刑事』の脚本を書いた人物。テレビ側の人間としてスポットライトを浴びていたさなかに自殺を試みた。その後、日本を脱出しオーストラリアの…

木村元彦

1冊挫折。 挫折41『終わらぬ「民族浄化」 セルビア・モンテネグロ』木村元彦〈きむら・ゆきひこ〉(集英社新書、2005年)/期待していたのだが読みにくかった。80ページで挫ける。多分、圧倒的な事実を前にして、著者が物語化できなかったのではないかと思う…

暗闇

暗闇では物を直視してはならない。じっと見すぎると想像上の動きを作り出してしまうからだ。 【『あなたに不利な証拠として』ローリー・リン・ドラモンド/駒月雅子訳(ハヤカワ・ポケット・ミステリ、2006年/ハヤカワ文庫、2008年)】 ローリー・リン・ド…

『映画覚書 vol.1』阿部和重(文藝春秋、2004年)

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のレビューが収められていると思う。それにしても、この表紙は何とかならなかったのかね? タランティーノからゴダール、スピルバーグ、北野武、黒沢清……を同一の地平で論じ尽くす新世紀の映画批評。デビュー10周年にして初の…

「異邦人」久保田早紀

1979年のヒット曲。エスニックなイントロに衝撃を受けたものだ。歌唱力はないものの、少しハスキーで涼しげな声が日本人好み。

エンロン破綻という経済戦略/『大相場、目前!! これから株神話が始まる!』増田俊男

・『史上最大の株価急騰がやってくる!』増田俊男 ・『空前の内需拡大バブルが始まる』増田俊男 ・『敗者の論理 勝者の法則』増田俊男 ・『日本経済大好況目前!』増田俊男 ・『日本大復活! アメリカを救う国家戦略が黄金の時代の扉をひらく』増田俊男 ・エ…

NY証取、サイバー攻撃の対象に 被害確認されず

米ニューヨーク証券取引所(NYSE)などの運営会社のNYSEユーロネクストは8日、NYSEのウェブサイトがサイバー攻撃の対象になっていると関係当局から連絡を受けたと発表した。具体的な被害は確認されておらず、取引やデータシステムへの影響は出ていないという…

クレイジーな人たちがいる:Apple CM

ガンジーは余計だ。

『生命の起源 科学と非科学のあいだ』ロバート・シャピロ/長野敬、菊池韶彦訳(朝日新聞社、1988年)

生命の起源 科学と非科学のあいだ 地球上の生命はどうやって生まれたのか――この問いは人類の歴史と同じほどに古いが、現在も解答は得られていない。生化学を専攻する著者はユーモアあふれる語り口で、化学物質スープ説、粘土起源説、宇宙飛来説から宗教、神…

時事評論家・増田氏の出資問題、送金先はタックスヘイブン

「時事評論家」の増田俊男氏が、パラオ共和国に設立した銀行で集めた約16億円が返済困難に陥った問題で、増田氏が出資を募った約20件に上る海外投資案件の送金先が、タックスヘイブン(租税回避地)であるカリブ海の島とハワイに登記された二つの企業の口座…

個性が普遍に通ずる/『小林秀雄全作品 25 人間の建設』小林秀雄

・『春宵十話』岡潔 ・『風蘭』岡潔 ・『紫の火花』岡潔 ・『春風夏雨』岡潔 ・個性が普遍に通ずる・『小林秀雄全作品 26 信ずることと知ること』小林秀雄 ・『学生との対話』小林秀雄:国民文化研究会・新潮社編 ・『天上の歌 岡潔の生涯』帯金充利 ・『生…

「“ショック療法” にはなるかもしれないが、政権交代しても、本質は何も変わらない」森達也

最初に断っておくと、僕は民主党にまったく期待してません。政権交代して民主党政権ができたとしても、いまの政治の枠組み自体が変わらない限りほとんど何も変わらないでしょう。 正直、民主党っていまだによくわからないんです。その正体も、なにがやりたい…

「レッテルをはがす」湯浅誠

湯浅誠という論客を、私は前原政之さんのブログ記事で知った。 湯浅●重要なのは、いかにそうしたレッテルをはがして、問題を普遍化していけるかということなのかな、と思います。 編集部●「レッテルをはがす」ですか? 湯浅●たとえば、僕はずっと野宿者の支…

「総裁は命をかけるもの」東国原氏発言に小渕氏不快感

小渕優子少子化担当相は26日午前の記者会見で、宮崎県の東国原英夫知事が衆院選出馬の条件として自民党総裁候補にすることを挙げたことについて「意図が十分に分かりかねる」とした上で、「首相・総裁を目指すのは本当に大変だし、命をかけて役割を果たして…

「貧しいユダヤ人」だけがナチスに殺された/『新版 リウスのパレスチナ問題入門 さまよえるユダヤ人から血まよえるユダヤ人へ』エドワルド・デル・リウス

物語には作者が存在する。そして、物語には意図が託されている。ユダヤ人を取り巻く物語は、ユダヤ人が創作したものが殆どで、脚色のレベルを超えて歴史捏造(ねつぞう)の領域に達している。 シオニズムというペンで書かれた物語を流布させたのはロスチャイ…

鮭の一生

鮭の一生で、もっとも壮絶哀切をきわめるのは、ふるさとの川をのぼるときである。 鮭が、じぶんの生まれた川を上ってゆくのは、そこで結婚するためであり、その初夜があけた朝、まちがいなく、死ぬためである。 それは、鮭の生涯のうち、もっとも花やかなフ…