古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

青木秀和、石原吉郎


 1冊挫折、1冊読了。


 挫折41『「お金」崩壊』青木秀和(集英社新書、2008年)/視点は非常にいいのだが、文章の構成力に難あり。略歴にも「中村敦夫川田龍平参議院議員の政策ブレーンも務める」などと余計なことを書いている。苫米地英人著『洗脳支配 日本人に富を貢がせるマインドコントロールのすべて』(ビジネス社、2008年)に書かれているテーマの一つを丁寧にフォローした内容である。すなわち、国家は予算と称して国民の預貯金を好き勝手に使っているというもの。ゴーストライターに書かせれば、間違いなくベストセラーになると思われる。60ページで挫ける。


 81冊目『石原吉郎詩文集石原吉郎〈いしはら・よしろう〉(講談社文芸文庫、2005年)/震え慄(おのの)きながら一気に読了した。詩はエリアス・カネッティアフォリズムのように思考の枠を解体する。「ペシミストの勇気について」で圧倒され、「望郷と海」で気圧(けお)され、「棒をのんだ話」で唖然とさせられた。私と同い年の日記があった。私が生まれた年に書かれた日記もあった。46歳にして出会うべくして出会った一冊である。まだ、余韻が冷めやらない。