古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

鶴岡真弓、酒木保、ガボール・マテ


 1冊挫折、2冊読了。


黄金と生命 時間と練金の人類史鶴岡真弓/何となく挫折。高価なので、体調のいい時に再読する予定。


自閉症の子どもたち 心は本当に閉ざされているのか』酒木保(さかき・たもつ)/軽度発達障害の手掛かりになるかと思って読んだのだが見当違いだった。著者は実際に自閉症の子供達と接しているがゆえに、どうしても寄り添おうという姿勢が強く出てしまう。客観的な情報は少ないが、正常な人間関係を結ぶことのできない自閉症が、関係性の意味を教えてくれるところが興味深い。


身体が「ノー」と言うとき 抑圧された感情の代価ガボール・マテ/著者はカナダ人医師。2200円でソフトカバーはねーだろーよ、と思ったが400ページあるので許そう。ALS、慢性関節リウマチ、多発性硬化症などの病気が、ストレスによって引き起こされている可能性を指摘している。アルツハイマーや乳癌も。著者はインタビューという形で、患者の人生の闇に鋭くメスを入れる。「対話」によって引き出されたものは、幼少期からの歪んだ価値観に束縛されてきた患者の心であった。「ノー」と言えない人々の許容量を超えた時、身体が悲鳴を上げ始める。ガボール・マテは決して声高な主張をしているわけではない。「こういう人生を経て、こういう病気になった人々がおりましたよ」と静かに語っているだけだ。心身の相関は我々が考えている以上に深い関係であることがわかる。