ウウム、昨今の金融経済を予言したような書名である。ま、この手のタイトルって多いんだけどね。徐々に上がっていって、暴落する。まるで、人生のようだ。破壊は一瞬、建設は死闘。
労働力が世界マーケットの筋肉だとすれば、金融は血液に喩えることができよう。グローバル経済とは、世界のどこかで怪我(デフォルト〈債務不履行〉など)をすれば、自国の血も流れ出ることを意味する。そして現在、金融マーケットのマネーは、実体経済をはるかに上回る資金量となっている。最大の問題は、レバレッジ(テコの原理=投資金額の数十倍規模で取引ができる)を利かせていること。これが、金融マーケットの巨大な幻影を支えている。今、株価が暴落しているが、市場原理からすればゼロサムゲームなんだから、誰かの金が誰かの懐へ移動しているだけに過ぎない。しかしながら、実体経済への影響は必至だ。
で、だ。年金というのは、莫大な資金量に任せて長期投資が可能である。つまり、安定した利益を獲得しやすい。そんなわけで、国民は安心して文句一つ言わず月々の年金を支払っているわけだ。ま、利回りのよい預金といった感覚の人が多いことだろう。
日本では、数年前からグリーンピアの経営不振が問題となり、それ以降、厚生労働省の無理・無茶・無謀ぶりが発覚した。年金未納問題、年金記録問題などが社会を揺るがした。でも、「揺るいだ」まんまで終わっているんだよな。年金の全体像と将来像が全く見えない状況だ。
日本でも現在、本書で述べてきたように「年金問題」が政権の課題となっていますが、実は、旧ソ連の共産党政権が崩壊した直接の理由は「年金問題」だったのです。
当時のゴルバチョフ大統領が「グラスノスチ=情報公開」を進める中で、「実は年金財源はありません。みんななくなってしまいました」と公表したところからソ連共産党に対する猛烈な不信感が広がり、最終的に共産党政権が崩壊したのです。
つまり、「年金が払えません」と公表したら、それは政権も国家も崩壊する、キーワードとなっているということです。安倍前首相は「年金はすべてのみなさまに支払う」と言ったわけですが、実状がここまで深刻な事態であり、国家が崩壊するかどうかという大問題だと認識していたかどうかは疑問です。
【『繰り返す世界同時株暴落 自民崩壊・生活壊滅の時代』藤原直哉(あ・うん)】
フム、佐藤優の意見を聞きたいところである。だが、投資とは無縁で、投機とはもっと無縁な国民が怒ることは容易に想像がつく。「国への信頼」を逆手にとって、詐欺を働いたも同然だからだ。まして、共産国というのは公務員の数が多い。日本でも同様で共産系の知事や市長が誕生すると、必ず公務員の数は増える。すると、当然のようにインチキを働く人間の数も増える。
同じ根っこから生えている幹が「天下り」である。確かに、利権はおいしいし、羨ましい限りだ。しかし、そこでつかわれている金は血税である。官僚の豊かな老後を支えているのは、生活を切り詰めながらも懸命に働く国民なのだ。つまり、こいつらは悪魔だ。善悪を不問に付し、正義を嘲笑い、貧乏人に小便を引っかけて平然としている手合いということだ。最近では、障害者の顔に唾を吐くような真似までしている(リハビリ難民)。
年金問題は国家の腎不全を示しているように思う。人工透析が必要となるかどうかは、国民の選択で決まる。つまり、次の衆院選だよ。