ダブルバインド/『子供の「脳」は肌にある』山口創

 ダブルバインド(二重拘束)とは、矛盾するメッセージの板挟みになる状態のこと。幼児が大きくなるにつれ、母親は身体的な接触を忌避する時期があるそうだ。本能に備わる子離れ、親離れのメカニズムの一つなのかも知れない。

 このようなときでも、子どもから接触を求めてくる場合には、やはりなるべく受け入れてあげることは必要だ。ただ、親がそれを多少不快に感じ始めるというのは、順調に子離れが進んでいるからこそでもある。
 不快に感じるのに無理に触れるのはよくない。不快なのに無理やり触れようとすると、必ず触れ方に影響が現われる。たとえば、手のひら全体で降れずに指の腹だけで触れるようになる。すると触れられた子どもは敏感にそれを察知する。そして触れてもらっているのに心地よくない、という矛盾を感じるようになる。
 これは「ダブル・バインド」とよばれ、子どもの心を二つの異なるメッセージで板ばさみにしてしまうことになる。「愛している」というメッセージと「でも触れたくない」という二つのメッセージの矛盾に気づいた子どもは、どちらを信じたらよいのか分からず混乱してしまうのだ。


【『子供の「脳」は肌にある』山口創光文社新書、2004年)】


 よくありがちなのは、親が勝手に子供の将来を決めているケースであろう。知らず知らずのうちに、親の目論見に合わせた誘導をしがちである。そうした行為自体が子供から判断力を奪う結果となる。


「三つ子の魂百まで」というが、3歳までの間に親がどんな反応を示すかで、子供の世界に向き合う態度が決定されてしまうのだろう。その影響力を鑑みれば、たとえ親であったとしても襟を正して子供と接するべきである。


 幼児にとっては親が環境の大半を占める。親に受け容れてもらえない子供の自我は、混乱したままで形成されることとなろう。また、明快な善悪の価値観を教えることも重要だ。