『海馬 脳は疲れない』池谷裕二、糸井重里

 ・『海馬 脳は疲れない』池谷裕二糸井重里

『進化しすぎた脳 中高生と語る〔大脳生理学〕の最前線』池谷裕二
『脳はなにかと言い訳する 人は幸せになるようにできていた!?』池谷裕二
『できない脳ほど自信過剰 パテカトルの万脳薬』池谷裕二


 ちょっと前のベストセラーぐらいに思っていたら、既に5年も経っていて驚いた。「脳味噌モノ」といえば、今は池谷裕二氏が旬。私は今回始めて読んだ次第。


 対談なんでスイスイ読める。錯覚の図などが盛り込まれていてバランスもいい。個人的に糸井重里は嫌いなんだが堪能できた。内容が軽めに感じられるが急所は押さえている。

  • 子どもはまわりの世界に白紙のまま接するから、世界が輝いて見えている。何に対しても慣れていないので、まわりの世界に対して興味を示すし、世界を知りたがる。だけど、大人になるとマンネリ化したような気になって、これは前に見たものだなと整理してしまう。
  • 「ものや人とのコミュニケーションがきちんと取れている状態」が「脳のはたらきがいい状態」。
  • 30歳を過ぎると、つながりを発見する能力が非常に伸びる。
  • 一個一個の神経細胞だけを比較すると、人間も昆虫も変わらない。
  • 脳は疲れることがない。疲れるのは目。
  • 夢は記憶の再生。フランス語を話せない人がフランス語の夢を見ることはない。
  • (錯覚の理由の一つ)人は光を「上から当るもの」と思い込んでいるため。
  • 海馬の脳細胞と脳細胞をつなぐシナプスに可塑性があることが最近の研究でわかった。
  • 扁桃体を活躍させると海馬も活躍する。扁桃体を活躍させるには「生命の危機状況」をつくればよい。部屋を寒くしたり、空腹状態にすると、脳の活動はアップする。


「脳の適応化」ということで驚いたのだが、上下が逆さに見える眼鏡をかけると、最初はまともに歩くこともできないが、1週間も経てば「その世界」を当たり前のように感じて普通に歩けるようになるそうだ。


「脳を意識する」ことは「自我を意識する」ことに似ている。普段は完全に脳の支配下にあるわけだが、客体化することで自分をコントロールできる志向性が生まれる。