2冊挫折、1冊読了。
挫折80『戦略の格言 戦略家のための40の議論』コリン・グレイ/奥山真司訳(芙蓉書房出版、2009年)/文章がよくない。それにも増して、戦争のための理論を読むことに徒労感を覚えた。
挫折81『サバルタンは語ることができるか』ガヤトリ・C・スピヴァク/上村忠男訳(みすず書房、1998年)/薄い(150ページ弱)ので読めるかなと思いきや甘かった。それにしても、哲学はどうしてこんなに狭いリングで勝負をするのだろう。何書いてあるんだか、さっぱりわからんよ。「サバルタンは語ることができない」──それを論じてどうしようってんだ? スピヴァクさんよ。飢えの前でデリダ的脱構築はどんな価値があるのかね? スピヴァクさんよ。あんまりわからないもんだから、頭に来ちゃったよ。
132冊目『恐怖なしに生きる』J・クリシュナムルティ/有為〈うい〉エンジェル訳(平河出版社、1997年)/スピヴァクさんがストレスを与えてくれたおかげで一気読み。恐怖をテーマにした講演抄録集。これは最終段階だ。人生を開くには恐怖と悲しみを乗り越えるしかない。訳者の有為は子供を亡くしている。クリシュナムルティは諄々と説く。恐怖をありのままに見つめよ。恐怖の一部ではなく全体を根源から観察せよ、と。桁外れの知性と慈愛。クリシュナムルティ本はこれで43冊目。