古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

ロバート・カーソン、J・クリシュナムルティ


 1冊挫折、1冊読了。


 挫折38『シャドウ・ダイバー 深海に眠るUボートの謎を解き明かした男たち』(上)ロバート・カーソン上野元美〈うえの・もとみ〉訳(早川書房、2005年/ハヤカワ文庫、2008年)/100ページを超えたあたりで挫ける。これは著者のせいではない。読み物としては多分面白いことだろう。アメリカ沖でUボートを発見。再度アタックする2週間後まで口外しないことを誓い合った。情報が漏れると確実に沈没船は奪い合いの惨状と化すことが予想された。で、翌日、まず一人から漏れた。続いてアル中の首謀者があっさりと友人に語ってしまう。好きなこと、得意なことだけやってきた連中にはこういうのが多い。人間として半端なのだ。明らかに精神を病んでいると思う。こんな連中の冒険を読んでもあまり意味がないと判断した。


 82冊目『クリシュナムルティの神秘体験』J・クリシュナムルティおおえまさのり監訳、中田周作訳(めるくまーる、1985年)/ついに読んでしまった。ずっと温めていたのだ。親父の一周忌に携え、やっと本日読了。全編これ悟り一色。不可思議な境地としか言いようがない。結局は「諸法実相」ということなのだ。クリシュナムルティの正真正銘の内なる世界があますところなく描かれている。衝撃の一書だ。クリシュナムルティ本はこれで35冊目の読了。