古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

スティーブン・ピンカー、エドワルド・デル・リウス、高橋克彦


 1冊挫折、2冊読了。


 挫折33『言語を生みだす本能(上)スティーブン・ピンカー/椋田直子〈むくだ・なおこ〉訳(NKKブックス、1995年)/下卑た用例があり、100ページあまりで挫ける。私は神経質なのだ。愉快な文章だが、やはり専門書である。そこそこの覚悟がなければ読み終えることができない。今度はピンカーのもっと軽い内容のものを読んでみることにする。ま、あればの話だが。


 72冊目『新版 リウスのパレスチナ問題入門 さまよえるユダヤ人から血まよえるユダヤ人へエドワルド・デル・リウス/山崎カヲル訳(第三書館、1983年)/著者はメキシコの漫画家。1983年3月東京の「イスラエルレバノン侵略に関する国際民衆法廷(IPTIL)」に出席した際に書き上げた作、となっているが経緯については記されていない。非常に不親切な作りである。しかしながら内容は素晴らしい。イラストと手書きの文字で構成されている。ま、第三書館という出版社と胡散臭い翻訳者が組んでいるので、ガッサーン・カナファーニーが指摘する政治目的への利用という疑惑は拭い難い。


 73冊目『時宗 巻の壱 乱星高橋克彦NHK出版、2000年/講談社文庫、2003年)/第1巻の主人公は北条時頼鎌倉時代を舞台とした見事な「政(まつりごと)小説」。華僑と思われる謝国明の息子・太郎が秀逸なトリックスターとして描かれている。これは一気読み。