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早期リハビリの危険性/『リハビリテーション・ルネサンス 心と脳と身体の回復 認知運動療法の挑戦』宮本省三

 早期リハビリの危険性に関する情報。ま、参考程度にしてもらいたい。

 早期リハビリテーションと称して急性期に早期起立や早期歩行を求めると、脳の自然回復を遅らせる可能性がある。さらに、早期起立や早期歩行は「痙性(spasticity)」という異常な緊張感を増悪させる主原因となる。痙性がどれほど患者の動きを制限するか、また一度発現するとその異常な筋緊張の制御がどれほど困難であるかは、臨床で働くセラピストなら誰もが知っているはずである。


【『リハビリテーションルネサンス 心と脳と身体の回復 認知運動療法の挑戦』宮本省三(春秋社、2006年)】


 宮本省三の文章はことごとくこんな調子だ。「脳の自然回復を遅らせる可能性がある」→「早期起立や早期歩行は痙性の主原因となる」→「痙性が大変なのは周知の事実」――具体的な因果関係を示すことなく、あたかも関連性があるように書いている。


 まず、「可能性」の程度が不明だ。次に、「痙性の主原因」となる根拠が示されていない。そして、「セラピストなら誰もが知っているはず」という牽強付会ぶり。


 極めて悪質な文章だが、これがもし事実であるとすれば、早期リハビリが麻痺を促進していることになる。それゆえ、情報としては価値ありと判断した。


早期リハや介護予防、生活習慣病対策における短期的視点と長期的視点の区別