『もっと!らくらく動作介助マニュアル 寝返りからトランスファーまで』中村恵子監修、山本康稔、佐々木良(医学書院、2005年)


 これはオススメ。岡田慎一郎著『古武術介護入門 古の身体技法をヒントに新しい身体介助法を提案する』よりもはるかにいい。身体障害者体位変換および移動に関して私はプロ級の腕前だが(ナース、ヘルパーで私より上手い人を見たことがない。また実際に大学病院のナースに移動法を教えることが度々ある)、80点をつけられる内容だ。


 素人であれば掲載されている写真をを見ただけではわかりにくいと思うが(付属のDVDがあるので安心されよ)、非常に重要な動作を数多く紹介している。介護現場に携わるヘルパーや家族の大半は往々にして腰痛に悩まされる羽目となる。これは移動方法を知らないためだ。力任せに扱えば、要介護者にも負担がかかる。


 日本は既に超高齢社会(総人口に占める65歳以上人口が21%超)となった(2007年)。親や伴侶をいつ介護する立場になるかわからない。その意味でも一家に一冊は用意すべき書籍であると思う。


 介護が必要になってからやるのではなく、健康な夫婦であっても移動法は身につけておいた方がよい。これが本当の「転ばぬ先の杖」である。特に要介護者が太っていると、家族の身体的負担は極めて大きい。


 なかんずく老々介護ともなれば、無理な体勢から転倒してしまい骨折するケースも十分考えられる。寝たきりになる最大の要因は骨折なのだ。特に婦人の場合、尻もちをついただけで背骨を圧迫骨折することが多い。


「賢い介護」ができるかどうかで、家族の幸不幸が左右されるといっても過言ではない。ほんの少しの知識によってお互いの負担を減らすことができるのだ。


 残りの20点は、まだ他の移動法があること、更にトイレや風呂への介助法が紹介されていないことなど。

  • 頑張らない介護/『カイゴッチ 38の心得 燃え尽きない介護生活のために』藤野ともね


もっと!らくらく動作介助マニュアル―寝返りからトランスファーまで