古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

瞑想の世界を見ることができる情報機器/『ひとりっ子』グレッグ・イーガン

SFの醍醐味は、科学技術が発達してもなお避けることのできない人間の苦悩を描き出すところにある。未来という舞台設定に映し出されているのは、現代社会が抱える人間の業(ごう)といっていいだろう。 グレッグ・イーガンを初めて読んだ。短篇集である。文章…

永田諒一、宮元啓一

2冊読了。 108冊目『宗教改革の真実 カトリックとプロテスタントの社会史』永田諒一(講談社現代新書、2004年)/今月後半の課題図書。完全な選択ミス。やっぱり読んでない本はダメだね。なぜ、プロテスタントが魔女狩りに遭わなかったかを知りたかったのだ…

ジュール・ミシュレが生まれた日

今日はフランスの歴史家ジュール・ミシュレが生まれた日(1798年)。「この歴史には、第一ページから最終ページまで、一人の英雄しかいない。すなわち民衆である」 (『フランス革命史』)。「書物は大事だ。しかし書物に書かれているのは、最小の真実だ。お…

自閉症は「間(あいだ)の病」

私たちが、人と人との問題を考える時、実は「間(あいだ)」を重視しています。私は、自閉症のような精神の病とは、「間(あいだ)の病」でもあると考えています。ですから、病的事態を単に個人の内部に生じた病変としてだけ見る立場からは、自閉症児の問題…

世界大恐慌は石油を大量に使い始めたアレルギーショックだった

それに、石油こそが、20世紀を創り、そのすべてを動かしているのだ。 マクロ的あるいは、アバウト思考からいって、1929年の大恐慌は、人類が石油を大量に使い始めたアレルギー・ショックだったと考えている。そして今や、世界経済は、石油の使い過ぎによる中…

ホームレスだけど、失業保険も生活保護もサギだと確信した

母親が闇金から借金⇒家を追い出される⇒派遣会社を退職⇒「会社都合」にするという話が蓋を開けると「自己都合」になってた⇒緊急小口資金制度は償還の見込みがないと断られる⇒「失業保険は、本格的に失業で困ってる人を絶対に助けてくれないシステム」(ザ・ロ…

図書館HP閲覧不能、サイバー攻撃の容疑者逮捕、だが……男性のプログラムは違法性がなく図書館ソフトに不具合があった

図書館HP閲覧不能、サイバー攻撃の容疑者逮捕、だが… なぜ逮捕? ネット・専門家が疑問も 図書館アクセス問題

勝海舟

完全校訂版。江藤淳・松浦玲編、未収録談を大量増補。海舟が自在に語る談話の数々。幕藩体制瓦解の中、勝海舟は数々の難局に手腕を発揮、江戸城を無血開城に導いて次代を拓いた。晩年、海舟が赤坂氷川の自邸で、歯に衣着せず語った辛辣な人物評、痛烈な時局…

陸奥宗光が生まれた日

今日は陸奥宗光(むつ・むねみつ)が生まれた日。坂本龍馬をして「(刀を)二本差さなくても食っていけるのは、俺と陸奥だけだ」と言わしめた人物。外相時代には15ヶ国との不平等条約改正を成し遂げ、「カミソリ大臣」とあだ名された。政治嫌いの福澤諭吉が…

戦争

男が言うには、戦争に行って生きて帰ってきた人間の魂は皆死んでしまっており、その魂の死を断固として拒んだ勇敢な人間たちは皆肉体が死んでしまったのだそうだ。つまり戦争というものは行けば誰一人として生きて帰らないのであり、男もまたフィリピンの密…

無為徒食

わたしは急に深い悲しみでいっぱいになった。自分はなんの価値もない、つまらない人間だ――生まれて初めて、そんな気持ちになったのだ。虚しく世界のあちこちを旅して歩き、自分と同じように価値のない他の人間を相手に無意味な取引をし、その目的といえば、…

「黒のクレール」大貫妙子

1981年のヒット曲。アレンジは坂本龍一。

ルイ・ジャック・マンデ・ダゲールがダゲレオタイプを発表した日

今日はフランスの画家ルイ・ジャック・マンデ・ダゲールが世界初の実用的写真技法となるダゲレオタイプ(銀板写真)を発表した日(1839年)。フランス学士院にて。写真は時空を超えた視覚である。人類は写真という千里眼を手に入れた。シャッターが切り取っ…

ココ・シャネルが生まれた日

今日はココ・シャネルが生まれた日(1883年)。ドイツ軍による軍事占領に抵抗した結果、捕えられた末に拷問されたり戦闘によって命を落としたフランス人たちがいた一方で、シャネルはドイツの親衛隊少将と愛人関係を結び、自堕落な生活を送った。「ナチスに…

生き延びるための併せ読み

9.11テロ事件、ハリケーン・カトリーナ、ポトマック川旅客機墜落、スマトラ沖地震……。私たちの記憶に深く刻み込まれた大事件・大惨事。本書はこれらの事件現場で、紙一重で生死の境目をかいくぐり、無事に生還した人々の生の証言である。一人一人が語る物語…

普段通りの暮らしを続けることが人々のインティファーダだった

パレスチナといえば、私たちはたいてい、過激派による自爆テロを思い浮かべます。そしてインディファーダといえば、自爆テロか投石による抵抗運動のことだと思っています。 でも、私が見たインティファーダは違いました。 侵攻を受けて家を壊され、家族を殺…

ジャイナ教の非暴力

一般的にジャイナ教徒は農業を営まない。ジャイナ教徒は農業がジャイナ教の中心的原理である非暴力の実践に反すると考えている。彼らにとって、耕作のためとはいえ動物を使うことは暴力の一種である。土地を耕すときに昆虫を傷つける可能性もある。ジャイナ…

車両の全長より狭い道で2階建バスの切り返しをする超絶技巧ムービー

スリル満点。ドライバーの淡々とした表情がいい。職人芸だね。

東京ガス豊洲工場跡地の市場移転

江東区の豊洲が東京ガスの跡地とは知らなかった。東京ガスは責任を問われないのか? 東京ガスの豊洲工場跡地に築地市場を移転する計画において、土壌中に環境基準を超えるベンゼン・シアン・鉛・ヒ素・六価クロム・水銀等の有害物質が残存していることが問題…

灘高校ってちょっと異常じゃないか?

ハムスター速報

石井光太、斎藤貴男

1冊挫折、1冊読了。 挫折65『物乞う仏陀』石井光太(文藝春秋、2005年/文春文庫、2008年)/文章はいいのだが姿勢が悪い。まだ若いせいなのかもしれない。貧しいアジア諸国の身体障害者を傍観しているだけのレベルにとどまっている。足が20cmしかない美しい…

最澄が生まれた日

今日は最澄(伝教大師)が生まれた日(767年旧暦)。日本天台宗の祖。法華経を宣揚。大乗戒壇として比叡山延暦寺を開く。後に総合大学の観を呈し、鎌倉仏教揺籃の地となった。律令体制が崩壊する中で最澄と空海は大乗仏教を日本へ導入した。「一隅を照らすこ…

最澄〜大乗戒壇建立は具足戒の否定

晩年の最澄には、しのこしたことがあった。大乗の戒壇院の設立である。806年(大同元)には百余名に大乗の戒をさずけている。これは唐において天台宗の道邃(どうずい)からさずけられたものであり、それを最澄は弟子たちにさずけていたわけであるが、この大…

人生の明暗を分ける出来事

だが、彼は過去をまだ手放すことができなかった。すっかり伸びきてしまったゴムバンドを握りしめるように、彼は必至に過去にしがみついて生きていた。あのころはなにも説明の必要がなかった。時が過ぎるのは自然なことで、決して恐ろしいことではなかった。…

元PKO部隊司令官が語るルワンダ虐殺

映画『ホテル・ルワンダ』に登場するオリバー大佐のモデルになっているのがロメオ・ダレールである。ポール・カガメに対するロメオ・ダレールの評価は、フィリップ・ゴーレイヴィッチと正反対である。 『ルワンダ大虐殺 世界で一番悲しい光景を見た青年の手…

柳田謙十郎

1冊読了。 106冊目『宗教批判 宗教とは何か』柳田謙十郎〈やなぎだ・けんじゅうろう〉(創文社、1956年)/昨日読了。初版が昭和31年である。敗戦から10年を経て、知識人達がマルクス主義にかぶれるのは自然な流れだったのかもしれない。宗教の起源に始まり…

ピエール・ド・フェルマーが生まれた日

今日は仏の数学者ピエール・ド・フェルマーが生まれた日(1601年/諸説あり)。本業は弁護士。パスカルと共同で確率論の基礎を作り、デカルトと文通を交わしながらデカルトとは独立に解析幾何学を発明。『算術』の余白に48の書き込みを。その一つがフェルマ…

日本仏教の黎明を告げた鎌倉仏教

まえがき 鎌倉時代には、世界の宗教史上にもまったく例をみないほど、すぐれた人材が相前後して輩出して、新しい仏教を展開した。この史上の景観は、偶然に展開したのではない。武士と呼ばれる新しい階級が、これまでの貴族の権力を押しのけて台頭し、貴族と…

国債とCDSの仕組み/『恐慌第2幕 世界は悪性インフレの地獄に堕ちる』朝倉慶

・『大恐慌入門 何が起こっているか? これからどうなるか? どう対応すべきか?』朝倉慶 ・国債とCDSの仕組み・『失速する世界経済と日本を襲う円安インフレ』朝倉慶、船井勝仁 経済や金融に関する本は圧倒的に悲観論が多い。ま、パスカルの賭けみたいなも…

バックパック

信じられないほど安い。55Lのものを購入した。ヤフーオークションは廉価でも送料が異様に高い出品者がいるので要注意。 pixy_10work