1冊読了。
106冊目『宗教批判 宗教とは何か』柳田謙十郎〈やなぎだ・けんじゅうろう〉(創文社、1956年)/昨日読了。初版が昭和31年である。敗戦から10年を経て、知識人達がマルクス主義にかぶれるのは自然な流れだったのかもしれない。宗教の起源に始まり、キリスト教、仏教を俯瞰して、最後にマルクス主義の立場から鉄槌を下している。私が考えている方向性と正反対だ。柳田はオーウェルの『一九八四年』や『動物農場』をどのように読んだのか? 社会主義国が自国民を殺戮している事実を知っていたのだろうか? あるいは密告主義をどのように考えたのか? 集団はヒエラルキーを生み、必ず政治化してゆく。そして政治は戦争に行き着く。この情況を脱するためには、社会を宗教化するしかないというのが私の考えだ。もちろんそれは特定の宗教を意味するわけではなく、宗教的価値観の復興ということだ。