古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧

高橋昌一郎

1冊読了。 『ゲーデルの哲学 不完全性定理と神の存在論』高橋昌一郎/クルト・ゲーデルは「アリストテレス以来の天才」と称された数学者。晩年のアインシュタインをして「私が研究所に行くのは、ゲーデルと散歩する恩恵に浴するためだ」と言わせしめた。ま、…

先入観を打ち破る若き力/『脳のなかの幽霊』V・S・ラマチャンドラン

タイトルの「幽霊」とは意識と理解してよいだろう。質量ともにヘビー級の一冊。 思い込みが世界をどんどん狭める。「サーカスの象」の喩えもある。世界は外に向かって開かれ、世界観は脳内で構築される。同じ世界に置かれていても、人それぞれの世界観は異な…

「手をつなごう」Metis

Metis

メールマガジン「片言自在」

メールマガジンを発行することにした。特に理由はない。ただ、何となく……というのはウソ。紹介した本のテキスト部分だけ集めてみようと思ったのだ。効果は特に狙っていない。名言集、金言集の類いと思ってもらえば、これ幸い。melma!は広告が多いので、E-Mag…

ギャングですら信用するスペンサーの言葉/『スクール・デイズ』ロバート・B・パーカー

・『レイチェル・ウォレスを捜せ』ロバート・B・パーカー ・『初秋』ロバート・B・パーカー ・『チャンス』ロバート・B・パーカー ・『突然の災禍』ロバート・B・パーカー ・『スクール・デイズ』ロバート・B・パーカー スペンサー・シリーズの第33作目。訳…

複眼思考で自分の歪みを正す/『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』佐藤優

まずは以下の記事を読んでもらいたい。 ・情報の歪み=メディア・バイアス で、次なる問題として当然「自分というバイアス」が考えられる。どちらかと言えばこっちの方が問題である。正しい情報まで歪めることもあるからだ。早合点、曲解、すり替えなど。人…

モルモン教の創始者ジョセフ・スミスの素顔/『信仰が人を殺すとき』ジョン・クラカワー

正式名称は「末日聖徒イエス・キリスト教会」。「モルモン書」と呼ばれる預言書を信じるがゆえにモルモン教とも称されている。日本だけで、何と320もの教会がある。 アメリカで実際にあった事件を辿ったノンフィクション。妻と幼い娘を殺害したのは実の兄弟…

新潮社側敗訴が確定=創価学会副理事長の名誉棄損−最高裁

「週刊新潮」の記事で名誉を傷つけられたとして、創価学会の山本武副理事長が発行元の新潮社などに1100万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(堀籠幸男裁判長)は4日付で、新潮社側の上告を棄却する決定をした。創価学会側の代理人が5日、…

小田嶋隆による『広告批評』批判 その三/『罵詈罵詈 11人の説教強盗へ』小田嶋隆

・小田嶋隆による『広告批評』批判 その一 ・小田嶋隆による『広告批評』批判 その二 これで最後。小田嶋隆の結論は鋭い。横に薙(な)いだ刀で、広告宣教師・天野祐吉の上半身と下半身は真っ二つにされてしまう。 確認しておこう。CMは断じて(そう、断じて…

植木雅俊氏が毎日出版文化賞(企画部門)を受賞

私の知人である。応援のほど宜しく。 『梵漢和対照・現代語訳 法華経 上・下』=植木雅俊・訳(岩波書店) 経典理解と見事に呼応 法華経は、大乗仏教を代表する重要な経典だ。わが国では鳩摩羅什(くまらじゅう)による漢訳が読まれてきた。名訳だが、19世紀…

「ハートエイク・トゥナイト」イーグルス

私が初めて買った洋楽のアルバムは『イーグルス・ファースト』だった。当時売り出していた『ロング・ラン』をラジオで聴いたのがきっかけだ。ここで最新アルバムを無視して、「ホテル・カリフォルニア」に向かうこともなく、原点回帰を狙ったわけだが、イー…

ロバート・B・パーカー

1冊読了。 『スクール・デイズ』ロバート・B・パーカー/スペンサー・シリーズの第33作目。訳者は菊池光から加賀山卓朗にバトンタッチ。やや、あっさりした印象あり。「――のだ」という表現が殆ど見当たらず。高校で銃乱射事件が起こる。犯人は二人の高校生だ…

米軍女性帰還兵の15%「従軍中に性的外傷受けた」

イラクとアフガニスタンから帰還した米軍の女性兵士の15%近くが、従軍中に性的外傷を受けていることが、28日に発表された米退役軍人省の調査で明らかになった。 この調査は、過去6年間にアフガニスタンでの「不朽の自由作戦(Operation Enduring Freedom)…

小田嶋隆による『広告批評』批判 その二/『罵詈罵詈 11人の説教強盗へ』小田嶋隆

・小田嶋隆による『広告批評』批判 その一/『罵詈罵詈 11人の説教強盗へ』小田嶋隆 彼は『広告批評』という雑誌を創刊した。 そして、テレビの画面や、雑誌の誌面や、講演の舞台の上でも、繰り返し繰り返し、広告の効用を説いてきた。 言って見(ママ)れば…

ガイ・カワサキ、田上太秀

1冊挫折、1冊読了。 『徹底的に敵をヘコます法 ビジネスを優位に導く“狂騒”戦略』ガイ・カワサキ/小田嶋隆訳。著者はマッキントッシュを市場に出回らせた立役者らしい。数ページでやめた。どうも、ハイテンションについてゆけない。ビジネス書である。 『人…

小田嶋隆による『広告批評』批判 その一/『罵詈罵詈 11人の説教強盗へ』小田嶋隆

・『我が心はICにあらず』小田嶋隆 ・『安全太郎の夜』小田嶋隆 ・『パソコンゲーマーは眠らない』小田嶋隆 ・『山手線膝栗毛』小田嶋隆 ・『仏の顔もサンドバッグ』小田嶋隆 ・『コンピュータ妄語録』小田嶋隆 ・『「ふへ」の国から ことばの解体新書』小田…

社会学者が『妖怪人間ベム』を鮮やかに読み解く/『男らしさという病? ポップ・カルチャーの新・男性学』熊田一雄

・悪しき「私化」の進行 ・社会学者が『妖怪人間ベム』を鮮やかに読み解く ・国民的物語「忠臣蔵」に代表される「意地の系譜」と「集団主義」・B'zに至るまでの1970~80年代サブカルチャーの系譜を山田玲司が鮮やかに切り取る ジェンダー論は小難しい。いや…

野口晴哉、イアン・エアーズ、茂木健一郎、ジョン・クラカワー、ランドルフ・M・ネシー&ジョージ・C・ウィリアムズ

4冊挫折、1冊読了。 『その数学が戦略を決める』イアン・エアーズ/翻訳は山形浩生。どうも相性が悪い。40ページで挫ける。データ重視の「絶対計算」について書かれた本。例えばこうだ。ワインの質=12.145+0.00117×冬の降雨+0.0614×育成期平均気温−0.0038…

情報の歪み=メディア・バイアス/『メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学』松永和紀

3ヶ月ほど前に読了していたのだが書き忘れていた。これは好著。安部司著『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』を鵜呑みにしている人(筆頭は宮台真司)は必読。 メディアの仕事は事実を報道することが半分で、残りの半分はデマを捏造することだ。特に映像…

「国家」と「貨幣」は人間を超越する/『ナショナリズムという迷宮 ラスプーチンかく語りき』佐藤優、魚住昭

忘れないうちに書いておこう。養老孟司は「われわれの社会では言語が交換され、物財、つまり物やお金が交換される。それが可能であるのは脳の機能による」(『唯脳論』)と書いた。 佐藤●マルクスが解き明かしたことの中でも重要なのが「国家」と「貨幣」の…

相対性理論によれば飛行機に乗ると若返る/『人類が知っていることすべての短い歴史』ビル・ブライソン

・太陽系の本当の大きさ ・相対性理論によれば飛行機に乗ると若返る ・枕には4万匹のダニがいる ・あなた個人を終点とする長い長い系図 ・陽子 ・ビッグバン宇宙論 ・進化論に驚いたクリスチャン・『人類が生まれるための12の偶然』眞淳平:松井孝典監修 ・…

誤りを恐れない

小橋昭彦

心を開けゴマ

すまん。「ゴマ」は余計だった。つい付けてしまったというのが真相だ。 佐野元春は「誰かが君のドアを叩いている」と歌った。誰なのかね? よもや、ピンポンダッシュということはないだろうな。 同じ歌の冒頭で「街角から街角に神がいる」とも歌っている。本…