野口晴哉、イアン・エアーズ、茂木健一郎、ジョン・クラカワー、ランドルフ・M・ネシー&ジョージ・C・ウィリアムズ


 4冊挫折、1冊読了。


その数学が戦略を決めるイアン・エアーズ/翻訳は山形浩生。どうも相性が悪い。40ページで挫ける。データ重視の「絶対計算」について書かれた本。例えばこうだ。ワインの質=12.145+0.00117×冬の降雨+0.0614×育成期平均気温−0.00386×収穫期降雨、ってな具合。要旨が整理されていない印象を受けた。このため、ムダな文章が多くなっている。マルコム・グラッドウェルあたりを読んでいると、こんな本には手をつけられなくなってしまう。


意識とはなにか 「私」を生成する脳茂木健一郎/茂木の本を読むのは初めて。翻訳は一冊だけ読んでいる。出だしはいいのだが、出だしだけだった。30ページで挫折。クオリアに傾き過ぎ。例えが多くてウンザリ。単なるクオリア伝道師っぽい。


整体入門野口晴哉/『風邪の効用』よりは少しまともだが、それでもやっぱり酷いよ。身体の調子が悪い人なら、「活元運動」を試してみる価値はあるかも。骨盤と背骨を中心にした体操だ。大上段に振りかざした言葉の数々が、どうも新興宗教っぽく感じてしまう。野口整体を知らない人に対して、わかるように教えることができないようだ。多分、それなりの効果があるためだろう。しかも、「治る」と断言してしまっているので、尚のこと宗教っぽくなっている。26ページで挫折。


信仰が人を殺すとき 過激な宗教は何を生み出してきたのかジョン・クラカワーモルモン教(正式名称は末日聖徒イエス・キリスト教会)信者による殺人事件を追ったノンフィクション。そこそこ面白いのだが、アウトラインがわかったところで中断。200ページ前後。モルモン教キリスト教の一派であるが、元々一夫多妻制を理想としていた。教勢を拡大すると共に、近隣住民とのトラブルなどが頻発し、議会で一夫多妻制が取り上げられるまでになってしまった。教会側は議会の判断を受け入れ、この教義は捨てる。ところが、原理主義に走った連中は水面下で一夫多妻制を実践していた。もうね、凄いよ。何十人も妻がいて、女の子が生まれると中学生くらいで知り合いの男のもとへ嫁に出してしまう。間違いなく近親相姦がどこかで起こっていたことだろう。かような宗教であるにもかかわらず、現在でも世界に1100万人の信徒がいるというのだから驚き。事件は、兄が弟の妻と赤ん坊を殺害したもの。本人は、「神の意志に従っただけで、何も悪いことはしていない」と平然としているそうだ。たとえ、キリスト教からのはみ出し者であったとしても、教義自体にそのような余地があると私は考えている。「片言自在」で紹介する予定。


病気はなぜ、あるのか 進化医学による新しい理解ランドルフ・M・ネシー&ジョージ・C・ウィリアムズ/翻訳は長谷川眞理子長谷川寿一、青木千里。まるでなってないよ。4400円もする本がどうしてこんな悪文なんだ? しかも、原文は面白いことが明らかだ。多分、長谷川眞理子の名前を付けて、売り上げアップを狙ったのだろう。小難しい内容であるにもかかわらず読めるのは、トリビアネタが豊富なことと、ユーモラスな文章であるため。対症療法ではなく、進化上の意味から病気にアプローチしている。一つだけ難点を挙げると、精神障害に関する部分が曖昧で、投薬治療に対する批判が殆どないこと。これが瑕疵(かし)となっている。でもまあ、エリオット・S・ヴァレンスタインの『精神疾患は脳の病気か? 向精神薬の化学と虚構』が出る前だから仕方がないか。