古本屋の覚え書き

古い書評&今週の一曲

相対性理論によれば飛行機に乗ると若返る/『人類が知っていることすべての短い歴史』ビル・ブライソン

 ・太陽系の本当の大きさ
 ・相対性理論によれば飛行機に乗ると若返る
 ・枕には4万匹のダニがいる
 ・あなた個人を終点とする長い長い系図
 ・陽子
 ・ビッグバン宇宙論
 ・進化論に驚いたクリスチャン

『人類が生まれるための12の偶然』眞淳平:松井孝典監修
『黒体と量子猫』ジェニファー・ウーレット
・『重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る』大栗博司
『広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由 フェルミのパラドックス』スティーヴン・ウェッブ
『ブラックホール戦争 スティーヴン・ホーキングとの20年越しの闘い』レオナルド・サスキンド


 アインシュタイン相対性理論も、書き手次第ではこんなに楽しく読める。

 要するに、相対性理論が示しているのは、空間と時間は絶対ではなく、観測者と観測されるものの両方と相対的な関係にあり、一方が高速で動くほど、その影響が顕著になるということだ。わたしたちはけっして高速度まで加速することはできず、努力するほど(そして速く動くほど)、外側にいる観測者たちに対してゆがんだ存在になっていく。(中略)
 この効果は、じつはあなたが動くたびに起こる。飛行機でアメリカ横断の旅をすれば、降りるときには、あとに残してきた人たちよりも数千億分の1秒程度若くなる。部屋を横切るだけでも、ほんのわずかではあるが、自身の時間と空間の経験を変化させていることになるのだ。時速160キロで投げられた野球のボールは、ホームプレートにたどり着くまでに0.000000000002グラム質量を増すと計算されている。つまり、相対性理論の効果は現実であり、計測することができる。問題は、そういう変化があまりにも小さいので、検出可能な最小の差異を作ることさえ困難である点だ。しかし、宇宙に存在するそのほかのもの――光、重力、そして宇宙そのもの――にとって、これらの変化はとても重要な意味を持つ。


【『人類が知っていることすべての短い歴史』ビル・ブライソン/楡井浩一〈にれい・こういち〉訳(NHK出版、2006年)】


 確かに、イチローの打撃、ロナウジーニョのドリブル、マイケル・フェルペスの泳ぎを見ていると、別世界の出来事に感じることがある。ま、観測者である私は横になって腹を出しながらテレビの前にいるわけだが。


 きっと古代の人々にとって、瞬時の判断が生死を分かつ場面が多かったことと想像する。猛獣に襲われたり、毒草を吐き出したり、獲物をつかまえたり……。そして狩猟はいつしか、スポーツに取って代わった。ゲームがマクロであるとすれば、技はミクロの世界である。


 時空は瞬間において凝結する。うまくまとめることが出来なくなったので、これで誤魔化しておこう。