ジェイムズ・カルロス・ブレイク、三枝充悳


 2冊読了。


 12冊目『荒ぶる血』ジェイムズ・カルロス・ブレイク/加賀山卓朗訳(文春文庫、2006年)/これはめっけ物だった。中米のねっとりとした空気を乾いた文体で描いている。時代が変わったところが少々わかりにくく、後半のカットバックも長すぎる気がするが、しっかりと細部を書き込むことでチャラにしている。場面展開に富んでいるので映画化しやすい作品だ。無名の俳優ばかり集めて作れば面白い。


 13冊目『大乗とは何か三枝充悳〈さいぐさ・みつよし〉(法蔵館、2001年)/三枝は昨年亡くなった。バランス感覚の優れた仏教学者だった。本書は構成がデタラメな上、エッセイ風の散漫な文章が多い。で、高価ときている。それでも仏教中級者であれば勉強になる。個人的には大乗は小乗と比較するものではなく、初期仏教に対置するべきだと考えている。悟りと理論、個別性と大衆性、超越性と実用性、個人と組織、真理と言葉の問題をはらんでいるからだ。